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インドネシアのでん粉事情

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最終更新日:2012年9月10日

インドネシアのでん粉事情

2012年9月

調査情報部
 


【要約】

 インドネシアでは、タピオカでん粉国際価格の高騰を背景とした国内キャッサバ価格の上昇から、国内のキャッサバ生産が増加傾向にあり、また、国内需要が増加しているにも関わらずタピオカでん粉生産は停滞し、タイをはじめとした諸外国からの輸入量が増加している。

 一方、トウモロコシでん粉の生産量は少なく、消費量もタピオカでん粉消費量の16%と少ない。トウモロコシ生産量および輸入量の増加は主に飼料用となっている。

 インドネシアのでん粉輸入量の増加は、我が国のでん粉需給にも影響を及ぼす可能性があり、今後もインドネシアにおけるでん粉の生産・消費動向が注目される。

はじめに

 インドネシアでは、キャッサバを原料とするタピオカでん粉の消費が甘味料用需要の拡大により増加している。同国のキャッサバは、収穫面積で世界4位、生産量で世界3位と、世界の主要生産国の一角を占めており、生産量は増加傾向にあるものの輸入量が大幅に増加している。また、トウモロコシの輸入量も増加傾向にある。このことからインドネシアにおけるキャッサバおよびトウモロコシの需給動向が、世界のでん粉需給へ与える影響が注目される。

 このことから、本稿では、インドネシアにおけるでん粉の需給動向について、2012年5月に行った現地調査(東ジャワ州)および英国の調査会社LMC社の報告に基づき紹介する。

1.インドネシアの農業概要

 インドネシアは国土の総面積が19万457ヘクタール、東西は約5000キロ、3つの時間帯にわたり、南北は約2000キロに及ぶ広い範囲に、約1万7000の島からなる島嶼国家である。主な島は、スマトラ(Sumatera)、ジャワ(Jawa)、カリマンタン(Kalimantan、ボルネオ島のインドネシア領有部分)、スラウェシ(Sulawasi)、パプア(Papua、ニューギニア島の西半分)である。


(1)農業就業人口およびGDP

 インドネシアは、人口2億3764万人と2億人を超え、15歳以上の労働人口に占める農林水産業に係る就業人口の割合は38.3%と、農林水産業が重要な産業となっている。

 また、2010年におけるGDPは6436千億RP(ルピア、2012年7月現在TTS1RP=0.01円)における農林水産業部門が占める割合は、15.3%と1990年代後半から安定しており、2010年の農林水産業部門GDPに占める各部門の割合は、食用作物部門49.0%、非食用作物部門13.7%、畜産部門12.1%、漁業部門20.2%、林業部門4.9%と、食用作物部門が重要な位置を占めている。


(2)主要農産物の収穫面積

 インドネシアにおける主要農作物は、水稲、オイルパーム、トウモロコシ、ココナッツ、ゴム、キャッサバなどであり、各々の収穫面積は、農地面積の24.7%、9.3%、7.7%、5.7%、5.7%、2.2%を占めている。

 キャッサバの主要生産地域はスマトラおよびジャワ、同じくでん粉原料となるトウモロコシはジャワである。水稲はジャワおよびスマトラ、オイルパームはスマトラ、カリマンタン、スラバヤである。

 
 
 
 

2.キャッサバ、トウモロコシの生産・消費状況

(1)生産状況

 キャッサバの作付面積は、120万ヘクタール前後で推移する中、単収が2000年の1ヘクタールあたり12.5万トンから2010年の同20.2万トンへと大幅に増加したことにより、生産量は2000年の1600万トンから2010年の2400万トンへと大幅に増加した。

 州別にみると、最も生産量の多いランプン州(Lampung)の2010年作付面積は、34万6000ヘクタールと過去最大となり、生産量は863万8000トンであった。続いて生産量の多い中部ジャワ州(Jawa Tengah)、東ジャワ州(Jawa Timur)、西ジャワ州(Jawa Barat)の作付面積は過去10年間で減少傾向となっているものの、新品種の導入により単収が増加したため生産量は増加傾向で推移しており、2010年は中部ジャワ州387万6000トン(2000年比25.4%増)、東ジャワ州366万7000トン(同1.2%増)、西ジャワ州201万3000トン(同10.8%増)となった。作付面積の減少理由は、今回訪れた東ジャワ州では、植え付け(10〜11月)から収穫(9〜10月)まで1年の栽培期間を要することから、コメ、野菜などと競合することである。この州では近年、エダマメやイモなど、日本をはじめとした他国への輸出向け冷凍加工用野菜が増加している。キャッサバより収益性の高いこれら作物への農家の生産意欲は高まっており、キャッサバの作付面積拡大は難しいと考えられる。一方で、東ヌサ・トゥンガラ州(Nusa Tenggara Timur)などのように作付面積を増加させている州もある。関係者の話によると、大学などの研究機関では、山間部の傾斜地などのキャッサバしか栽培できない地域における生産技術の開発や品種改良を行っており、新規開墾によるキャッサバ作付面積が増加している。

