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平成21年度でん粉の需要実態調査の概要

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最終更新日:2010年6月3日

平成21年度でん粉の需要実態調査の概要

2010年6月

調査情報部 調査課

はじめに

 でん粉は、製品の主原料となることは少ないものの、その用途は、食品や工業品など多岐にわたっている。わが国で消費されているのは、コーンスターチ、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉、タピオカでん粉などの天然でん粉および天然でん粉から生産される化工でん粉であるが、原料作物の違いにより特性が異なるため、ユーザーはそれぞれの用途に応じたでん粉を使用している。
 
 国内産いもでん粉は、平成19年の制度改正以降、市場の需給事情に応じた取引が行われており、主な仕向先となっている糖化用以外の販路の確保・拡大が求められているところである。
 
 こうした状況を踏まえ、当機構では、でん粉の需要実態を把握するため、各天然でん粉と化工でん粉を調査対象として、平成21年度でん粉需要実態調査を行ったので、その概要を報告する。
 
 なお、異性化糖を含む甘味料の需要実態調査については、砂糖類情報2010年6月号に掲載しているので併せてご覧いただきたい。
 
 

1.調査概要

 でん粉使用企業37社に対して、2009年(1〜12月)におけるコーンスターチ、国内産ばれいしょでん粉、国内産かんしょでん粉、タピオカでん粉および化工でん粉の使用状況について調査を行った。調査項目は、使用しているでん粉ごとに、(1)使用動機(2)調査対象年およびその前年の仕入量と今後の見込み(3)仕入価格(4)評価(5)ほかの種類のでん粉などへの切り替えの可能性(6)使用商品例―とし、聞き取りにより調査した。
 
 製品分野としては、糖化製品、菓子、乳製品、洋生菓子、製パン、片栗粉、調味料、佃煮・煮豆、水産練製品、即席麺、スープ、はるさめ、冷凍食品、ハム・ソーセージ、ビール類、製紙、飼料、接着剤を対象とした。
 

2.調査結果

(1)コーンスターチ 〜とうもろこし価格下落に伴い、価格は安定〜

2009年の状況
 
 コーンスターチを使用していたのは21社で、ビール、水産練製品、即席麺、スープ、はるさめ、菓子、片栗粉、調味料、ハム・ソーセージ、冷凍食品、洋生菓子、佃煮・煮豆、製パン、接着剤、飼料など幅広い製品分野で使用されている。
 
 使用理由としては、「食感改良」、「風味付与」、「製品の成型に利用」、などに加え、「ほかのでん粉に比べて安定的に確保できる」と、調達面での安定性が挙げられた。
 
 これら21社における2009年の仕入量の合計は3万3490トンで、前年比2.7%の減少となった。企業別では、前年に比べて増加した企業は5社、前年並みだった企業は12社、減少した企業は4社であった。増加理由は、「商品の売れ行きによるもの」が主であるが、「ほかのでん粉の使用量を減らし、コーンスターチを使用した製品を増やした」とする声も多数聞かれた。その一例が、昨今の汚染米騒動を契機とした米でん粉からの切り替えである。一方、減少した主な理由は、「不況の影響により商品の売れ行きが不調であった」ことが挙げられた。
 仕入価格については、仕入量によって差があるものの、とうもろこし価格が落ち着きを見せたことから、2009年はほとんどの企業で安定していたとの声が聞かれた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が2社、横ばいを見込む企業が15社、減少を見込む企業が2社、予測できないとする企業が3社となった。
 
 いずれの場合も、「コーンスターチを使用した製品の売れ行きに伴うもの」を理由とする企業が大半であった。また、食品メーカーからは、「タピオカでん粉の方が、最近の消費者の嗜好に合致した食感(「もっちり感」)を実現できるため、麺製品などを中心にタピオカでん粉の利用率が高まってきている」、との意見も聞かれた。
 

(2)国内産ばれいしょでん粉 〜糖化用以外では一定の需要〜

 
 
2009年の状況
 
 国内産ばれいしょでん粉を使用していたのは18社で、糖化製品、水産練製品、即席麺、スープ、はるさめ、片栗粉、ハム・ソーセージ、冷凍食品、製紙、接着剤、飼料など幅広い製品分野で使用されている。使用理由としては「食感改良」、「風味付与」のほか、「国産訴求」や「無添加製品への使用」などの理由が挙げられた。
 
