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平成20年度でん粉の需要実態調査の概要

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2009年7月]

【調査・報告】

調査情報部 調査課


 でん粉は、製品の主原料となることは少ないものの、その用途は、食品や工業品など多岐にわたっている。わが国で消費されているでん粉は、コーンスターチ、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉、タピオカでん粉、小麦でん粉などであるが、原料作物の違いによりその特性が異なるため、ユーザーはそれぞれの用途に応じたでん粉を使用している。
 国内産いもでん粉は、平成19年から砂糖と同様の調整金制度が導入され、輸入でん粉及びコーンスターチ用輸入とうもろこしとの抱合わせ措置が廃止された。この結果、市場の需要に応じた取引が行われることとなり、主となっている糖化用以外の販路の確保・拡大が必要となっているところである。そこで、でん粉の需要実態を把握するため、機構では株式会社富士経済に委託して「平成20年度でん粉需要実態調査」を行ったので、その概要を報告する。
 なお、異性化糖を含む甘味料の需要実態調査については、砂糖類情報2009年7月号に掲載しているので併せてご覧いただきたい。


1.調査概要

 コーンスターチ、国内産ばれいしょでん粉、国内産かんしょでん粉、輸入でん粉、化工でん粉について調査を行った。調査項目は、使用しているでん粉の種類、仕入動向、使用動機、品質への評価、他の種類のでん粉などへの切り替えの可能性、でん粉を使用している商品などであり、聞き取りにより調査した。
 調査対象企業は47社で、その製品分野としては、菓子、清涼飲料、乳製品(デザート)、製パン、調味料、佃煮・煮豆、水産練り製品・珍味、麺類、総菜、冷凍食品、ハム・ソーセージ、ビール類、製紙・紙加工、医薬品、飼料、接着剤を対象とした。
 なお、調査対象期間については、平成20年1〜12月とした。


(1)コーンスターチ 〜取扱量は減少〜

①使用状況〜多様な製品への使用〜
 調査対象企業47社のうち、32社がコーンスターチを使用していた。その製品分野は、菓子、乳製品(デザート)、製パン、調味料、佃煮・煮豆、水産練り製品・珍味、総菜、冷凍食品、ハム・ソーセージ、ビール類、製紙・紙加工、医薬品、飼料、接着剤など非常に幅広いものとなっている。
 使用理由としては、食感改良、安定性付与、結着剤、錠剤の賦形剤、飼料の糊料、工業用のりの主原料などを目的としている。物性が安定しており、扱いやすいとのことから本調査においても最多の企業数となった。


②取扱量の動向〜製品の値上げ、景気悪化の影響で大きく減少〜
 コーンスターチ使用32社の平成20年総仕入量は、前年比91.4%と大幅な落ち込みを見せた。これは、コーンスターチを大量に使用しているビールメーカーの使用量の落ち込みが大きく影響している。
 企業別の増減を見ると、平成20年の仕入量が前年より増加した企業が4社、同量だった企業が12社、減少した企業が14社となった。また、使用量はごくわずかであるが、今年度から使用を開始した企業が2社あった。このほかに、今年度からコーンスターチの使用を停止した企業が1社あった。仕入量の増減の理由については、多くの企業が「商品の売れ行きによるもの」としているが、食品メーカーにおいて、包装材などを含む原材料の値上がりから、「商品価格の値上げによる販売量減」や「内容量を減らし価格を据え置くという実質値上げによる仕入量減」などの理由でコーンスターチの仕入量が減少している事例もあった。


③仕入価格の動向〜価格は落ち着きを見せる〜
 調査対象企業のほとんどが、コーンスターチ価格が高騰していた前年に比べて、価格は落ち着いたとしている。前年の価格高騰の主な原因としては、バイオエタノール向けのとうもろこしの需要拡大が挙げられたが、平成20年の夏場すぎから原油価格が下落し、また同年9月以降の世界同時不況によりバイオエタノール需要が減少したことから、コーンスターチ用とうもろこし価格も下落の兆しを見せた。


