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平成23年度でん粉の需要実態調査の概要

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最終更新日:2012年6月11日

平成23年度でん粉の需要実態調査の概要
〜需給ひっ迫を受け、仕入量の確保が課題〜

2012年6月

調査情報部
 

【はじめに】

 平成22でん粉年度(10月〜9月)におけるでん粉の需要量は、農林水産省によると、前年度を5.9%上回る280万4000トンとなった。

 でん粉は、製品の主原料となることは少ないものの、その用途は、食品や工業品など多岐にわたっている。わが国で消費されているのは、コーンスターチ、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉、タピオカでん粉などの天然でん粉および天然でん粉から製造される化工でん粉であるが、原料作物の違いにより特性が異なるため、ユーザーはそれぞれの用途に応じたでん粉を使用している。

 こうした状況を踏まえ、当機構では、でん粉の需要動向を把握するため、各天然でん粉と化工でん粉を調査対象として、平成23年甘味・でん粉の需要実態調査を行ったので、その概要を報告する。

1.調査概要

 でん粉使用企業30社に対して、2011年(1〜12月)における国内産ばれいしょでん粉、国内産かんしょでん粉、コーンスターチ、輸入ばれいしょでん粉、タピオカでん粉、小麦でん粉および各種化工でん粉の使用状況について調査を行った。調査項目は、使用しているでん粉ごとに、(1)使用動機(2)調査対象年およびその前年の仕入量と今後の見込み(3)仕入価格(4)評価(5)他の種類のでん粉などへの切り替えの可能性(6)使用商品例とし、聞き取りにより調査した。

 また、糖化製品用にでん粉を使用している企業3社に対しても、仕入量の動向を把握するため、聞き取り調査を行った。

 製品分野では、糖化製品、水産練製品、即席麺、春雨、片栗粉、スープ、菓子、冷凍食品、調味料、ハム・ソーセージ、パンを対象とした。

2.調査結果

(1)コーンスターチ 〜仕入量は微増〜

 
 
2011年の状況

 コーンスターチを使用していたのは21社で、水産練製品、春雨、スープ、菓子、冷凍食品、調味料、ハム・ソーセージ、パンなど幅広い製品分野で使用されている。使用理由としては、「食感改良」、「粘性付与」、「価格が安い」などが挙げられた。物性が安定しており、扱いやすいとのことから本調査においても最多の企業数となった。

 仕入量について回答のあった21社における2011年の仕入量の合計は1万6217トンで、前年比4.8%の増加となった。企業別では、前年に比べて増加した企業は7社、前年並みだった企業は11社、減少した企業は3社で前年並みだった企業が約半数を占めた。増加理由としては主に「商品の売れ行きによるもの」であったが、菓子・乳製品・スープを製造している企業において「小麦粉からコーンスターチに変更している」とする声も聞かれた。一方、減少した主な理由として「製品の統廃合による使用量の減」、「商品販売量の減少」が挙げられた。

 仕入価格に関しては、とうもろこし相場の上昇により多くの企業で値上がりしたとの回答を得た。今年は、円高である程度まで高価格を吸収しているとのことであった。

 コーンスターチの品質・供給安定性に関しては、特に問題ないとしている。

 原料の変更については、ほとんど原料を切り替える動きは見られなかった。これは、食品においてはコーンスターチが主原料になるケースは稀であり、仕入量が微量の企業が多く、コーンスターチの価格動向によって原料を切り替える企業が少なかったことによる。ただし、「タピオカでん粉の方が安いので、価格動向によってコーンスターチからタピオカでん粉に転換」を検討している企業もみられた。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が8社、減少を見込む企業が2社、非回答ないしは不明とする企業が8社となった。いずれの場合も、コーンスターチを使用した製品の今後の売れ行きに伴って仕入量が変動するので、見通しはつきにくいとのことであった。また、国産だと価格が安定しておらず、外国産ということも考えるが、国産にこだわりたいとする企業からの回答があった。

(2)国内産ばれいしょでん粉 〜供給量の減少に伴い、価格は上昇〜

 
 
2011年の状況

 国内産ばれいしょでん粉を使用していたのは17社で、糖化製品、水産練製品、即席麺、春雨、片栗粉、スープ、菓子、冷凍食品、調味料、ハム・ソーセージなど幅広い製品分野で使用されている。使用理由としては、「食感の改良」、「風味の改良」、「国産しか使わないというコンセプト」などが挙げられた。

 仕入量について回答のあった16社における2011年の仕入量の合計は10万4983トンで、前年比1.1%の増加となった。これは、大口ユーザーである糖化製品メーカーの使用量増による。なお、糖化製品向け以外の増加理由については「輸入ばれいしょでん粉の価格が上がったため、国産に変更」、「新たな得意先が増えた」などが挙げられた。企業別では、前年に比べて増加した企業は5社、前年並みだった企業は8社、減少した企業は2社であった。その他として昨年度の数量が非回答という企業が1社あった。減少要因として「供給不足、メーカーが売ってくれない」、「震災で工場が止まった」などがあった。一方で「震災以降家庭需要は伸びているが、外食産業等では伸び悩みということで、基本的には横ばいで推移していくと思われる」といった声が聞かれた。

