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世界のでん粉製品需給の見通し

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最終更新日:2010年12月3日

世界のでん粉製品需給の見通し
〜異性化糖、ぶどう糖およびソルビトールについて〜

2010年12月

調査情報部調査課

 
 
【要約】
 
1.異性化糖
 最大の生産国である米国では、砂糖回帰によって国内市場が縮小しているものの、メキシコ向け輸出の増加が需要を下支えしている。多くの国で市場が成熟した感がある中、中国およびメキシコでは需要が伸びており、今後も堅調に推移すると見込まれる。
 
2.ぶどう糖
 液状で輸送コストが高いため、貿易は限定的である。そのため、ほとんどの生産国では、その生産規模は国内需要に応じたものとなっている。異性化糖と同様、国際的に市場は成熟しているが、中国の需要は増加しており、引き続き堅調な推移が見込まれる。
 
3.ソルビトール
 中国の生産拡大により、アジアが供給不足から供給過剰に転換した。製造業者は現在、高騰する原料価格に苦慮している。
 
 

はじめに

 2009年のでん粉製品価格は、原料価格の高騰に伴い上昇した2008年の水準から下落することとなった。しかしながら2010年中ごろ以降、再び上昇傾向を見せている。これは約30年ぶりの高水準となっている国際砂糖価格の影響に加え、タイでは害虫被害によりキャッサバが、またロシアでは干ばつにより小麦がいずれも減産となり、これら原料価格が高騰していることを反映している。
 
 でん粉製品のうち、異性化糖など液状のものについては、輸送コストが高いため貿易量は少ない(ただし例外として、米国―メキシコ間では北米自由貿易協定(NAFTA)を背景に増加傾向にある)。対照的にソルビトールなどの糖アルコールは、固形で輸送が比較的容易であることなどから、輸出に仕向けられる割合が多くなっている。
 
 本稿では、代表的なでん粉製品である異性化糖、ぶどう糖およびソルビトールの需給見通しについて報告する。なお、本稿中の異性化糖およびぶどう糖の数値については、乾燥重量である。
 
 

1.異性化糖

(1)世界全体

 〜中国、メキシコで需要が増加〜
 
 2009年の世界全体の異性化糖生産量は、1730万トンとなった。地域別では北アメリカが最大の産地となっており、全体の約7割を占める1240万トンが生産された。次いでアジアが340万トンと約2割を占めている。
 
 国別では、米国が最大の生産国であり、2009年の生産量は777万トンと、世界全体の45%を占めた。なお、米国の異性化糖需給については次項にて詳述する。
 
 一方、2009年の世界の消費量は1740万トンで、その構造は生産とほぼ同様に、北アメリカ7割、アジア2割となっている。このうち、中国およびメキシコでは、砂糖価格の上昇に伴って異性化糖の価格優位性が高まり、需要は増加傾向にある。中国は、2009年に消費量が200万トンに達したとみられるが、そのほぼ全量を国内生産で対応している。
 
 また、メキシコについては果糖含有率55%の異性化糖(以下「HFCS55」)需要が増加しており、増加分は米国からの輸入で賄われている。今後、中国およびメキシコでの需要は、砂糖価格の動向に影響されるものの、引き続き堅調に推移するとみられる。しかしながら、そのほかの国では、需要が飽和状態であるか、またはEUやトルコのように砂糖との過度な競争を避けるため政策的に生産が制限されているので、大きな需要の伸びは見込まれないと考えられる。
 
 2009年の世界の貿易量は154万トン(果糖含有率42%の異性化糖(以下「HFCS42」)が75万トン、HFCS55が79万トン)と、総生産量の1割程度を占めるにすぎない。その大部分は、米国からメキシコへのHFCS55の輸出およびEU域内での輸出入であった。
 
 
 
 
 
 
 

(2)米国の状況

 (ア)とうもろこし仕向け割合
 
 〜異性化糖向けは約4%〜
 
 米国は異性化糖の世界最大の生産国である。米国における異性化糖の原料であるとうもろこしの仕向け割合については、近年、燃料用アルコール(エタノール)向けの増加が特に目立っている。2004/05年度(9月〜翌8月)は、とうもろこし生産量118億700万ブッシェル(2億9990万トン、1ブッシェル=25.4キログラム)のうち、燃料用アルコール仕向け量は13億2300万ブッシェル(3360万トン)と11.2%を占めるにすぎなかったが、2009/10年度には生産量の34.3%(45億ブッシェル、1億1430万トン)、2010/11年度には35.7%(47億ブッシェル、1億1938万トン)と約3倍に増加する見通しとなっている。
 
 一方、異性化糖仕向け量については、比較的大きな変化はないものの、2005/06年度の5億4500万ブッシェル(1384万トン)以降漸減し、2009/10年度は5億1500万トン(1308万トン)となった。しかしながら、2010/11年度には砂糖価格の上昇による価格優位性から、5億2500万ブッシェル(1334万トン)と前年度から1.9%の増加が見込まれる。
 
