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〜国内産いもでん粉、輸入ばれいしょでん粉編〜

平成25年度でん粉の需要実態調査の概要
〜国内産いもでん粉、輸入ばれいしょでん粉編〜

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最終更新日:2014年7月10日

平成25年度でん粉の需要実態調査の概要
〜国内産いもでん粉、輸入ばれいしょでん粉編〜

2014年7月

調査情報部

【要約】

 食品や工業品などさまざまな製品の原料として利用されるでん粉について、食品製造企業および糖化製品製造企業の計39社を対象に、需要実態を調査した。平成25年における国内産いもでん粉、輸入ばれいしょでん粉の調査対象企業の合計仕入れ量はいずれも前年を上回り、仕入れ価格はいずれも年間を通しておおむね安定していた。

 国内産いもでん粉については、今後も安定供給を希望するというコメントが多く寄せられ、価格以上に安定供給を優先するという実需者の意向が明らかになった。

はじめに

 でん粉は、製品の主原料になることは少ないものの、その用途は、食品や工業品など多岐にわたっている。でん粉は、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉、コーンスターチ、タピオカでん粉などの天然でん粉と、天然でん粉を原料に製造される化工でん粉に大別される。各種でん粉は原料作物の違いにより特性が異なることから、実需者はそれぞれの用途に応じたでん粉を使用し、製品を製造している。

 農林水産省によると、平成24でん粉年度(平成24年10月〜平成25年9月)におけるでん粉の需要量は、前年度を2.2%下回る262万3000トンとなり、2年連続で減少した。このような中、当機構では、でん粉の需要動向を把握するため、各種天然でん粉および化工でん粉の使用企業を対象に、需要実態調査を実施したので、その概要を報告する。

1. 調査内容

 でん粉使用企業39社(菓子、飲料、乳製品、パン、水産練製品、即席麺、春雨、片栗粉、スープ、冷凍食品、調味料、ハム・ソーセージなどを製造する食品製造企業35社、糖化製品製造企業4社)を対象に、平成24および25年(1〜12月)における各種天然でん粉および化工でん粉の使用状況などについて聞き取り調査を実施した。

 調査項目は、使用しているでん粉ごとに、「使用製品」「使用理由」「仕入れ価格の動向」「仕入れ量の動向および今後の見込み」「品質面および調達面に関する評価」「他の種類のでん粉などへの切り替えの可能性」などとした。

 本稿では、天然でん粉のうち「国内産ばれいしょでん粉」「輸入ばれいしょでん粉」「国内産かんしょでん粉」の調査結果を報告する。

 参考までに、これら3種のでん粉供給量について、過去5年間の推移を図1に示す。国内産ばれいしょでん粉の生産量は、平成22でん粉年度に北海道産ばれいしょが不作に見舞われ、過去最低を記録したが、その後、回復傾向にある。ばれいしょでん粉の輸入量は、国内産ばれいしょでん粉の生産量のおおむね1割で推移している。国内産かんしょでん粉の生産量は、平成22年産以降、減少傾向で推移している。
 

2. 国内産ばれいしょでん粉の需要実態

 
(1)使用状況
 国内産ばれいしょでん粉を使用していたのは、39社のうち25社であった(表1)。調査対象企業の6割以上が使用しており、幅広い分野でさまざまな製品に用いられていた。製品分類別使用企業数は図2、使用製品の種類は表2のとおりであった。製品分類別の使用企業(延べ数)は、食品向けについては菓子類4社、食材4社、飲料2社、麺類2社、練製品2社、化工でん粉2社など、糖化製品向けについては3社となった。

 使用理由としては、代表的な「製品にとろみをつけるため」「食感を出すため」など製品特性を引き出すために使用しているというものの他、水産練製品では「保水材や結着剤として使用するため」などが挙げられた。なお、最も多かった使用理由は、「国内産ばれいしょでん粉でなければ、製品が作れないから」というものであり、国内産ばれいしょでん粉の特性を生かした製品設計になっているため、他のでん粉では代替が利かないことがうかがえる。
 