 これら18社における2009年の仕入量の合計は2万152トンで、前年比37.4%の大幅減となった。これは、大口ユーザーである糖化製品メーカーが、使用量を大幅に縮小したことによる。既存設備や製造・物流に関わるコストを考えると、糖化製品用の原料をとうもろこし(コーンスターチ)に統一した方が、メリットがあるとの理由が挙げられた。なお、糖化製品向け以外の需要についてはほぼ前年並みとなった。
 
 企業別の増減では、仕入量が前年に比べて増加した企業は5社、前年並みだった企業は8社、減少した企業は5社であった。増加した要因としては、「景気低迷によって内食化傾向が高まり、家庭用製品の販売が好調であった」など商品の売れ行きによるものであった。そのほかに目立った動きとして、化工でん粉の添加物指定に伴い、化工でん粉からばれいしょでん粉をはじめとするほかのでん粉へ切り替えた企業が見られた。規模が大きい企業の場合、コストや煩雑さの点から、切り替えに慎重になる傾向があったが、規模が比較的小さい企業の場合には、これを契機に、と切り替えを行っているケースが多く見られた。減少の理由としては、「内食化傾向の高まりにより、外食企業向けの業務用製品の売上が落ち込んだ」など、増加要因と同様商品の売れ行きによるとのことであった。このほか、価格面と安定的な数量確保などを理由に、コーンスターチへ切り替えた企業も見られた。
 
 仕入価格については、仕入量などによって差はあるものの、ほとんどの企業で、2009年は2008年よりも上昇したとの声が聞かれた。
 
 品質に関しては、同じ国内産ばれいしょでん粉でも、産地やメーカーによって異なる場合、調達先が限定されてしまい、数量の確保に不安を感じるため、出来るだけ品質を統一してもらいたいとの意見が聞かれた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が10社、減少を見込む企業が3社となった。大半の国内産ばれいしょでん粉使用企業においては、糖化用を除き、特に大幅に使用量を減らすような傾向にはなく、今後も一定の需要があるとしていた。「国内産ばれいしょでん粉を使用した製品を新たに販売するため、仕入量は増える」、「化工でん粉の添加物扱いに伴い、ばれいしょでん粉へ全量切り替える可能性がある」などの声も聞かれた。しかしながら、ばれいしょでん粉を使用している糖化製品メーカーにおいては、使用量を縮小する傾向が見られる。
 

(3)国内産かんしょでん粉 〜使用する企業は限定的〜

 
 
2009年の状況
 
 国内産かんしょでん粉を使用していたのは6社で、はるさめ、菓子、接着剤、飼料の製品分野で使用されていた。使用理由としては「従来から使用しており、製品の特性(物性)に合っている」との声が大半を占めた。そのほかには、「コスト削減のためにワキシーコーンスターチから切り替えた」、「国産訴求」などの理由が挙げられた。
 
 これら6社における2009年の仕入量の合計は547トンで、前年比3.0%の増加となった。企業別の増減では、仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、前年並みだった企業が4社で、減少した企業は見られなかった。増加した2社は、「コスト削減」や「新商品への限定的な使用」という理由で、2009年から使用を開始した企業である。
 
 仕入価格については、主産地が鹿児島県であるため、物流コストが割高となる点に問題を感じている企業が見られた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が1社、横ばいを見込む企業が3社、減少を見込む企業が2社となった。いずれの場合も、「商品の売れ行きに伴うもの」がその理由であった。
 
 

(4)タピオカでん粉 〜価格高騰が懸念材料〜

 
 
2009年の状況
 
 タピオカでん粉を使用していたのは13社で、水産練製品、即席麺、スープ、菓子、調味料、ハム・ソーセージ、パン、接着剤、飼料などの製品分野で使用されている。
 
 使用理由としては「食感改良」や、「ほかのでん粉と比べた場合の価格優位性」を示す声が多かった。タピオカでん粉は現在、食品に「もっちり」とした食感を与えることができ、かつコストも比較的安価であるため、麺製品などを中心に食品業界全体で使用率が高まってきているとの意見が得られた。
 
