ホーム > 砂糖・でん粉の生産地から > 地方事務所だより > 平成28年産てん菜糖の製糖が終了

平成28年産てん菜糖の製糖が終了

印刷ページ

最終更新日:2017年4月27日

平成29年4月

札幌事務所 黒澤 和寛

 昨年10月以降、北海道の製糖企業各社において、平成28年産てん菜糖の製糖が行われてきたところであるが(平成28年10月31日既報)、平成29年4月22日をもって、8工場すべての製糖が終了した。
表
 各工場の製糖期間をみると、ホクレン中斜里製糖工場を除く全ての工場において、昨年に比べ製糖延べ日数が短くなっている。これは、昨年5月の強風、6月以降の長雨、8月中下旬の台風被害等により、てん菜の生育停滞や根腐れ等が生じ生産量が減少したことが要因として挙げられる。
 北海道農政部の調べ※1によると、平成28年産てん菜の生産量は318万9千トンとなり、対前年比で2割の減少となった。また、てん菜の品質低下により、平均糖分は16.3%(対前年比▲1.1%)に低下※2した。
 以上のことから、平成28年産てん菜の産糖量は前年を下回り6年ぶりの低水準となる見込みであり、平成29年3月の農林水産省による需給見通しでは、50万6千トン(対前年比▲25%)が見込まれている。
 
図
 平成28年の台風による被害は、農産物生産量の減少と品質低下を招いたほか、物流にも大きな影響を与えた。
 てん菜糖等の物流は、JR貨物により札幌、函館を経由して道外に出荷する方法が多く採用されていたが、台風通過等による大雨により線路の橋梁が流失等し、石北線、石勝線、函館線が一時不通となり、このうち石勝線は帯広と札幌間で3ヶ月以上にわたり不通となった。
 この間、JR貨物は帯広と札幌間のトラックによる代替輸送を行ったが、物流量が鉄道貨物に比べて十分ではなかったことから、製糖企業各社でも、トラックや貨物船などをチャーターし、独自に代替輸送手段を確保して、てん菜糖の道外への供給を行った。
 平成28年12月下旬には石勝線が復旧し、帯広と札幌間の鉄道貨物輸送が再開したが、製糖企業にとって、産糖量が少ない一方でコストが増加するなど、台風が大きな影響を与えた年であったことがうかがわれる。
※1、2:北海道農政部生産振興局農産振興課「平成28年産てん菜生産実績」
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:札幌事務所)
Tel:011-221-0786