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でん粉を原料とした生分解性マルチフィルム

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最終更新日:2011年11月9日

でん粉を原料とした生分解性マルチフィルム

2011年11月

株式会社FKグリーン 代表取締役 門脇 文雄
 

【要約】

 二酸化炭素(CO2)の大量放出、地球温暖化、ゴミの焼却処分(有害物質発生の懸念)、限りある資源の確保に対する不安などの問題は、人類が高度経済成長し文化的な生活を追求した結果において生じた「負の遺産」です。

 地球上の動植物は一切ゴミを出さず、すべてを自然に還し微生物による再生を促し、動植物を育み循環型の世界を形成しています。人間のみがゴミを排出し、それにより地球上を汚染し害を与えています。

 このような現状を踏まえ、かけがえのない地球を守り、将来を担う子供たちの健康と健全な自然を残していくため、生分解性(でん粉)樹脂製品の使用拡大を図ることにより「環境保全型農業」の確立に寄与できるものと確信しています。

1.開発の背景

 マルチフィルムは、畑の畝を覆うことによって発芽および野菜の生長を促進させるほか、さらに雑草の抑制などの目的で広く使用されています。

 宮崎県内で使用されている農業用マルチフィルムは、年間およそ2500t〔宮崎県農産園芸課の統計(平成19年度)による〕です。このほとんどは石油系マルチフィルムで、使用後ははぎ取り作業および産業廃棄物処理をしなくてはならないため、作業効率と費用の面で農家の負担も大きく、長年の課題となっています。

 そこで当社は、「自然に還るマルチフィルムを作り、農畜産県宮崎の農業を応援し協力したい」の一念で、自然に還る生分解性(でん粉)樹脂製農業用マルチフィルムの開発に取り組みました。

 平成14年度より10年間にわたり宮崎県の県総合農業試験場や各地域の農業改良普及センターおよび市町村農産園芸課、農林振興局、JAなどの協力をいただき、生分解性(でん粉)樹脂製農業用マルチフィルムによる作付け試験を、あらゆる土質の土壌で行ってきました。試験対象の作物数も26種類と、多くの試験データを得ることができました。さらに、日本各地においても同様の作付け試験を実施しました。

 生分解性(でん粉)樹脂製農業用マルチフィルムの分解速度は、天候や土壌の条件(地温、水分、微生物など)で多少の差はありますが、時間とともに分解は確実に進み、作物の収穫に影響を及ぼすことはありません。

 90日〜120日で分解される標準タイプは、一般的な野菜類では収穫時にほとんど原形をとどめない程度まで分解されます。分解されずに残った分もでん粉質ですから土にすき込んでしまえば微生物により土中で分解してしまいます。したがって、はぎ取り作業および産業廃棄物処理が不要となります。 このマルチフィルムの利用者の中には「120日たっても分解していない」と言われた方もいましたが、その土壌を検査したところ土壌菌が少なく、土壌自体が本来の力を失っている状態でした。土壌菌の生息できる良質の土作りが重要であることは言うまでもありません。

2.生分解性(でん粉)樹脂製農業用マルチフィルムの特性

 当社の生分解性(でん粉)樹脂製マルチフィルム〔エコちゃん(R)〕は、土壌微生物によって水と二酸化炭素に分解され土に還ります。

 同フィルムの特性(当社使用原料に基づく)は、以下のとおりです。

 (長所)
・生分解性とコンポスト化(堆肥化)は実証済み。土壌中の微生物により分解します。
・水分は通さないが、良好な蒸気透過性を持ち蒸れにくい。
・ヒートシール特性がよいため、袋物加工が容易である。
・微生物による分解なので、ゴミとして残らない。
・有機肥料の質に影響を及ぼさない。
・大気を汚染しない。
・熱量が低く、焼却した場合、焼却炉に負担がかからない。

 (短所)
・石油系ポリエチレン系に比べ、高価である。但し、廃棄処分にかかる人件費および、諸費用を考慮すると断然安価である。
・長期保存ができない。保管中に分解が進み使用不可となる場合がある。(製品は使用期限を18カ月以内とする)
 
 

3.海外の関心も高まるエコロジー資材

 平成18年ころから宮崎県内外市町村より視察、説明会(48団体)の要望が相次ぎました。

 どの自治体も一部廃棄されたマルチフィルムの処理に頭を痛めている現状がうかがえます。

 製品価格は原料の関係で石油系マルチフィルムより高価。しかし、撤去および廃棄にかかる費用を含めて計算すると断然安くなります。

 また、CO2削減に大きく寄与できるため、地球温暖化防止対策もあってアメリカ、中国、韓国、台湾など海外からの関心も高く、視察を受けました。

 今後、環境にやさしい生分解性(でん粉)樹脂製農業用マルチフィルムを使った農作物として、宮崎発のブランド化も視野に置き、宮崎から安心安全な環境保全型農業を推進します。

 当社の〔エコちゃん(R)〕は、日本バイオプラスチック協会の製品認証を受け識別表示基準に適合した「グリーンプラ(R)(注)製品です。地球環境への負荷を著しく軽減できる「グリーンプラ(R)」は、自然環境中で使用される製品や使用後のリサイクルが難しい分野への応用が期待され、市場も順調に拡大しつつあります。

(注)「グリーンプラ(R)」の生分解度は、国際的に規定された試験方法と、定められた基準により審査されます。さらに、重金属等の含有物、分解過程(分解中間物)での安全性などの基準をクリアした製品だけが、グリーンプラ・マークをつけることができます。
 
 

4.環境にやさしい農畜産業の振興を宮崎から

 平成22年、宮崎県は口蹄疫、鳥インフルエンザにより大打撃を受け、全国各地に大変な心配と迷惑をおかけしました。

 皆さまから被害義援金と「がんばれ宮崎」と力強い励ましをいただき、宮崎県民の一人として、また農業資材提供会社として大変感謝しております。
 
 
 殺処分は、ブルーシートとポリ袋を使用して地中に埋設されました。そのとき、生分解性でん粉樹脂製品を使用できていれば、時の経過とともに家畜を完全に大地へ戻すことができたのではないかと思います。

 口蹄疫終結から1年が経過し、これから再復興が始まります。

 当社も農畜産業の発展を見据え、新生宮崎の復興に協力していきたいと考えています。

5.今後の課題

 循環型社会形成基本法に基づき、宮崎県9市14町3村の農業用廃プラスチック適正処理対策推進協議会の協力と指導のもと、JA組合員、農業法人、一般農業従事者などに生分解性(でん粉)樹脂製農業用マルチフィルムを普及し、CO2の削減を推進するとともに、環境にやさしい土づくりを展開していきたいと思います。

 また、生分解性(でん粉)樹脂製生ごみ用袋の使用を各自治体に働き掛け、家庭ゴミの減量化によるCO2の削減を図り、環境にやさしい街づくりに貢献していきます。

 さらに農業県宮崎より全国への展開を目指しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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