(2)調達状況
ア. 仕入れ価格の動向
 平成25年(1〜12月)の仕入れ価格の動向について回答があった20社の動向をみると、「価格の変動があった」は10社、「横ばい」は10社であった。「価格の変動があった」とした企業のうち5社は、「変動が少なかった」とし、「上昇」2社、「下落」3社であった。なお、下落とした企業の中には、「上昇基調にあった価格が、上昇前の水準に少し戻ってきている」とする企業もあった。20社のうち15社が「横ばい」または「変動が少なかった」ことから、年間を通して仕入れ価格が安定していたことがうかがえる。

イ. 仕入れ量の動向および今後の見込み
(ア)仕入れ量の動向(平成24年、25年)
 仕入れ量について回答があった22社の仕入れ量の合計は、平成24年が4万1385トン、平成25年が4万2707トン(前年比3.2%増)であった(表1)。

 25社の動向について、平成25年の仕入れ量を前年と比較したところ、「増加」4社、「横ばい」17社、「減少」4社であった(図3)。増減があった企業をみると、増加の理由は、「製品の好調な売れ行きに伴う増産」など、減少の理由は、「生産品目の構成の変更」が挙げられ、仕入れ量は、製品の売り上げ状況に左右されると推察される。この他、減少の理由として、水産練製品で「国内産ばれいしょでん粉を一部、国内産かんしょでん粉に切り替えた」という企業もあった。

(イ)今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みについては、「増加」1社、「横ばい」21社、「減少」3社であった(図3)。増加を見込む企業も減少を見込む企業も、数量の増減は大幅ではない見込みとなっている。

 減少を見込む理由として、「コストアップにより使用量が削減傾向にあるため」と、製造経費の上昇による対応の他、「ばれいしょでん粉を使用していた製品事業から撤退するため」と、事業の見直しによるものがあった。また、「コストアップの状況により、今後の使用状況が変わる可能性もある」など、使用は仕入れ価格の動向により左右されるというコメントもあった。

 国内産ばれいしょでん粉に関する意向として、「平成22年産の北海道産ばれいしょの不作のような状況が起こらなければ、今後も使用したい」「調達が順調であれば、今後も使用したい」の他、「今後も国内産ばれいしょでん粉を使用したいが、供給の安定性が優先される」というコメントが寄せられており、安定的な供給が求められていることがうかがえる。
 
(3)品質面および調達面に関する評価
 品質面については、「良質である」「問題がない」とする企業がほとんどであった。実需者は、国内産ばれいしょでん粉の品質の高さを評価しており、「国内産は品質が良いので、もっと品質面をアピールしてもよいのではないか」「国内産は輸入品と比べ、品質が均一であることから安心して使用できる」「品質を優先し、今後も国内産を使用したい」というコメントが寄せられた。一方で、「納入時に分析表を添付するなど、品質保証体制の確立をお願いしたい」という要望も挙げられた。

 調達面については、多くの企業が、「良好である」「問題ない」としたものの、「安定的な供給と不安定な供給と、供給が二極化している」との評価もあった。また、平成22年産の北海道産ばれいしょの不作により国内産ばれいしょでん粉の調達に苦労した企業もあり、「今後もしっかり供給してほしい」など、価格面以上に安定供給を望む企業が多くみられた。また、「不作の時に必要量を確保してくれた」と感謝する声の他、「調達が間に合わない場合、代替原料を提案してほしい」「不作が見込まれる場合は、迅速な情報提供をお願いしたい」などの要望も挙げられた。

(4)他の種類のでん粉への切り替えの可能性
 平成25年に国内産ばれいしょでん粉を他の種類のでん粉に切り替えた企業は1社で、「国内産かんしょでん粉は、国内産ばれいしょでん粉に比べて安価であり、供給も安定していることから、一部、国内産かんしょでん粉に切り替えた」というものであったが、今後の可能性として、「価格面から、タピオカでん粉に切り替えることも考慮に入れている」とする企業もあった。