 
 
 
(イ)米国の異性化糖需給
 
〜国内消費は減少もメキシコ向け輸出でカバー〜
 
 米国の異性化糖消費は、「natural」志向の高まりによる消費者の砂糖回帰などから減少傾向で推移してきており、2009年の消費量は前年比4.0%減の728万トンと見込まれ、5年前と比べて11.4%減少している。また、生産量も前年比3.5%減の777万トン(内訳は、HFCS42が286万トン、HFCS55が491万トン)と見込まれている。しかしながら2010年の生産量については、砂糖価格の上昇に伴う異性化糖の価格優位性から、上半期(1〜6月)で前年同期比6.7%増の410万トンと回復を見せている。
 
 また、北米自由貿易協定(NAFTA)の下、メキシコ向け輸出が増加しており、国内市場が縮小する中、需要の下支えとなっている。
 
 米国の2009年における異性化糖輸出量は、前年比0.8%減の61万7000トンと、前年から減少したが、2004年の4倍以上の水準に増加している。内訳は、約50万トンがメキシコ向け、残りのほぼ全量がカナダ向けとなっている。メキシコ向け輸出はほとんどがHFCS55となっている。HFCS42については、メキシコが同国内の製造業者2社(Arancia社およびAlmex社)の生産によって需要をほぼ満たしているため、米国からの輸出はごく少量である。
 
 メキシコの異性化糖需要は、砂糖価格の高騰による価格優位性から急激に拡大しており、特に飲料部門での使用が目立っている。米国農務省は、メキシコにおける異性化糖消費量は、2008/09年度(10月〜翌9月)に76万7000トンであったが、2009/10年度には128万2000トンまで大幅に増加すると見込んでいる。
 
 今後の需要の増加は砂糖価格にも左右されると思われるが、2010/11年度についても、前年度並みかやや増加すると見込まれている。メキシコの消費増に伴って米国からの輸出量も増加しており、2009/10年度には約83万トンに達すると見込まれ、2010/11年度はさらに1割程度増加し90万トンと予測されている。これまでのところ、需要増はほぼ米国からの輸出で賄われており、メキシコ国内の生産規模拡大は進んでいない状況にある。
 
 
 
 

2.ぶどう糖

 〜市場は成熟しており、安定的に推移の見込み〜
 
 2009年の世界のぶどう糖生産量は、2032万トンとなった。地域別ではアジアが最大の産地となっており、全体の約4割を占める859万トンが生産された。次いで北アメリカ477万トン、ヨーロッパ468万トンとそれぞれ約2割強を占めている。
 
 ぶどう糖については、異性化糖や砂糖と異なり、生産や価格に影響を与える政策を有する国は少ない。ただし例外としてトルコでは、生産量が国内需要を上回ることのないよう、異性化糖と同様の生産割当制度が実施されている。
 
 一方、貿易については、液状のため輸送が高コストとなることから限定的となっている。2009年の総貿易量は327万トンと、総生産量の2割に満たない水準となった。主要輸出国は、フランス、ベルギー、中国、米国などであるが、中国を除いては、これらは主にEUでの域内貿易やNAFTAを背景とした北アメリカ内貿易である。こうしたことから、ほとんどの国においてぶどう糖は、国内需要に見合った生産となっている。
 
 消費については、ここ10年間は、食品および医薬品向けの伸びから増加傾向で推移してきたが、近年は中国を除くほとんどの国において、市場が成熟していることから需要の伸びは鈍化している。しかしながら、中国では甘味料や医薬品向けの需要の伸びから、2009年には生産能力が年間500万トンに達しており、引き続き堅調な需要の推移が見込まれる。
 
 
 
 
 
 

3.ソルビトール

 〜原料となるでん粉価格高騰の影響に注目〜
 
 2009年の世界のソルビトール生産量は、198万トンとなった。地域別ではアジアが最大の産地となっており、全体の約6割を占める113万トンが生産された。次いでヨーロッパ40万トン、北アメリカ33万トンとなった。
 
 国別では、フランス、インドネシア、ドイツ、中国および米国の5カ国が主要生産国であり輸出国である。2009年の世界の輸出量60万トンのうち、この5カ国で輸出量の9割を占めた。国別の輸出量は、フランス24万トン、インドネシア12万トン、中国6万トンとなった。
 
 ここ10年間、中国において生産規模の拡大が行われ、その結果、アジアは供給不足から供給過剰へと転換することとなった。そのため、中国における稼働率は50〜60%にとどまっているとみられる。
 
 また、現在、世界のソルビトール製造業者は原料価格高騰への対応に苦慮している。特にアジアにおいては、キャッサバへの害虫被害によってタピオカでん粉価格が高騰しているため、今後のソルビトール価格の動向が注目される。
 
 
 
 
 
 
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