 仕入価格に関しては、回答を得たすべての企業で値上がりしたとのことだった。

 国内産ばれいしょでん粉の品質に関しては、多くの企業が高い評価を示し、問題ないとしている。しかし、北海道のばれいしょの生産量が減少しており、手に入れることが難しくなっているという供給面が不安視されていた。「水産練り製品の品質維持にはばれいしょでん粉が高い評価を受ける」、「原料ばれいしょの不作が続いているので、生産量の回復に後2〜3年かかる」、「従来商品は、ばれいしょでん粉をコーンスターチやタピオカでん粉に変えるなど配合を変えて対処する」、「新商品には国内産ばれいしょでん粉を使えない」と言った声が聞かれた。

 なお、糖化製品に使用した企業は3社で、2011年の仕入量を前年と比べると、原料不足による調達難のため減少した。

 原料の変更については、多くの企業が他の原料への転換を実施していなかった。一部の企業では「粘度は出ないが価格が安いかんしょでん粉への切り替えを検討中」との回答を得た。また、「表示の問題もあり、輸入ばれいしょでん粉は加工でん粉で食品添加物扱いとなるが、国内産ばれいしょでん粉は食品扱いであり、この方が消費者の印象が良い」という観点から国内産ばれいしょでん粉に切り替えた企業もあった。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が4社、横ばいを見込む企業が6社、減少を見込む企業が1社、非回答ないしは不明とする企業が6社であった。国内産ばれいしょでん粉を使用する企業においては、その大半が今後も一定の需要があり使用量を減らすような傾向にはないとのことであった。一部の企業から「新たに工場を建てるため、仕入量が増える」、「得意先が増えたため使用量が増える」、「国内産ばれいしょでん粉の供給確保が不安」といった声も聞かれた。

(3)国内産かんしょでん粉 〜国内産ばれいしょでん粉価格に連動し価格が上昇〜

 
 
2011年の状況

 国内産かんしょでん粉を使用していたのは6社で、糖化製品、水産練製品、片栗粉、春雨、菓子の製品分野で使用されていた。使用理由としては「製品を作るにあたり国内産かんしょでん粉が一番適していた」、「以前から使用している」との声が挙げられた。

 仕入量について回答のあった6社における2011年の仕入量の合計は1万886トンで、前年比4.1%の増加となった。企業別では、前年に比べて増加した企業は3社、前年並みだった企業が1社、減少した企業は2社だった。増加した3社は、「新たな得意先が増えた」や「品質と表示の面からタピオカでん粉から変更した」という理由を挙げていた。

 仕入価格に関しては、国内産ばれいしょでん粉の影響で回答を得たすべての企業から値上がりしたとの回答を得た。

 国内産かんしょでん粉の品質・供給安定性に関しては、特に問題ないとしている企業が多かった。しかし、一部の企業から「品質は悪く、購入先が1つで必要量を購入することが出来ない」という回答があった。

 なお、糖化製品に使用した企業は2社で、2011年の仕入量はほぼ前年と同量であった。

 原料の変更については、多くの企業が他の原料への転換を実施していなかった。一部の企業から「安定供給の面から、コーンスターチへ少し切替えた」などの意見が出された。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が2社、横ばいを見込む企業が1社、減少を見込む企業が1社、非回答ないしは不明とする企業が2社となった。いずれの場合も、「商品の売れ行きに伴うもの」がその理由であるが、「生産量が減少しているため購入量は減少傾向である」と答えた企業もあった。

(4)タピオカでん粉 〜安定供給を評価〜

 
 
2011年の状況

 タピオカでん粉を使用していたのは12社で、水産練製品、即席麺、スープ、菓子、冷凍食品、ハム・ソーセージ、パンなどの製品分野で使用されている。使用理由としては「もちもち食感のため」、「他のでん粉の代替品」、「コーンスターチより安価」との声が多かった。

 仕入量について回答のあった12社における2011年の仕入量の合計は5万2136トンで、前年比16%の増加となった。企業別では、前年に比べて増加した企業は3社、前年並みだった企業は8社、減少した企業は1社であった。増加理由として「商品の売れ行きが好調だった」、「国産のでん粉が高騰し、出荷制限がかかっているため、足りない分をタピオカで補った」などであった。

 仕入価格に関しては、回答なしの企業が多かったが、需要が増加して価格が高騰しており、これ以上あがればコーンスターチに戻すと回答する企業もあった。

 タピオカでん粉の品質・供給安定性に関しては、特に問題ないとしている企業が多く、輸入でん粉の中では最も供給が安定している点を評価する声が多かった。ただし、一部の企業では「まだ企業によって品質の違いが存在するし、供給不安もある」と指摘する声もあった。

