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メキシコの砂糖需給および政策の動向

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最終更新日:2015年7月10日

メキシコの砂糖需給および政策の動向

2015年7月

調査情報部

【要約】

 メキシコは、NAFTAによる貿易自由化を背景に砂糖を増産し、世界第5位の砂糖輸出国となる一方、近年では米国からの異性化糖輸入が急増し、砂糖の国内需給が緩んでいる。国際砂糖価格が下落する中、メキシコ産砂糖の輸出急増が米国との貿易紛争を招く混迷状況にあり、余剰生産分の活路を見いだすことが、今後の大きな課題となっている。

はじめに

 メキシコ経済は、好調な自動車産業や、これに伴う海外資本による設備投資などに支えられ、比較的順調に成長している。しかしながら貿易面を見ると、米国、欧州などへの依存度が高く、特に農畜水産物については、トウモロコシや豚肉などが恒常的に輸入され、貿易収支は輸入が輸出を上回っている状況にある。また、メキシコの最大の貿易相手国である米国とは、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)発効以降、経済的結び付きをますます深化させている。

 NAFTAに基づく貿易自由化および2009年〜11年ごろの国際砂糖価格の上昇を背景に、メキシコは砂糖を増産し、世界第5位の砂糖輸出国となった。しかし、一方では、近年の米国からの異性化糖輸入の大幅な増加により、メキシコ国内の砂糖需給は緩んでいる。このような状況の下、2012/13年度にはメキシコおよび米国の両国でサトウキビが豊作となり、現在ではメキシコ産砂糖に対し米国が輸入を制限するなど、今後の国際砂糖需給への影響が懸念されている。

 そこで本稿では、メキシコの砂糖および異性化糖の需給動向とともに、砂糖政策の動向について、米国農務省(USDA)や民間の調査会社のレポートを基に紹介する。

 なお、断りがない限り、本稿の年度はメキシコ砂糖年度(10月〜翌9月)、砂糖の数量は粗糖換算である。また、為替レートは、1メキシコペソ=9.08円(5月末TTS)を使用する。

1. サトウキビ生産の概要

(1) 主要生産地域

 メキシコの面積は196万4000平方キロメートルと日本の5倍以上、人口は1億1690万人と日本とほぼ同じである。気候は、北部および中央部の乾燥気候、カリブ海沿岸、ユカタン半島および太平洋沿岸にまたがる高温気候、そして中南部から南部に広がる温暖気候の大きく3つに分類される。

 サトウキビの生産地域は高温および温暖気候の分布と重なっており、特にカリブ海沿岸および太平洋沿岸の中部と南部に広がっている。

 また、サトウキビ栽培面積はメキシコ全土でおよそ80万ヘクタールであり、15の州で生産が行われている。このうち、ベラクルス州が、国内の4割を占めている(図1)。

 なお、太平洋沿岸地域(ハリスコ州など)、メキシコ湾側の北部州(サン・ルイス・ポトシ州など)を中心に、サトウキビ栽培面積の36.4%でかんがいが行われており、その他の地域での生産は天水に頼っている。
 

(2) 生産概要

 サトウキビの植え付けは11月〜翌6月の間に行われ、約11〜18カ月後の翌10月〜翌々5月ごろ、乾季の間に収穫される(図2)。

 メキシコ農畜産農村開発食糧省(SAGARPA)によれば、サトウキビを生産する約1万5000戸の1戸当たりの栽培面積は2.5ヘクタールで、98%が10ヘクタールに達していない状況となっている。

 また、1戸当たりの栽培面積が小さいため、手作業による収穫が主で、機械による収穫はサトウキビ栽培面積全体の17%程度にとどまっている(写真)。
 

2. サトウキビおよび砂糖の生産動向

(1) サトウキビ

 サトウキビの栽培面積は、国内の総農地面積の約4%を占める。サトウキビ生産者に対する社会保障制度上の優遇措置(注)があることなどから、急激な他作物への転換は進みにくいと考えられる。

