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5.日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2010年7月1日

5.日本の主要輸入先国の動向

2010年7月

調査情報部

 
 
 2009年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11−190)が128万3443トンと全体の98.8%を占め、そのうち57.8%をタイ、27.3%を豪州、11.7%を南アフリカと、この3ヵ国で96.8%を占める。

◆タイ◆ 〜干ばつが2010/11年度の生産に影響の可能性〜

(1)2010年6月における見通し

 2009/10タイ砂糖年度(10月〜翌9月)の生産はほぼ終了し、同年度のさとうきび生産量は6570万トン(前年度比1.2%減)、砂糖生産量は710万トン(粗糖換算、同5.3%減)と、主産地の乾燥した気候の影響により、いずれも前年度から減少するとみられる。
 
 2010/11年度のさとうきび作付面積は、2009年の国際砂糖価格の高騰を受け、108万ヘクタール(前年度比0.9%増)に増加すると見込まれる。一方、エルニーニョ現象の影響により、例年5月中旬に始まる雨期が遅れ、北部、北東部で干ばつの被害が生じており、このことが同年度の生産に影響を及ぼす可能性がある。
 
 LMCは2010年6月時点で、同年度のさとうきび生産量を6940万トン(同5.6%増)、砂糖生産量を760万トン(粗糖換算、同7.0%増)と予測するが、今後も干ばつが続けば、これらの数値は下方修正される可能性がある。また、国際砂糖価格の急落を受け、生産者はさとうきび生産への肥料使用量を減らしており、このことも同年度におけるさとうきび、砂糖生産量の減少要因として懸念されている。
 

(2)粗糖・白糖貿易状況

 減産を受け、2009/10年度の輸出量は前年度比3.9%減の490万トン(粗糖換算)とみられる。2010/11年度の砂糖生産量は760万トン(粗糖換算)、消費量は前年度並みの250万トン(粗糖換算)と予測されることから、輸出量は520万トン(粗糖換算、前年度比6.1 %増)とみられる。
 
 主要な輸出先は日本を含むアジア諸国であり、2009/10年度における4月までの国別輸出量をみると、インド向けが29万トンと、前年同期の41倍にも達した。これはインドが2008/09年度以降、2年度連続で消費量が生産量を上回り、輸入量を大幅に増やしたためである。インドの生産は回復しており、同国向けの輸出は今後減少が見込まれる。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, June 2010”
 
 
 
 

◆豪州◆ 〜生産回復により2010/11年度の輸出は増加の見込み〜

(1)2010年6月における見通し

 さとうきび価格の低迷による作付面積の減少や干ばつの影響を受け、2009/10豪州砂糖年度(4月〜翌3月)の砂糖生産量は450万トン(粗糖換算、前年度比2.2%減)と、過去5年間で最低となった。
 
 2010/11年度は、前年度の砂糖価格高騰を受け、さとうきび作付面積は450万ヘクタール(前年度比4.7%増)、さとうきび生産量は3480万トン(同5.8%増)といずれも増加が見込まれ、砂糖生産量も460万トン(粗糖換算、同2.2%増)に増加するとみられる。砂糖生産量の伸びがさとうきびの増産ペースをやや下回るとみられるが、これは豪州における砂糖生産の95%を占めるクイーンズランド州で日照不足によりさとうきびの糖度が低下しているためである。
 

(2)粗糖・白糖貿易状況

 2009/10年度の輸出量は330万トン(粗糖換算、前年度比3.1%増)と、前年度をわずかに上回ったものの300万トン台前半にとどまった。2010/11年度は、増産を受け、輸出量は370万トン(粗糖換算、同12.1%増)とかなりの程度増加するとみられる。豪州の消費量は105万トン程度と安定していることから、生産が上向けば輸出量も増加する。
 
 主要な輸出先はアジア諸国であり、最近ではインドネシア向けが増加傾向にある。一方、日本は豪ドル高の影響を受け輸入先をタイへシフトしたことから、対日輸出量は減少傾向にあり、2008/09年度は51万トン(前年度比6.3%減)となった。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, June 2010”
 
 
 

◆南アフリカ◆ 〜2010/11年度も輸出は引き続き低迷の見通し〜

(1)2010年6月における見通し

 国際砂糖価格の高騰を受け、2010/11南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび作付面積は40万ヘクタール(前年度比2.6%増)とわずかに増加し、天候も平年並みと予測されることから、同年度のさとうきび生産量は1910万トン(同2.1%増)、砂糖生産量は240万トン(粗糖換算、同4.3%増)とわずかな増加が見込まれる。
 
 南アフリカでは過去数年間にわたり肥料、化学薬品、農機具などの価格が上昇し、小規模農家はこれらの購入が困難であることから使用量を減らしている。この結果、さとうきびの単収は減少傾向にあり、2010/11年度は1ヘクタール当たり63.3トンと、前年度から0.6トン減少するとみられる。単収の減少により、今後、同国の砂糖生産が著しく増加する可能性は低いとみられる。
 
 

(2)粗糖・白糖貿易状況

 2010/11年度の砂糖生産量は前年度比4.3%増の240万トン(粗糖換算)、消費量は前年度並みの170万トンと見込まれる一方、輸出量は80万トン(粗糖換算、前年度比11.1%減)と大幅に減少すると予測される。これは、前年度の期末在庫率(期末在庫/消費量×100)が17.0%と、過去5年間で最も低く、今年度は余剰砂糖を在庫に回すためとみられる。
 
 主要輸出先はインドネシア、日本、バングラデシュなどのアジア諸国やモザンビーク、スーダンなどのアフリカ諸国である。中でもインドネシアは国内消費量の増加を受け、輸入量を増やしていることから、同国向け輸出量が増加しており、2009/10年度は前年度の1.5倍となる15万5000トンに達した。
 
資料:LMC “Monthly Sugar Report, June 2010”
 
 
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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