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4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2011年4月8日

4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

2011年4月

調査情報部

ブラジル

 
 

(1)2011年3月における生産見通し

〜生産量は当初見込みを下回る〜

 生産の約9割を占める中南部地域では2010/11ブラジル砂糖年度(4月〜翌3月)の生産がほぼ終了した。1月末まで操業を続けた砂糖・エタノール工場はわずか7工場と前年同期(42工場)を大きく下回り、大雨による収穫遅延の影響で圧搾が3月頃まで行われた前年度に比べ早期の終了となった。同地域における2010年4月から2011年1月末までのさとうきび生産量は5億5600万トン(前年度比2.6%増)、砂糖生産量は3350万トン(粗糖換算、同16.9%増)、エタノール生産量は2530万キロリットル(同7.0%増)と、いずれも前年度を上回ったとみられる。

 2010/11年度におけるブラジル全体のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、788万ヘクタール(前年度比4.4%増)に増加したと見込まれる。さとうきび生産量については、主産地中南部で乾燥した天候により単収が低下したこと、また、一部の工場が糖度を高めるため収穫を翌年度に回したことが影響し、昨年7月時点の予測を約4400万トン下回る6億1970 万トン(同2.2%増)とみられる。これにより、砂糖生産量は4100万トン(粗糖換算、同13.8%増)と前年度からかなり大きく増加するとみられるものの、昨年7月時点の予測(4220万トン)から下方修正された。なお、エタノール生産量は2760万キロリットル(同8.7%増)と予測される。
 
 

(2)貿易状況

〜2月の輸出量はピーク時から半減〜

 2010/11年度の砂糖輸出量は、生産量の下方修正を受け、2850万トン(粗糖換算、前年度比10.5%増)と昨年7月時点の予測(2980万トン)から引き下げられた。

 2月の砂糖輸出量は前月並みの130万トンと、輸出量が記録的な水準に達した昨年8月〜11月の半分以下となった。これは、大半の工場が今年度の圧搾を終了し供給が減少したこと、国際砂糖価格の高騰により輸入国の需要が減少したこと、国内価格が国際価格を上回り、一部の製糖業者が輸出向けに販売した砂糖を買い戻して国内に供給したことが影響したとみられる。ブラジル最大の都市サンパウロでは、2月の砂糖卸売価格が平均で1ポンド当たり40.93セントとなり、前月から下落したものの、依然高い水準にある。主要輸出先はロシア、バングラデシュ、サウジアラビアであった。

 資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2011” ブラジルさとうきび産業協会(UNICA) “Media Center” 2011/2/10記事
 
 
 
 
 
 

インド

 
 

(1)2011年3月における生産見通し

〜さとうきび生産量、砂糖生産量とも下方修正〜

 2010/11インド砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、496万ヘクタール (前年度比20.0%増) に増加するとみられる。

 主産地の製糖開始が例年に比べ遅れたにもかかわらず、インド全体の砂糖生産量は2月15日までに1340万トン(前年同期比16.5%増加)に達し、前年度を大幅に上回っている。ただし、さとうきびの単収および糖度が悪天候などの影響で当初見込みを下回っており、その結果、さとうきび、砂糖のいずれの生産量も予測を下回る可能性が高まっている。

 マハーラーシュトラ州では、2月中旬までの砂糖生産量が500万トン(同16.3%増)に達した一方で、製糖工場の処理能力不足が懸念されている。同州において、今年度に収穫可能なさとうきびを全て圧搾するには、製糖工場が例年よりも約1カ月長い5月末まで稼働を続ける必要があり、その結果、さとうきびの過熟により砂糖歩留まりが低下し、砂糖生産量を押し下げる可能性がある。

 また、ウッタル・プラデーシュ州では、2月25日までの砂糖生産量が446万トン(同32.0%増)に達し、前年度を大幅に上回っているが、昨年の長雨の影響で単収が低下し、さとうきび生産量が当初予測を下回るとの懸念も生じている。原料の不足により、同州の製糖工場の約半分が例年よりも早い3月中旬までに生産を終了する可能性があるとされる。

 これらのことから、さとうきび生産量は3億4510万トン(前年度比22.7%増)と前年度から大幅な増加が見込まれるものの、前月予測から180万トン引き下げられた。これを受け、砂糖生産量は前月予測から220万トン下方修正され、2660万トン(粗糖換算、同31.0%増)と見込まれる。
 