 サトウキビ生産量は、増加傾向で推移し、2012/13年度には6144万トンを記録した(図3)。

 増産の背景としては、収穫面積の増加および単収の向上が挙げられる。2009年から2011年ごろの国際砂糖価格の上昇に伴い生産者の意欲が向上し、トウモロコシなどの他品目からの転換や畜産経営者の参入もあり、2012/13年度の収穫面積は78万ヘクタールまで拡大した。また、好天候に恵まれた2012/13年度の1ヘクタール当たり収量は、史上最高の78.7トンとなった。

 2013/14年度は、収穫面積が前年度並みとなったものの、単収の低下により、前年度比11.6%減の5433万トンと2008/09年度以来の減産となり、2014/15年度についても、干ばつなどによる単収低下のため、生産量は前年度並みの5423万トンと見込まれている。

(注)サトウキビおよびタバコの生産者は、健康保険や年金が優遇される。
 

(2) 砂糖

 砂糖の生産量も、増加傾向にあり、特に2012/13年度は、698万トンを記録した(図4)。全国サトウキビ開発委員会(CONADESUCA)(注1)によれば、同年の1ヘクタール当たりの産糖量は、前5カ年平均の7.6トンから1.3トン増の8.9トンに増加した。

 また、メキシコでは砂糖を4つのカテゴリーに分類しており(注2)、カテゴリー別に見ると、スタンダード糖の生産量が最も多く、2013/14年度では全体の66.7%を占めた。
 
 政府は、累積債務を抱えていた約半数の27の製糖工場を2001年に国有化して以降、同年に設立した「砂糖産業収用企業基金(FEESA)」により管理・運営を行ってきた。その後、段階的に工場を民間企業へ売却し、2014/15年度時点の国有工場は9工場となっていた。直近では、2015年6月、政府は4工場の売却に成功し、残りの5社も引き続き公売手続きにかける予定となっている。

なお、現在稼働している製糖工場は52あり、20の企業グループに分かれている。

(注1)国内の砂糖産業を監督する独立機関として、2005年8月に設立。サトウキビ関連産業に関する政策実行や調整を主管。政府機関(SAGARPA、経済省、環境天然資源省、労働社会保障省および財務省)、製糖業界団体および生産者組合が参加。

(注2)メキシコ経済省による食用砂糖のカテゴリー分類は、以下の通り。
    精製糖:色価 最大45、糖度99.9度以上
    特別白糖:色価 最大200、糖度99.7度以上
    スタンダード糖:色価 最大600、糖度99.4度以上
    粗糖:色価 最大 6000、糖度96.0度以上
    なお、色価は国際的な基準となっているICUMSA色価。

(3) 砂糖産業の振興

 メキシコ経済省の統計によれば、砂糖産業は15の州で、47万人の直接雇用(うちサトウキビ生産者18万5000人)を含む220万人以上の雇用を生み出しており、非常に重要な地位を占めている(2013/14年度)。

 このため、砂糖については、施策方針を示した国家プログラムが策定されるとともに、生産者への経営支援措置、法律に基づくサトウキビの適切な取引価格の設定などが行われている。

ア. 目標と振興方針の決定
 2014年にSAGARPAはCONADESUCAと連携し、「サトウキビの維持可能な発展に関する法律(LDSCA)」に基づき、砂糖産業全体の発展に向けた目標戦略・方針となる「2014−2018年サトウキビ産業国家プログラム(PRONAC)」(注)を策定した。このプログラムでは、世界的な供給過剰や人工甘味料の台頭、健康意識の高まりによる消費量の減少などの砂糖産業が直面する諸課題への対応として、 

 1) 安定的な国内砂糖供給の保障と秩序ある貿易の促進 
 2)砂糖産業の収益性向上
 3)砂糖産業の生産性向上
 4)持続可能な砂糖生産の推進 
 5)砂糖産業のための研究開発、技術革新および技術移転の促進