④今後の見通し〜製品分野によってさまざまな動き〜
 食品においてはコーンターチが主原料になるケースはまれであり、本調査においても微量の仕入にとどまった食品メーカーが多く、コーンスターチの価格の動向によって原料を切り替える動きは見られなかった。医薬品メーカーについても、医薬品は、使用している成分を厚生労働省に登録していることから、同一の品質のものを安定供給できるか、という点で他のでん粉へのシフトは容易ではなく、現在使用しているコーンスターチを他の原料へ切り替える動きは原則的にないとしている。
 また、製紙・紙加工メーカーでは平成20年初めごろの原油価格高騰の影響を受け、石化原料をでん粉に代替する動きもあり、その際には、コーンスターチまたはコーンスターチ由来の化工でん粉が採用されるケースが見られた。
 ビールメーカーにおいては、ビールの販売量が減少したため、仕入量が減少となっている。しかしながら、新ジャンルのビール(第3のビール)の販売は好調なことから、今後の使用量については、増加が見込まれる。


(2)国内産ばれいしょでん粉 〜品質について一定の評価〜

①使用状況〜品質の安定性が特徴〜
 調査対象企業のうち、国内産ばれいしょでん粉を使用していた企業は、9社であった。その製品分野は、菓子、調味料、冷凍食品、佃煮・煮豆、医薬品、飼料など幅広いものとなっている。
 国内産ばれいしょでん粉を使用しているメーカーは老舗が多く、高品質のものを安定して得られるといった理由から使用を続けている。さらに、国内産を使用するメリットとして、生産地の情報を早く得られることや製造工場の指定ができるといった意見も見られた。
 また、国内産ばれいしょでん粉単独での使用の他に、輸入ばれいしょでん粉、タピオカでん粉、国内産かんしょでん粉とのミックス品として、総菜・菓子・ハム・オブラートへの使用が見られた。


②取扱量の動向〜取扱量は微増〜
 国内産ばれいしょでん粉使用9社の平成20年の総仕入量は、4,702トンで前年比107.0%と微増となった。これには、使用量が1,000トン未満の企業が9社中8社となっているため、数千トン単位で仕入れがある飼料メーカーの使用量増加が大きく影響している。
 企業別の増減を見ると、平成20年の仕入量が前年より増加した企業が4社、同量だった企業が3社、減少した企業が2社となった。仕入量の増減については、「商品の売れ行きによるもの」との理由が主となっている。使用量が減少した企業のなかには、冷凍食品メーカーがあるが、これは中国製冷凍ギョウザ事件に端を発した冷凍食品全般の落ち込みによるものである。現在は、一連の騒動が落ち着きを見せ始め、売上も回復基調にあることから、今後は例年並みの使用量になると見込まれる。


③仕入価格の動向〜輸入品と比較して価格は安定〜
 国内産ばれいしょでん粉の価格は、コーンスターチや輸入でん粉と比較して、ここ数年、安定している。EU産のばれいしょでん粉の価格が高騰していた昨年度の本調査では、同でん粉を使用する企業の中で、価格が同程度であるならば、高品質の国内産ばれいしょでん粉への切り替えを検討したいといった意見も見られたが、EU産ばれいしょでん粉の価格が落ち着いた今年度の調査では、そういった意見は見られなかった。


④今後の見通し〜安定した需要を獲得〜
 新たに国内産ばれいしょでん粉の使用を検討している企業はあまり見られなかったものの、輸入ばれいしょでん粉と比較して、品質面でより安定性が高いとの評価があり、現在使用している企業からの安定した需要を獲得している。また、消費者の食品の安全性への関心の高まりから、国産品にこだわりを持つメーカーでも重要視されている。この流れは当面続くと見られ、大きな増減は無いと考えられる。


(3)国内産かんしょでん粉〜使用する企業は限られる〜

①使用状況〜以前からの使用が目立つ〜
 調査対象企業のうち5社が国内産かんしょでん粉を使用していた。その製品分野はスナック菓子、珍味、総菜、飼料であり、コーンスターチや国内産ばれいしょでん粉、輸入タピオカでん粉などと比較すると、使用されている分野は少ない。使用理由としては食感や風味の向上、形成保持としての役割が主となっている。食品メーカーにおいては、相当以前より国内産かんしょでん粉を使用しているケースが見られる。その場合は、使用している商品がロングセラーであるため、製品の品質および風味の維持に重点を置いていることから、他の原料への切り替えは考えられないとの意見であった。