 切り替えを行わない理由としては、「製品特性を引き出すために使用しているため、切り替える必要がない」「和菓子を製造しており、今後も国内産ばれいしょでん粉を使いたい」「輸入品の場合、添加物のリスクがあるため、国内産を使用している」などが挙げられた。

 国内産ばれいしょでん粉を使用していない企業については、「製品特性が違うため、現在使用しているでん粉から、国内産ばれいしょでん粉に切り替えることはない」とする企業がある中、「品質と価格が折り合えば検討する」とする企業もあった。

3. 輸入ばれいしょでん粉の需要実態

 
(1)使用状況
 図1で示したとおり、輸入ばれいしょでん粉は国内産ばれいしょでん粉よりも需要自体が小さく、輸入ばれいしょでん粉を使用していたのは5社であった(表3)。製品分類別使用企業数は図4、使用製品の種類は表4のとおりであった。糖化製品向けに使用している企業はなく、食品向けは菓子類1社、麺類1社、食材1社などに使用されていた。

 使用理由としては、冷凍食品で「保水材や結着剤として使用するため」、菓子で「食感を出すため」の他、「コスト的なメリットがあるため」などが挙げられた。
 
(2)調達状況
ア. 仕入れ価格の動向
 平成25年(1〜12月)の仕入れ価格の動向について回答があった5社の動向をみると、「価格の変動があった」は3社、「横ばい」は2社であった。「価格の変動があった」とした企業のうち1社は「変動が少なかった」とし、上昇は2社であった。上昇とした企業からは、「為替の影響を受け上昇傾向にあった」というコメントも寄せられた。

 平成25年の輸入価格の推移を図5に示す。輸入価格は年間を通して上昇傾向で推移していたが、本調査では、価格が上昇したとの回答は2社にとどまっている。各企業の仕入れ先(商社など)で価格変動を調整していることが考えられる。
 
イ. 仕入れ量の動向および今後の見込み
(ア)仕入れ量の動向(平成24年、25年)
 仕入れ量について回答があった4社の仕入れ量の合計は、平成24年が3159トン、平成25年が3178トン(前年比0.6%増)であった(表3)。

 5社の動向について、平成25年の仕入れ量を前年と比較したところ、「増加」1社、「横ばい」4社であった(図6)。増加の理由は「生産品目の構成の変更」が挙げられ、仕入れ量は、製品の売り上げ状況に左右されると推察される。

(イ)今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みについては、「横ばい」が4社であった(図6)。なお、「今後の製品の生産数量次第」とする企業も1社あった。
 
(3)品質面および調達面に関する評価
 品質面および調達面については、いずれの企業も「問題がない」との評価であった。

(4)他の種類のでん粉への切り替えの可能性
 平成25年に、輸入ばれいしょでん粉を他の種類のでん粉に切り替えた企業はなかった。

 国産ばれいしょでん粉への切り替えについては、「価格と品質が折り合えば検討する」「価格差による」というコメントが寄せられ、価格メリットにより輸入ばれいしょでん粉が選択されていることがうかがえる。

4. 国内産かんしょでん粉の需要実態

 
(1)使用状況
 国内産かんしょでん粉を使用していたのは、10社であった。製品分類別使用企業数は図7、使用製品の種類は表6のとおりであった。製品分類別の使用企業数は、食品向けについては菓子類4社、練製品2社など、糖化製品向けについては1社となった。

 使用理由としては、代表的な「食感を良くするため」など製品特性を引き出すために使用しているというものの他、くずきりでは「食感を出すため」、水産練製品では「保水材や結着剤として使用するため」などが挙げられた。また、「ばれいしょでん粉に比べて価格が安いため」という理由も挙げられた。
 