 なお、糖化製品に使用した企業は2社で、2011年の仕入量はほぼ前年と同量であった。

 原料の変更については、多くの企業が他の原料への転換を実施していなかった。ただし、一部の企業から、「品質と表示の関係からかんしょでん粉へ変更した」との回答があった。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が5社、横ばいを見込む企業が5社、非回答ないしは不明とする企業が2社となっており、減少を見込む企業は見られなかった。「調達しやすい」、「ばれいしょでん粉が不作のため」、「もちもちとした食感のものが求められているため」など増加を見込む理由が挙げられていたが、価格次第で他のでん粉に切り替える可能性を示唆する企業もあり、今回得られた見通しどおりとなるかは不透明である。

(5)輸入ばれいしょでん粉 〜欧州産の供給が不安〜

 
 
2011年の状況

 輸入ばれいしょでん粉を使用していたのは5社で水産練製品、片栗粉、菓子、ハム・ソーセージ、パンなど幅広い製品分野で使用されている。使用理由としては、「国内産の供給不足のため」、「他のでん粉と混ぜて使用する」などに加え、「国内産よりも光沢が良く安い」と、品質面での評価も挙げられた。

 仕入量について回答のあった4社における2011年の仕入量の合計は1201トンで、前年比11.1%の減少となった。企業別では、前年に比べて減少した企業は1社、前年並みだった企業は3社、増加した企業はなかった。減少理由として「価格が一時高騰したため、国内産に切替えた」とのことであった。 仕入価格に関しては、値上がりしたとの回答を得た。

 輸入ばれいしょでん粉の品質・供給安定性に関しては、特に問題ないとしている企業がある一方で、「供給不安がある。発注したものがこないというのは、価格以前の問題であり、非常に不安を感じている」という声が聞かれ、輸入ばれいしょでん粉を国内産ばれいしょでん粉に切り替えた企業があった。

 原料の変更については、回答のあった4社のうち2社が他の原料への転換を実施していなかった。しかし、残りの2社は、一部原料の切り替えを実施していた。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、減少を見込む企業が3社、非回答ないしは不明とする企業が2社となっており、増加、横ばいを見込む企業はなかった。減少を見込む企業の中に輸入ばれいしょでん粉の購入中止を決定しているところもあった。

(6)化工でん粉 〜幅広い分野で使用されている〜

 
 
2011年の状況

 化工でん粉を使用していたのは16社で、水産練製品、即席麺、スープ、菓子、冷凍食品、ハム・ソーセージ、パンなどの幅広い分野で各種の化工でん粉が使用されている。使用理由としては、「麺質を特徴づけるため」、「増粘材として使用」などが挙げられた。

 仕入量について回答のあった15社における2011年の仕入量の合計は4万2550トンで、前年比0.5%の増加となった。企業別では、前年に比べて減少した企業は2社、増加した企業は1社、前年並みだった企業は12社であった。減少理由として「製品アイテムの変更により購入量が減少」、「新規製品に使用されており、開発動向によって仕入れ量が変化する」などが挙げられた。

 仕入価格に関しては、回答を得たすべての企業で値上がりしたとのことだった。

 各種化工でん粉の品質・供給安定性に関しては、特に問題ないとしている。一部の企業では、調達サイドから製造サイドに対する要望として、「もう少しアイテムを絞ってロットメリットを追求したい」との声があった。また、調達に関しては「1社だと価格を左右されてしまうため、リスクヘッジのためにメーカーを増やした」とする企業もあった。

 原料の変更については、多くの企業が他の原料への転換を実施していなかった。なお、「でん粉メーカーは色々なグレードの化工でん粉を提案してくれるので、その提案により他の化工でん粉に切り替えることもある」とした企業があった。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が6社、横ばいを見込む企業が4社、減少を見込む企業が1社となっており、非回答ないしは不明とする企業が5社だった。増加を見込む企業は「架橋して使えるので増加していく」、「冷凍食品やレトルト品が増えているため」などの理由を挙げていた。

まとめ

 2011年を調査対象期間とした本調査においては、現在の商品に使用しているでん粉の種類を切り替えることは、でん粉の種類を問わずほとんどの企業で行っていなかったものの、品質の面、表示の面、安定供給の面などから一部の企業で切り替えを検討するところもあった。

 コーンスターチ、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉の国産いもでん粉、輸入ばれいしょでん粉は、軒並み価格が上昇しており、ばれいしょでん粉、輸入ばれいしょでん粉については、原料の確保が課題となっている。企業の中には国産訴求のために、国内産いもでん粉に切り替えたいといった意向も見られたことから、供給量の確保、物流コストなど克服すべき点はあるものの、今後の国内産いもでん粉の需要拡大に向けた更なる取り組みに期待したい。

 最後に、ご多忙の中、本調査に対してご協力いただいた各企業に、この場を借りて厚くお礼を申し上げる次第である。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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