②取扱量の動向〜商品の好調な売れ行きに支えられ増加〜
 国内産かんしょでん粉を使用している5社の平成20年の総仕入量は、1,070トンで前年比116.2%と増加した。企業別の増減では、5社中3社が前年より増加、2社が前年と同量であった。増加理由は、国内産かんしょでん粉を使用している商品の売れ行きが好調であったためとしている。


③仕入価格の動向〜価格動向は比較的安定〜
 国内産かんしょでん粉は、他のでん粉と比べて安価となっている。平成19年には、仕入価格について若干の上昇傾向が見られたが、平成20年には若干の下落に転じた。その変動幅は、輸入でん粉などと比較して小さいものとなっている。しかしながら、今回の調査対象企業では、使用している企業が限られており、価格面での有利さを理由に使用している企業はみられなかった。


④今後の見通し〜品質向上が課題〜
 国内産かんしょでん粉は、安価ではあるものの、古くから使用している企業を中心に継続使用されるにとどまっている。輸入でん粉から国内産かんしょでん粉への切り替えについて、国産品と表示できることから、検討したメーカーもあったものの、均一な品質のものを安定供給できるのか、といった点に不安を感じ、切り替えを見送った企業もあった。また、コーンスターチや輸入タピオカでん粉の価格も落ち着いたなかでは、コストメリットも有利に働いていない現状である。今後は、品質の向上とそのための取り組みをユーザーに対してPRしていくことが必要であると考えられる。


(4)輸入でん粉 〜コストメリットを重視し、輸入でん粉内での切り替えも〜

①使用状況〜主にコスト削減のために使用〜
 輸入でん粉は、調査対象企業のうち15社が使用しており、それぞれ種別によって、菓子、製パン、調味料、麺類、総菜、冷凍食品、ハム・ソーセージ、飼料などさまざまな分野で使用されている。タピオカでん粉は、わらびもち、即席麺、ハム・ソーセージ、飼料などに使用されている。ばれいしょでん粉は、即席麺や調味料に、小麦でん粉は、スナック菓子やウインナーに使用されている。また、ばれいしょでん粉とタピオカでん粉をミックスしたものも、菓子、製パン、ハム・ソーセージなどの分野で使用されている。
 種類別にはタピオカでん粉が最も多く、次いでばれいしょでん粉が使用されている。タピオカでん粉はタイ産が主であるが、マレーシア、ベトナム産の使用も一部で見られた。また、ばれいしょでん粉はEU産、小麦でん粉は米国産、カナダ産、豪州産が使用されている。
 輸入でん粉は主にコスト削減を目的として採用されることが多く、わらびもちでは高級なわらび粉(わらびから採取したでん粉)の代替として、総菜ではとろみ付けのために国内産ばれいしょでん粉の代替として、ともにタピオカでん粉が使用されている。


②取扱量の動向〜低コスト化を図るための需要で増加〜
 輸入でん粉使用15社の平成20年の総仕入量は、前年比100.3%とほぼ横ばいとなった。企業別の増減では、仕入量が前年より増加した企業が6社、同量だった企業が4社、減少した企業が5社となっている。仕入量が増加した理由は、「商品の売れ行きが好調であったため」としている。仕入量が減少した企業についてもその理由は、「商品の売れ行きによるもの」としている。しかしながら、それら企業のうち数社は、新商品やリニューアル商品に輸入でん粉を使用する意向を持っており、仕入量は今後増加すると見込んでいた。

③仕入価格の動向〜昨年度よりも価格は下落〜
 輸入でん粉は、コストメリットを理由に使用されてきたが、平成19年には、輸入ばれいしょでん粉については、EUの原料ばれいしょの不作、タピオカでん粉についても、世界のエタノール生産の増加やそれに伴うキャッサバの飼料用としての需要が急増したことなどから、供給が不足しいずれも価格が上昇した。しかし、平成20年においては、EUでの原料ばれいしょが例年並みの収穫高であったことやバイオエタノール需要が一段落したことから、価格は下落傾向となった。価格は下落したものの、本調査ではコストメリットを理由に国内産でん粉から輸入でん粉にシフトした企業は見られず、輸入でん粉内でのシフトが見られた。その内容は、輸入ばれいしょでん粉からコストの低い輸入タピオカでん粉へのシフト、タイ産のタピオカでん粉から更に価格の安いベトナム産へのシフトといったものである。


