さつまいも（マルチ栽培）生育概況について

でん粉情報

[2009年10月]

鹿児島県農業開発総合センター　大隅支場

1　はじめに

　鹿児島県農業開発総合センター大隅支場では昭和62年から奨励品種を中心に、さつまいも生産見込み数量予測のため生育概況調査を実施し、関係機関にその情報を提供している。今回は、平成21年産原料用さつまいもの8月時点での生育概要について報告する。

2　耕種概要

植　　付：平成21年4月15日
収　　穫：平成21年8月10日（生育期間118日間）
マルチの種類：透明ポリフィルム
栽植密度：90×40センチ（2780本／10アール）
挿苗方法：8節苗水平挿し

3　気象概況

(1)平均気温

　平均気温は4月が平年並み、5、6月は平年よりやや高かった。7月は平年並みであった（図1）。

図1　平成21年4〜7月の平均気温の推移

(2)降水量、日照時間

　4月から7月は降水量が少なく、日照時間が長かった。特に5月上、中旬に降雨がほとんどなく、土壌は乾燥状態であった（図2）。

図2　平成21年4〜7月の降水量と日照時間

4　生育概要

(1)生育状況

　植え付けの翌日に降雨があり、活着は良好であった。その後の生育も天候に恵まれ、順調であった。

(2)いも個数

　総いも個数は、コガネセンガン以外は平年を上回り、1個50グラム以上の上いも個数は、1アール当たりシロユタカ1479個（平年比116％）、コナホマレ1156（同115％）、ダイチノユメ1528個（同15％）、コガネセンガン1237個（同10％）と全品種が平年を上回った（図3、図4、図5、図6）。

図3　シロユタカの上いも収量、個数

図4　コナホマレの上いも収量、個数

図5　ダイチノユメの上いも収量、個数

図6　コガネセンガンの上いも収量、個数

(3)上いも収量

　収量は1アール当たりシロユタカ285キログラム（平年比132％）、コナホマレ214キログラム（107％）、ダイチノユメ273キログラム（同110％）コガネセンガン264キログラム（同119％）と全ての品種が平年に比べ、多収であった。シロユタカ、コガネセンガンは上いも個数が多く、さらに、1個重も重かったことから収量が多かった。一方、コナホマレダイチノユメは、上いも個数が多かったことから多収となった（図3、図4、図5、図6）。

5　おわりに

　4月植えマルチ栽培については、全ての品種がおおむね順調な生育状況にある。なお、今回の調査以降の生育データや詳細な解析については、今後、機会を見て掲載する予定である。