(2)調達状況
ア. 仕入れ価格の動向
 平成25年(1〜12月)の仕入れ価格の動向について回答があった9社の動向をみると、「価格の変動があった」とする企業は3社、「横ばい」は6社であった。価格の変動がみられたとした企業のうち2社は「変動が少なかった」とし、9社のうち8社が「横ばい」または「変動が少なかった」であったことから、年間を通して仕入れ価格が安定していたことがうかがえる。

イ. 仕入れ量の動向および今後の見込み
(ア)仕入れ量の動向(平成24年、25年)
 仕入れ量について回答があった7社の仕入れ量の合計は、平成24年が665トン、平成25年が785トン(前年比18.0%増)であった(表5)。

 10社の動向について、平成25年の仕入れ量を前年と比較したところ、「増加」3社、「横ばい」6社、「減少」1社であった(図8)。増加の理由は、「生産品目の構成の変更」「製品の好調な売れ行きに伴う増産」「国内産ばれいしょでん粉に比べて安価であり、供給も安定していることから、一部、国内産ばれいしょでん粉から切り替えた」というものであった。

(イ)今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みについては、「増加」1社、「横ばい」8社であった。なお、「今後の製品の生産数量次第」とする企業も1社あった(図8)。増加の理由は、「ばれいしょでん粉に比べ安価であり、今後、仕入れの増加が見込まれる」と、製造経費の低減を図るものであった。

 今後の使用意向については、「今後も国内産かんしょでん粉を使用したい」というコメントが多く寄せられた。このような中で、今後も国内産かんしょでん粉を使っていきたいと前置きした上で、「しかしながら、優先するのは供給の安定である」とのコメントも寄せられ、安定的な供給が求められていることがうかがえる。
 
(3)品質面および調達面に関する評価
 品質面については、「良質である」「問題がない」とする企業が多かった。

 調達面については、「安定的な供給と不安定な供給と、供給が二極化している」との評価もあったが、10社のうち9社は「問題ない」とした。この他、「不作が見込まれる場合は、迅速な情報提供をお願いしたい」などの要望も挙げられた。

(4)他の種類のでん粉への切り替えの可能性
 平成25年に国内産かんしょでん粉を他の種類のでん粉に切り替えた企業はなかったが、「以前使用していたが、においの関係で使用をやめた」とのコメントが寄せられた。

 切り替えを行わない理由としては、「和菓子を製造しており、今後も国内産かんしょでん粉を使いたい」などが挙げられた。

 なお、他の種類のでん粉への切り替えを検討する基準については、「価格面」「安定供給面」が挙げられ、これらの要素に大きな変動がない限り、切り替える可能性が低いのではないかと考えられる。

 また、国内産かんしょでん粉を使用していない企業については、「製品特性が違うため、現在使用しているでん粉から、国内産かんしょでん粉に切り替えることはない」とする企業がある一方、「品質と価格が折り合えば検討する」「商品設計次第で検討する」とする企業もあった。

おわりに

 調査対象企業の平成25年の仕入れ量の合計は、国内産いもでん粉、輸入ばれいしょでん粉ともに前年を上回り、仕入れ価格はいずれも年間を通しておおむね安定していた。また、今後の仕入れ見込みは横ばいとする企業がほとんどであり、増減を見込む企業はわずかであった。なお、仕入れ量増減の見込みは、製品の売り上げ見込みに連動する場合が多いと推察される。

 使用しているでん粉の種類を切り替えることは、ほとんどの企業で行われていなかった。その最大の理由は、それぞれの製品特性に合うでん粉を選択し、製造しているからであった。

 また、国内産ばれいしょでん粉については、「調達が順調であれば今後も使用したい」「平成22年産の北海道産ばれいしょの不作のような状況が起こらなければ、今後も使用したい」、国内産かんしょでん粉については、「今後も使用したい。しかしながら、優先するのは供給の安定である」などのコメントが寄せられた。今後のでん粉の需要拡大につなげるためにも、国内産いもでん粉の安定的な供給の実現が求められている。

 最後に、ご多忙の中、本調査にご協力いただいた企業の皆さまに、改めて厚くお礼申し上げます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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