砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 砂糖の国際需給・需給レポート > 5. 日本の主要輸入先国の動向

5. 日本の主要輸入先国の動向

印刷ページ

最終更新日:2010年12月28日

2011年1月

調査情報部


 2009年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11‐190)が128万3443トンと全体の98.8%を占め、そのうち57.8%をタイ、27.3%を豪州、11.7%を南アフリカと、この3ヵ国で96.8%を占める。

◆タ イ◆

タイ需給見通し
(1)2010年12月における生産見通し

 2010/11タイ砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、118万ヘクタール(前年度比9.3%増)に増加するとみられる。しかしながら、さとうきび生産量については、雨期の深刻な干ばつにより単収が低水準になると予測されることから、前月の予測を50万トン下回る6600万トン(同3.6%減)とみられる。干ばつはさとうきびの減産をもたらす一方で、糖度を高めると見込まれることから、砂糖生産量は740万トン(粗糖換算、同4.2%増)と、前年度からやや増加すると予測される。

(2)貿易状況

 2010/11年度の砂糖消費量は、前年度からやや増加の250万トン(粗糖換算、同4.2%増)とみられる。政府は、国内供給用の割当数量を前年度から50万トン増加の250万トンに引き上げることを決定した。これは、食品メーカーなど業務部門を中心に需要が高まっているほか、前年度の国際砂糖価格高騰時に、国内供給用に割り当てられた砂糖の一部が国外へ流出し、需給がひっ迫する事態が発生したことを受けたものである。タイでは、国内砂糖価格が政府の管理下にあり、卸売価格は1トン当たり20,330バーツ(58,347円、1バーツ=2.87円注)と定められているが、国際価格高騰時にカンボジアなど周辺国の砂糖価格がこれを上回ると国内供給用の砂糖が流出する問題が発生している。2010/11年度の砂糖生産量は740万トン(粗糖換算)とみられ、輸出量は490万トン(粗糖換算、同2.1%増)と見込まれる。

 2010年10月における粗糖・白糖輸出量は、年初の国際砂糖価格高騰時に輸出を大幅に増やした反動から、前年同月比79.2%減の9万1000トンとなった。主要輸出先は日本、カンボジア、フィリピンなどアジア諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, December 2010”
 注:TTS相場11月最終日
図15

◆豪 州◆

豪州需給見通し
(1)2010年12月における生産見通し

 2010/11豪州砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、41万ヘクタール(前年度比13.9%増)とかなり大きく増加するとみられる。しかしながら、ラニーニャ現象による大雨の影響で収穫が大幅に遅れており、400〜500万トンの刈り残しが発生する可能性が高まっている。このため、さとうきび生産量は3060万トン(同2.7%増) と前月予測から330万トン引き下げられた。収穫遅延による原料不足で多くの製糖工場が操業を一時的に停止する事態となった上、糖度も低下していることから、砂糖生産量は前月予測を30万トン下回る390万トン(粗糖換算、同13.3%減)と前月に引き続き下方修正され、当初の増産予測から一転し、過去20年間で最低の水準に落ち込むとみられる。

(2)貿易状況

 2010/11年度の砂糖消費量は前年度並みの110万トン(粗糖換算)と予測される。輸出量は前月予測を30万トン下回る280万トン(粗糖換算、前年度比12.5%減)と、前年度からかなり大きく減少し、生産量と同様、低水準にとどまるとみられる。

 主要輸出先は韓国、インドネシア、日本などのアジア諸国となっている。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, December 2010
図16 豪州の粗糖輸出状況

◆南アフリカ◆

南ア需給見通し
(1)2010年12月における生産見通し

 2010/11南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、30万ヘクタール(前年度比3.4%増)に増加するとみられる。しかしながら、さとうきび生産量については、主産地クワズール・ナタール州が深刻な干ばつに見舞われた上、肥料使用量が価格の上昇により減少し、単収が前年度から大幅に低下していることから、1640万トン(同12.3%減)に減少すると予測される。このため、砂糖生産量は210万トン(粗糖換算、同8.7%減)と、過去15年間で最低の水準になると予測されている。

(2)貿易状況

 2010/11年度の砂糖消費量は前年度並みの180万トン(粗糖換算)と見込まれる。輸出量は、減産に加え、前年度の国際砂糖価格高騰時に多くの業者が在庫を取り崩して輸出を行った反動から50万トン(粗糖換算、前年度比37.5%減)と、前年度から大幅に減少するとみられる。

 2010年9月における粗糖・白糖輸出量は、減産による供給余力の低下から、前年同月比72.3%減の4万4000トンとなり、主要輸出先はモザンビーク、マダガスカル、モーリシャスなどアフリカ諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, December 2010
図17 南アの粗糖輸出状況
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713