 一方で、トウモロコシの作付面積は、2002年の313万ヘクタールから2010年の414万ヘクタールと大幅に増加し、単収も2000年の2.8トンから2010年の4.4トンへと増加したことにより、生産量は2000年の968万トンから2010年の1837万トンへと大幅に増加した。
 
 
 
 
(2)消費状況

 キャッサバの消費は、食品向けが68%を占める。インドネシアでは生食での消費は少ないことから、食品向けのほとんどはタピオカでん粉などに加工され消費されている。また、タピオカでん粉の内65%は、伝統的な菓子であるクルプク(kerupuk)と呼ばれるキャッサバを原料とするクラッカーとして、ほぼ毎回の食事で消費されている。なお、クルプクの製造には、膨張性が必要となるため、サゴでん粉は代替不可であるという。クラッカー以外の食品消費は、麺類や飲料用甘味料である。近年のタピオカでん粉などの輸入の増加は、飲料用甘味料需要の増加によるところが大きいとされている。
 
 
 一方、トウモロコシの消費は、食品用(でん粉用途のみではない)が47%、飼料用が30%であるが、近年は養鶏部門の飼料消費が増加傾向となっており、近年のトウモロコシ輸入数量の増加は、養鶏部門の飼料用需給の拡大によるとことが大きい。

3.キャッサバ、トウモロコシの貿易動向

(1)キャッサバ、トウモロコシの貿易動向

 キャッサバの輸入では、タピオカでん粉としての輸入がほとんどであり、2010年では97%がタイからの輸入となっている。

 また、トウモロコシおよび加工品の輸入では、養鶏部門の需要増加により飼料用の輸入が太宗をを占め、コーンスターチの輸入は増加傾向であるものの少量である。コーンスターチの主な輸入先国は中国で、2010年では、国別輸入割合の80%を占める。


(2)輸入関税

 キャッサバ(チップ、ペレット等)、トウモロコシ、サゴ椰子樹心(Sago pith)における輸入関税は、最恵国待遇では5%である。でん粉では、同5〜10%である。
 
 

4.でん粉の需給動向

 タピオカでん粉の国内生産は、キャッサバの生産量が増加傾向であるにも関わらず、生産コストの8割以上を占めるキャッサバ価格の上昇などから、近年では170万トン弱で推移している。

 小規模工場(原料処理能力1日当たり7〜10トン)で生産されるタピオカでん粉は地域内で消費される食品向け(菓子等)となり、甘味料等向けに利用されるタピオカでん粉は大規模工場で生産される。小規模工場で生産されたタピオカでん粉は品質が一定ではないため、甘味料等向けに利用されることはない。このように、タピオカでん粉の用途は製造されたでん粉製造業者の規模によって異なる。

 一方消費量は、食品向け需要の増加から増加傾向にあり、タピオカでん粉の輸入量は、国内のキャッサバの生産量による変動があるものの増加傾向となっている。

 トウモロコシでん粉の生産量は、4万7000トン(2010年)とタピオカでん粉に比べ非常に少ない。

 一方消費量は、2006年から2010年で7.7倍に成長しており、不足分を中国から輸入で補っている。
 
 
 
 
 
 
 原料価格の上昇によりタピオカでん粉の生産コストと輸入価格の価格差は、2001年の1トン当たりの生産コスト103ドル、輸入価格150ドルから、2010年では同生産コスト398ドル、輸入価格408ドルと縮小しており、近年需要が増加している飲料用甘味料原料として品質が安定している輸入タピオカでん粉の需要が増加している。
 
 

5.化工でん粉の需給

 化工でん粉の国内生産は、2007年の11.5万トンを境に減少しており、2010年には前年比8.4%減の7.8万トンであった。タピオカでん粉同様に、原料であるキャッサバ価格の上昇による生産コストの上昇が、生産減少の要因の1つである。一方、消費量は2000年以降増加しており、2010年には18.5万トンであった。この結果、国内消費の60%以上がタイからの輸入で補われている。
 
 

まとめ

 インドネシアのキャッサバ生産は、国内価格の上昇から増加傾向にある。キャッサバの国内価格の上昇は、タピオカでん粉生産コストの大幅な上昇をもたらしている。そのため、タピオカでん粉生産は国内需要が増加しているにも関わらず停滞し、品質に優れるタイなどからの輸入が増加している。タピオカでん粉の生産コストが減少しない限り、インドネシアにおけるタピオカでん粉の増産は難しいと推察され、需要増加に伴う輸入量の増加傾向は継続するものと推察される。

 また、トウモロコシにおいては経済発展による家きん等の消費増加から飼料用需給が増加しており、今後もトウモロコシの輸入は増加すると推測される。

 インドネシアのタピオカでん粉輸入量の増加が続いた場合、輸入でん粉の7割以上をタイのタピオカでん粉を占める我が国のでん粉需給に影響を及ぼすことが考えられることから、今後もインドネシアのでん粉需給に注視する必要がある。
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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