 

(2)貿易状況

〜政府、砂糖50万トンの輸出を許可〜

 2010/11年度の砂糖消費量は2550万トン(粗糖換算、前年度比2.2%増)と予測され、生産量との差から、約100万トンの余剰が見込まれる。

 政府は3月下旬、OGL注1方式による国産原料由来の砂糖50万トンの輸出を許可した。この輸出については、昨年12月に決定されたものの、今年に入り、国内食料価格の高騰を理由に実施が保留されていた。前述の通り、インドは今年度において約100万トンの余剰が見込まれるが、同方式による輸出の追加については、現時点では不明である。また、今年度においてはALS注2制度に基づき白糖120万トンの輸出も許可された。仮に生産量が予測通り前年度から大幅に増加した場合、全体の輸出量は220万トンに達すると見込まれる。

 2010年8月における粗糖・白糖輸出量は、国内需給の緩和を受け、6万4000トンに達した。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2011”

注1:OGL(Open General Licence)とは、登録を行った業者に対し、個別のライセンスを取得せずに輸出を許可する制度。
注2:ALS(Advanced Licensing Scheme)とは、輸入粗糖を精製後、一定期間内に再輸出することを条件に輸入関税を免除する制度。
 
 

中国

 
 

(1)2011年3月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度並みの1170万トン〜

 中国における砂糖生産の約9割は南部で生産されるさとうきびを原料とし、残りは北部のてん菜に由来する。2010/11中国砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け、151万ヘクタール (前年度比3.9 %増)に増加するとみられる。

 さとうきび生産量は、主産地の広西壮族自治区と雲南省で昨年12月から1月にかけて寒害が発生した影響から、8460万トン(同4.3%増)と前月予測から510万トン引き下げられた。このため、さとうきび由来の砂糖生産量は前月予測を20万トン下回る1080万トン(粗糖換算、同2.4%減)と予測される。広西壮族自治区における2月末までの砂糖生産量は前年同期比4.5%減の550万トン(白糖換算)となった。

 てん菜生産地では、2010/11年度の収穫がほぼ終わりつつある。同年度のてん菜収穫面積は前年度から大幅増加の19万ヘクタール(前年度比47.6%増)とみられ、てん菜生産量は710万トン(同40.5%増)と前年度から大幅な回復が見込まれる。このため、てん菜由来の砂糖生産量は前年度から大幅増加の90万トン(粗糖換算、同37.4%増)に達するとみられる。新疆ウイグル自治区と内モンゴル自治区では、大半の製糖工場が今年度の操業を終了しており、新疆ウイグル自治区の生産量は前年度比5万トン増加の43万トン(白糖換算)、内モンゴル自治区は前年度比4万トン増加の11万トン(白糖換算)に達したとみられる。

 これらのことから、中国全体の砂糖生産量は前月予測から20万トン下方修正され、前年度並みの1170万トン(粗糖換算、前年度比0.2%減)にとどまるとみられる。
 
 

(2)貿易状況

〜輸入量は前年度から大幅増加の見込み〜

 政府は2月28日、国内砂糖価格の高騰に対応するため、砂糖の国家備蓄放出(15万1000トン)を行った。2010/11年度における放出は4回目で、累計77万トン(白糖換算)となった。平均販売価格は1トン当たり7,423元(95,237円:1元=12.83円)と昨年12月の放出時の同6,867元(88,103円)を大幅に上回った。なお、前年度においては、8回にわたり合計171万トン(白糖換算)が放出された。

 2010/11年度の砂糖消費量は前年度並みの1500万トン(粗糖換算)と、生産量を大きく上回ると予測される。また、前年度からの放出により国家備蓄も減少していることから、輸入量は前年度から大幅増加の220万トン(粗糖換算、前年度比39.2%増)と予測される。ただし、異性化糖の生産が国内砂糖価格の上昇を反映して増加しているため、砂糖輸入量は予測を下回る可能性もある。

 2011年1月における粗糖・白糖輸入量は、前月から大幅減少の1万4000トン(前月比88.8%減)となった。国際価格の記録的な高騰が影響したとみられる。輸入先の大半は韓国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2011”

注:TTS相場2月最終日
 
 
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