④今後の動向〜供給量と価格の動向を注視〜
 輸入でん粉の供給は、原料のバイオエタノール向け需要、気象の変動、中国などアジア諸国の経済成長による需要増などさまざまな要因から、不安定になる可能性が考えられる。ユーザーは安定供給を第一に考えているため、でん粉サプライヤーとの連携や信頼の構築を重要視している。また、輸入でん粉の使用量が大きい製品分野では、さらなるコスト削減のために、安価なでん粉への切り替えを検討することが考えられる。


(5)化工でん粉 〜食品添加物指定による影響は見られず〜

①使用状況〜幅広い用途〜
 化工でん粉は、調査対象企業のうち22社が使用しており、その製品分野は、菓子、清涼飲料、乳製品、製パン、調味料、水産練製品・珍味、ハム・ソーセージ、製紙・紙加工、製薬、飼料など幅広いものとなっている。
 使用理由には、口どけ改良、安定性向上、増粘剤、結着剤など味覚そのものではなく、機能面が重視されている。化工でん粉にはでん粉サプライヤーが開発したさまざまな種類の製品が見られ、ユーザーの使用目的ごとに化工でん粉を提案している。由来とするでん粉によって、またその商品特性によって、大きく価格が異なっている。


②取扱量の動向〜取扱量はやや減少〜
 化工でん粉使用22社の平成20年の総仕入量は、前年比94.8%と減少した。企業別に見ると、平成20年の仕入量が前年より増加した企業が7社、同量だった企業は7社、減少した企業は8社となった。他のでん粉と同様に、仕入量の増減の理由は、「使用している商品の売れ行きによるもの」が主となっている。一部の企業では、平成19年にコストメリットから、ミルク調製品の仕入を脱脂粉乳、化工でん粉(デキストリン)、砂糖の分離調達に変更していたが、平成20年の生乳不足の影響で脱脂粉乳の確保が困難になり、再びミルク調製品にシフトさせたといった動きも見られた。
 また、食品メーカー向けの供給が大きいダンボールを扱う製紙・紙加工メーカーも食品の売り上げが減少した影響を受け、仕入量も減少となっている。製紙・紙加工メーカーでは大量の化工でん粉を使用しており、価格にはシビアにならざるを得ない。一部のメーカーではコーンスターチ由来の化工でん粉の仕入を減らし、相対的に価格の低いタピオカでん粉由来のものの仕入を増やすなどの対応をとっていた。


③今後の動向〜使用を継続するとの意向〜
 本年度の調査では、化工でん粉の食品添加物指定により大きな影響を受けたとする企業は認められなかった。現在は経過措置期間として様子を見ている食品メーカーも多いが、他の添加物やでん粉に代替することは物性上困難であるとしている。そのため、今後も継続して使用する企業がほとんどであると考えられる。
 品質の面については、日本のでん粉メーカーが海外に進出して製造している例もあり、輸入品の品質の向上を期待できるとの見込みもあった。


表製品分野におけるでん粉の種類別利用状況

2.まとめ

 今回の調査では、食品メーカーにおいて、現在の商品に使用しているでん粉を他の種類へと切り替えることについては、時間や開発コストがかかるため、積極的な動きは見られなかった。このため、国内産いもでん粉の需要拡大のためには、いかに新商品に使用してもらうか、ということになろう。ユーザーは、求める品質のものを安定的に供給できるか、という点を重視しており、国内産ばれいしょでん粉については、品質について一定の評価を得ているものの、国内産かんしょでん粉については、この品質の向上と均一化が課題となっている。
 一方、大量にコーンスターチや輸入でん粉を使用しているメーカーでは、コスト削減についての意識がますます高くなってきていることが見て取れた。これは、平成20年9月以降に世界同時不況となり、その影響でさらに消費者の購買意欲が冷え込んだため、購買意欲喚起のために小売では値下げを行うといった状況となっていることが影響している。同じような物性のでん粉であれば、価格の安いものへと切り替える動きは、既に見られている。今後もこういった動きについて注視していく必要がある。





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