 これら13社における2009年の仕入量の合計は6108トンで、前年比11.1%の増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は3社、前年並みだった企業は8社、減少した企業は3社であった。増加理由としては、「タピオカでん粉を使用する注力商品の販売が好調だった」、「デフレの影響でタピオカでん粉が使われている低価格帯商品の売り上げが好調だった」、「2009年にコスト削減のためにコーンスターチから切り替えた」などの理由が聞かれた。また、「食感向上のために製品中のタピオカでん粉の含有量を増やした」とする食品メーカーも見られた。減少理由としては、「商品の売れ行きによるもの」とする企業がほとんどであった。
 
 仕入価格については、タイにおける害虫被害による減産見込みなどで2009年末から上昇傾向となっていることから、ほかのでん粉と比較した場合の価格優位性が薄れるのではないかとを不安視する声が多数であった。
 
 また、タイの減産見込みや政情不安が、今後の数量確保に対する企業の不安を増幅させている。既に各企業は対応を検討し始めており、カントリーリスク回避のために、ベトナムなど、タイ以外の仕入先を増やす傾向がみられた。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が4社、横ばいを見込む企業が8社、予測できないとする企業が2社となっており、減少を見込む企業は見られなかった。
 
 増加予測の要因としては、「デフレ下では、タピオカでん粉を使った低価格商品の売上が期待できる」、「タピオカでん粉を使用した新製品を販売する予定である」、「現在消費者が求めている食感はコーンスターチよりもタピオカでん粉の方が近い」、「化工でん粉の添加物指定に伴って、タピオカでん粉への切り替えを検討している」などの声が聞かれた。
 
 しかしながら、タピオカでん粉価格が高騰する中、価格次第ではほかのでん粉に切り替える可能性を示唆する企業もあるため、今回得られた見通しどおりとなるかどうかは不透明である。
 

(5)化工でん粉 〜景気低迷および食品添加物指定の影響により需要減〜

 
 
2009年の状況
 
 化工でん粉を使用していたのは17社で、水産練製品、スープ、菓子、調味料、乳製品、ハム・ソーセージ、冷凍食品、洋生菓子、パン、製紙、接着剤、飼料、などの幅広い分野で各種の化工でん粉が使用されている。特に製紙分野では、大量の化工でん粉が使用されている。使用理由はその物性によるものであった。各社とも製品にマッチする特定の化工でん粉を選択しているもようである。
 
 これら17社における2009年の仕入量の合計は4万9109トンで、前年比8.6%の減少となった。これは、大量ユーザーである製紙メーカーが、景気低迷による製品需要の減少を反映し、仕入量を減らしたことによるものが大きい。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は1社、前年並みだった企業は12社、減少した企業は4社であった。ほとんどの企業が、「商品の売れ行きによるもの」をその増減理由とした。
 
今後の見通し
 
 今後の仕入量に関しては、横ばいを見込む企業が11社、減少を見込む企業が4社、予測できないとする企業が2社となっており、増加を見込む企業はなかった。横ばいから減少を見込む企業が多数見られた要因としては、化工でん粉の添加物指定による影響が大きい。しかしながら、代替となるでん粉は存在しないため、使用を継続するとする意見もあった。このほか、「ペーパーレス化の進展で、紙の需要量が減少する(製紙メーカー)」、「景気回復のめどが立っておらず、しばらくは製品の売り上げが期待できない」などの理由が挙げられた。
 

まとめ

 本調査において、2009年に最も需要が伸びたのは、タピオカでん粉であった。消費者に人気のある独特の食感を製品に付与できることに加え、価格面でも優位にあるため、食品メーカーを中心に使用率が高まっていた。しかしながら、今後については、価格動向や供給面を不安視する声が多い。また、化工でん粉については、添加物指定に伴い、ほかのでん粉への切り替えを検討する食品メーカーが見られた。
 
 ばれいしょでん粉、かんしょでん粉の国産いもでん粉については、糖化製品向け需要の減少傾向がみられ、糖化用以外の用途の確保・拡大は喫緊の課題となっている。ユーザーが求める安定供給、品質の均一化が、国内産いもでん粉の需要拡大には必須となるであろう。本調査対象企業の中には、コスト削減や国産訴求のために、少量の場合もあるが、国内産いもでん粉に切り替えた動きも見られたことから、物流コストなど克服すべき点はあるものの、今後の国内産いもでん粉の需要拡大に向けた取り組みに期待したい。
 
 最後に、ご多忙の中、本調査に対してご協力いただいた各企業に、この場を借りて厚くお礼を申し上げる次第である。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713



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