に重点が置かれている。

 また、2018年までの具体的な目標として、

 1)1ヘクタール当たりの産糖量を8.96トンにする 
 2) 現在の工場の処理能力を最大限発揮して700万トンの砂糖を生産する
 3)サトウキビ生産量を7315万トンまで拡大するとともに、用途の多様化を図り、エタノール生産への仕向け割合を16%にする

などの項目が盛り込まれている。

 その実現のため、かんがい整備などインフラへの投資拡大やサトウキビ生産の近代化などが政策目標として挙げられている。

イ. 価格下落時の経営支援措置
 政府は、サトウキビが記録的な生産量となった2012/13年度および2013/14年度において、砂糖価格下落に伴う緊急支援措置を発動した。これにより、2012/13年度には、収穫面積1ヘクタール当たり1903ペソ(1万7279円)、2013/14年度には、同1544ペソ(1万4019円)が、肥料などの資材購入費としてサトウキビ生産者に支払われた。

ウ. サトウキビ取引参考価格の設定
 2005年以降、LDSCAに基づき、製糖企業が生産者に支払うサトウキビ代金の支払単価となるサトウキビ取引参考価格が算定されており、その算定は、CONADESUCAが行っている。

 サトウキビ代金は、表1の通り「精算前」「最終精算」「最終調整」の3段階で支払われ、基準となるサトウキビ取引参考価格を算出した上で、最終的にその57%が生産者に支払われることとなっている。

(注)CONADESUCAが設立された2005年から、LDSCAに基づき随時策定。2014年に策定されたPRONACは、2012年に承認された「2013−2018年国家開発計画(NDP)」および2013年に承認された「2013−2018年農林水産食品産業開発計画」の方針を踏襲。
 

3. 砂糖および異性化糖の需給動向

(1) 砂糖の需給動向

 メキシコの砂糖の需給を見ると、生産量が増加傾向にある一方で、ここ数年の国内需要量は400万トン前後の横ばいで推移している(表2)。国内の需要量が伸び悩んでいる要因には、NAFTAに基づく米国からの異性化糖輸入の増加が挙げられる((2)参照)。

 砂糖の増産に呼応して増加しているのが輸出量であり、特に、前年度比38.2%増の大幅増産となった2012/13年度には、砂糖の余剰が発生し、その仕向け先が米国に集中したことが、後述する両国間の紛争へと発展する一因となった。

 輸出量は毎年バラつきがあるものの、2012/13年度には、国内生産量の3割、2013/14年度には4割以上が輸出向けとなり、その9割がNAFTA加盟国である米国、カナダに輸出されている。

 一方、輸入は、米国を中心に継続的に行われているが、近年は1万トン程度とごくわずかである。
 

(2) 異性化糖の需給動向

 需要量の増加に伴い、異性化糖の国内生産量は増加傾向にあるが、輸入量がこれを上回っており、国内需要量に占める国産の割合はむしろ減少している(表3)。2008/09年度には、国産の異性化糖が国内需要の過半を占めていたが、2013/14年度ではその割合が4割近くまで減少している。なお、異性化糖の原料であるトウモロコシは主に米国から輸入されており、国内で生産される白トウモロコシは主食として用いられている。

 輸入量は、NAFTA発効に伴い、2009/10年度に前年度の約3倍に急増して以降、100万トン前後で推移している。輸入時の関税は、自由貿易協定(FTA)を締結する米国、カナダ、チリやウルグアイなどは無税とし、FTAを締結していない国についても、現行の175%の従価税が、2012年11月以降、毎年25%ずつ削減される見通しとなっている。

