ホーム > 砂糖・でん粉の生産地から > 地方事務所だより > 平成29年度第1回地域情報交換会を開催

平成29年度第1回地域情報交換会を開催

印刷ページ

最終更新日:2017年7月7日

平成29年7月

札幌事務所  黒澤 和寛
 
 当事務所は、機構が実施する情報収集提供業務について北海道の関係者から地域の意見や情報ニーズを把握するとともに、関係者に対して情報提供を行うことを目的として、地域情報交換会を実施している。
 今年度1回目となる地域情報交換会は、6月22日(木)に札幌市において、砂糖の国際需給について、講師をお招きして講演を行った。また、当事務所から、機構の情報収集提供業務に関する今年度の重点方針及び砂糖の価格調整制度について説明を行うとともに、当機構調査情報部から欧州における砂糖産業の動向についての報告を行った。
 当日は、てん菜製糖事業者、農業関係団体、行政・試験研究機関等から35名の参加があった。
 以下、その概要を報告する。

1. 当機構が実施する業務の概要説明
 当機構調査情報部 木下審査役からの挨拶ののち、当事務所平石所長より、(1)砂糖の価格調整制度、(2)平成29年度の情報収集提供業務の重点テーマについて説明を行った。

挨拶を行う当機構調査情報部の木下審査役
挨拶を行う当機構調査情報部の木下審査役

会場の様子
会場の様子

2.講演及び報告
(1)講演「砂糖の国際需給」
 砂糖の国際需給に関する理解を深めていただくため、三井物産株式会社の小林良文氏をお招きした。
  講演では、先ず粗糖の国際相場を動かす要因として、需給に関する情報の他、テクニカルな取引や、投機資金の流入等の外部環境による影響があることが説明された。 次に、砂糖の世界需給について、消費は人口増及び生活水準の向上により年々増加してきている一方で、生産は砂糖が農産物であるがゆえに、天候の影響で主産地が豊作や不作となることにより供給過多・不足が繰り返されてきていることが説明された。2016年度は、供給不足を背景に投機資金の流入によって相場が高騰したが、2017年度は、生産量が消費量を上回ることが予想されている中、投機資金の流出等もあり、現在の相場は下落基調にあることが紹介された。最後に、砂糖の世界需給に大きな影響を与える国として、主要生産国であるブラジル、インド、タイ、豪州等に加え、大消費国である中国やインドネシアの現状について解説が行われた。

講演を行う三井物産株式会社の小林氏
講演を行う三井物産株式会社の小林氏

(2)報告「英国、フランスおよびオランダの砂糖産業の動向」
 当機構調査情報部の丸吉が欧州3カ国の砂糖産業の動向について報告を行った。欧州委員会による中長期見通しでは、本年9月末での域内各国の生産割当制度の廃止を控え、域内競合により生産効率の高いフランスやドイツなどにより砂糖生産が集約されるとしていることを紹介した。また、EUにおける糖類を含む飲料への課税状況などを紹介した上で、砂糖の主要生産国である3カ国の動向について個別に説明を行った。生産割当廃止後に向けて、英国は国内需要を満たすための国内企業による生産拡大、フランス及びオランダも他国への輸出増加のための生産体制の強化に関する取り組みが進められていることが報告された。

報告を行う当機構調査情報部の丸吉
報告を行う当機構調査情報部の丸吉

3. 参加者アンケートの結果
 参加者に対してアンケート調査を実施し、30名から回答を得た。その集計結果は以下のとおりである。
 地域情報交換会の内容について尋ねたところ、「充実していた」が87%であった。「砂糖の国際需給、相場状況の話は大変勉強になった」、「欧州のてん菜関係者の生産性向上に向けた取り組みを知る貴重な機会となった」などといった感想が寄せられた。
 今後の同様の会議への参加意向については、「参加したい」が97%、「どちらでもない」が3%であった。
 今後、砂糖又はてん菜に関して情報誌等で取り上げて欲しいテーマについては、「海外の生産技術に関すること」(回答数:14)、「海外の農業政策に関すること」(回答数:12)といった結果であった。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:札幌事務所)
Tel:011-221-0786