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砂糖の調理性と上手な使い方

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最終更新日:2012年12月10日

砂糖の調理性と上手な使い方

2012年12月

常磐大学 人間科学部 健康栄養学科 准教授 荒田 玲子
 


【要約】

 砂糖は、料理に甘味を付与する調味料であるとともに、親水性が高いなどの特性を持つことから、調理する上でさまざまな役割を果たしている。粉状の食品を水になじみやすくする、でん粉食品を柔らかく保つなどのほか、タンパク質の熱凝固を抑制してタンパク食品をやわらかくしたり、加熱することで色や香り、つやを付与したり、飴細工などにおいては、美しい造形を作ったりと、砂糖には多様な機能がある。

 私たちは、砂糖の甘さやカロリーだけに注目しがちであるが、その優れた調理性を知り上手に利用していくことが必要である。

はじめに

 砂糖は、料理に甘味を付与する以外に、さまざまな調理性を持つ。近年、「甘味=太る」と言う意識が広がり、いたずらに甘味を抑えた料理を求める傾向が見受けられるが、ダイエットにおいては、食事のバランスと適量摂取、そして食のタイミングが重要である。次に列挙する砂糖の調理性を知り、伝統的日本の味、おいしさ、見た目の美しさを保ちながら、上手に砂糖を利用してほしい。

砂糖の調理性

(1)砂糖の高親水性・高溶解性・脱水作用

 砂糖は、20℃の水100gに約200g、100℃の湯に約476g溶解する。溶解性の高い砂糖は食品中で水を強く引きつけ、その食品を水になじみやすくする。例えばブラマンジェを作る時でん粉と砂糖を混合した後、牛乳を混ぜた方が、でん粉がダマにならず、すばやく混ぜ合わせることができる。ココアを作る時もココアパウダーと砂糖を混ぜてから湯や牛乳を加えると溶けやすくなる。

 ビーフシチューを作るとき、肉に砂糖を揉み込むと砂糖の脱水作用(水を引きつける力)によりコラーゲン組織を軟化し、後述する「砂糖のタンパク質の熱凝固抑制」効果とあいまって、肉を軟らかく仕上げることができる。さらには肉の表面の糖が、アミノカルボニル反応とカラメル化を起こし、芳香とあめ色のシチューのおいしさを生み出す。


(2)でん粉の老化を防ぐ

 でん粉は、水の存在下で加熱すると、軟らかく、消化吸収がよい「α-でん粉」となるが、そのまま放置すると、時間の経過とともに硬くなる(でん粉の老化現象)。だんごが硬くなるなどがその例だが、米粉を練る時に砂糖を添加することで老化を遅らせることができる。日本のハレの日に作られてきた寿司は、すし飯に砂糖が入ることにより飯の老化を防ぎ、軟らかさを保持する。保存のための冷蔵庫や、硬くなった飯の温めのための電子レンジのない時代に、寿司酢の酢により腐敗を防ぎ、砂糖がご飯をやわらかく保ち、時間が経ってもおいしく食べる事を可能にした、古人の知恵である。


(3)タンパク質の熱凝固抑制

 砂糖は、タンパク質と水分を結びつけて、硬く締まるのを防ぐ。甘味の少ない卵焼きより、甘い卵焼きは熱凝固に時間がかかるが、しっかり加熱してもふんわり軟らかく焼きあがる。日本の肉料理・すき焼において、甘い「割り下」で加熱する事により、薄い牛肉をウェルダン状態まで加熱しても軟らかさを保つことができるのも、砂糖の働きである。


(4)保存性を高める

 食品の水分には食品中の成分と結合している水(結合水)と結合していない水(自由水)とがあり、微生物が利用できるのは後者である。砂糖を食品に加えれば加えるほど砂糖の保水性が食品の自由水を奪い、水分活性(自由水と結合水の割合。数値が大きいほど自由水が多い)を下げることで保存性を高める。ジャムや砂糖煮の保存性は、自由水を結合水に変える砂糖の力によるものである。


(5)寒天、ゼラチンゼリーの品質向上、ペクチンのゼリー化(ジャム製造)

 砂糖を加える事により、寒天ゼリーやゼラチンゼリーのゼリー強度や透明度が高くなる。夏の和菓子の代表である金玉羹きんぎょくかんでは、その透明感を保ち、離漿りしょう(ゼリーから水が分離すること)を防ぐ。  またイチゴなどのジャムを作る際には、ペクチンと酸の存在の他、ジャム重量の50〜65%程度の砂糖を添加することによりしっかりとしたジャムができる。
(6)アミノカルボニル(メーラード)反応とカラメル化

 還元糖(果糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖)とアミノ酸が、同時に180℃程度の高温で加熱されると、褐色物質(メラノイジン)を生成し、香ばしい香りと焼き色を放つ(アミノカルボニル反応)。また、砂糖が170〜185℃に熱せられると、淡褐色透明で香ばしいカラメルが生成される(カラメル化)。固まって飴にならぬよう湯で希釈すると、カラメルソースとなる。

 ケーキやカステラの焼き色は、アミノカルボニル反応とカラメル化によるもので、砂糖を控えると焼き色も香気も弱くなる。味噌や醤油を製造する過程でも、還元糖とアミノ酸により2つの反応が起こり、色や香りが生成し、味を向上させている。


(7)油脂の酸化防止、卵白メレンゲの安定化、イーストの発酵促進

 油脂は酸化しやすく味の劣化や健康に害を与えるが、砂糖と一緒に使うことにより、酸化を遅らせる事が出来る。バターなどの油脂がたっぷり含まれるバターケーキやクッキーと一緒に使われる砂糖が油脂の酸化を防ぎおいしさを保つ。

 その他、卵白に砂糖をたくさん使うことにより卵白メレンゲが安定化し、絞り出してオーブンで焼いても泡が消えることなく、焼きメレンゲなども作ることが出来る。また、少量(2〜3%)の砂糖を加えることで、イーストの発酵を促進する。しかし、10%以上生地に糖を含む菓子パン生地は、発酵が遅くなる。


(8)加熱による変化(シロップ、フォンダン、飴、キャラメル、カラメルなど)

 加熱すると砂糖は、温度によりその姿を変えていく。俗に「砂糖の七変化」ともいわれる(表 砂糖液の温度による状態の変化 参照)。

おわりに

 私たちは身近な調味料である砂糖の調理性を意識して利用し、更には各種砂糖を使い分ける事により、食生活を豊かにしていくことが大切である。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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