 なお、輸出については、その数量は3〜4万トン程度と、輸入量に比べればごくわずかであり、米国資本の企業が中心に行っている。
 

(3) 国内市場および価格動向

 異性化糖の国内需要量は、この10年で2.2倍に増加するなど、砂糖市場のシェアを奪う形で拡大してきたが、2011/12年度を境に、減少傾向にある(図5)。



 異性化糖の主な用途は清涼飲料向けであり、精製糖と競合する。また、肥満や糖尿病が大きな健康問題となっているメキシコでは、低カロリー志向が広がり、砂糖が敬遠されつつある。

 一方で、メキシコの消費者は異性化糖よりも砂糖の甘味を好む傾向があることや、加工業者にとっては、価格の安定性の面で、トウモロコシの国際価格に左右される異性化糖よりも精製糖が魅力的となる。このため、現在では異性化糖と液糖を混合した飲料が多く生産されている。その混合率は、企業ごとに異なり、砂糖および異性化糖の仕入れ価格にも左右される。この他にも、粗糖から直接飲料向けの液糖を加工する動きもあり、通常よりも安価な液糖の販売が可能となっている。

 砂糖価格は2009年後半から上昇し、2011年後半にピークを迎えたが、砂糖価格の上昇に刺激を受けて生産量が増加したこともあって、その後は下落傾向で推移している(図6)。

 なお、メキシコ国内の砂糖価格は自由相場となっており、国際価格に連動する形で推移している。そのため、国際価格の低迷や急激な為替の変化が直接的に製糖企業および生産者に影響を与えることになる。
 

4. エタノールの生産状況

 CONADESUCAによれば、現在エタノールの生産を行っている製糖企業は4社のみであり、生産量は伸び悩んでいる(図7)。その要因として、エタノールの生産は製糖企業にとって収益性が低く、トウモロコシ由来の安価な米国産エタノールがすでに多く輸入されていることが挙げられる。

 しかし、国産砂糖の余剰のはけ口となっていた米国への輸出が、近年の貿易摩擦により制限されていることから、砂糖価格の安定のためにも、エタノールなどの用途の多様化が急務となっている。

 政府は、2014年12月に、メキシコ石油公社(PEMEX)によるガソリン混合用無水エタノールの試験的な調達を行うことを発表した。この結果、6社の応札があり、年間12万3000キロリットルのエタノール購入が予定されている。

 前述の通り、政府はPRONACにおいて、2017/18年度までに砂糖の余剰生産の16%(117万5000トンのサトウキビに相当)を、エタノールに仕向けることを目標に掲げており、今後のエタノール需要拡大のためには、ガソリンへのエタノール混合の義務化などの対応が必要であることから、政策の行方が注目されている。
 

5. NAFTAの砂糖貿易への影響

 メキシコの砂糖需給は、米国の砂糖や異性化糖の需給とともに、米国の貿易政策にも大きく影響を受けている。ここで、NAFTAがメキシコの砂糖貿易へ及ぼす影響について整理したい。

(1)NAFTAの発効

 NAFTAの発効により、砂糖の対米輸出は、2008年からの完全自由化に向けて、1994年から2007年まで一定の割当量が設けられる予定であったが、発効の2カ月前に、米国通商代表部(USTR)とメキシコの商工大臣との間で、合意内容を修正する「サイドレター」が交わされた。同レターでは、 1)相手国(すなわちメキシコ)からの輸入は、「純余剰量」を上限とすること、 2)「純余剰量」の算出に用いる国内需要量は、砂糖需要量と異性化糖需要量の合計とすること、とされた。このため、米国からの輸入により増加した国内異性化糖需要量が国内需要量に算入された結果、砂糖の「純余剰量」は減ることとなり、メキシコの砂糖輸出が抑制されることとなった。具体的には、2001年にメキシコは70万トンの砂糖輸出が可能と算出していたが、米国は同レターの内容を理由に、実際の輸入割当量を10万トンに設定した。

 同レターは米議会で批准されている一方、メキシコでは議会で審議されることはなかったため、メキシコ側はその有効性を否定し、対抗措置として、2002年1月から清涼飲料と飲料用シロップに対し、20%の生産サービス特別税(IEPS)を課し、異性化糖の輸入を許可制に変更した。これに対して米国側が2004年7月に世界貿易機関(WTO)に紛争処理小委員会の設置を要請し、調査の結果、WTOはメキシコ側の違反を認め、2007年1月に清涼飲料に対するIEPSが撤廃された(注)

(注)USTRによれば、2014年1月の税制改正により、メキシコ政府は、肥満対策目的とされる炭酸飲料など甘味料を含む飲料へのIEPS(1リットル当たり1ペソ)を新たに設定した。

(2)米国との貿易摩擦の勃発

 2008年に砂糖の輸出入の完全自由化が果たされて以降、無税かつ無制限の対米輸出を頼みに、メキシコはサトウキビ栽培面積を拡大した。この結果、対米輸出量は、2008年の62万6000トンから2013年には、242万6000トンとおよそ4倍にまで増加した(図8)。

 一方、米国からメキシコへの異性化糖輸出量も増加傾向で推移してきたが、2013年に減少に転じている。



 米国市場では、国内の食品企業が安価なメキシコ産スタンダード糖の輸入を増加させたことで、混乱が生じることとなった。メキシコ産スタンダード糖は、米国内の製糖企業により精製糖へ加工される他、米国内のヒスパニック人口の増加により、そのまま小売りされる動きも広がり、米国のメキシコ産精製糖の輸入価格(CIF)が、メキシコのスタンダード糖の国内価格よりも安くなる現象も生じた(図9)。


 両国の紛争が再発したのは、双方にとってサトウキビが豊作であった2013/14年度である。2014年3月に米国砂糖連盟(ASA)は、補助金認定を担当する米国商務省(DOC)および損害認定を担当する国際貿易委員会(ITC)に、メキシコ産砂糖に対するアンチダンピング関税および相殺関税の適用を求めて調査を要請した。ASAは、メキシコが2011年〜2013年の間、米国における砂糖のシェアを9%から18%まで倍増させる一方で、政府による債務保証や砂糖の輸入関税免除など、WTOの「補助金および相殺措置に関する協定」に違反していると主張した。同年4月にDOCおよびITCは調査を開始し、その結果、8月には相殺関税、10月にはアンチダンピング関税をメキシコ産砂糖に課すという仮決定を行った(注)

(注)相殺関税は2.99〜17.01%。アンチダンピング関税は39.54〜47.26%。 
 なお、相殺関税およびアンチダンピング関税に関する仮決定内容の詳細は、「砂糖類・でん粉情報」2014年11月号「米国の砂糖をめぐる情勢〜第31回国際甘味料シンポジウムに参加して〜」を参照されたい。

(3)2014年12月の合意

 両国の紛争について、2014年12月に、両国の業界団体および政府担当者の間で協議が行われ、米国のメキシコ産砂糖の輸入に対するアンチダンピング関税および相殺関税の適用を無効とし、代わりに、一定の輸入制限を設けるという合意に達した。その内容は、表4の通りである。この合意で、精製糖の輸出に上限が設けられるため、自由化以降急増したスタンダード糖の対米輸出は減少するものとみられる。
 

(4)DOCによる調査継続の決定

 2015年3月に、ITCが2014年12月の政府間合意内容を可決し、DOCに審議が移行することとなった。しかし、米国内の製糖企業2社(Am Cane と Imperial Sugar)が合意を不服として、調査継続とメキシコ産砂糖輸入へのアンチダンピング関税および相殺関税課税措置の適用を政府へ請願した。DOCは、同社の訴えは貿易救済措置としての法的根拠があるとして、135日間(5月4日から9月16日まで)の調査継続を発表した。

 一方、米国内の製糖業界団体であるASAは、2014年12月の合意は政府間で友好的に決定されたものであり、米国にとって有利な内容であるとして、DOCの調査継続決定を非難する声明を発表している。また、メキシコの製糖企業も、調査継続を不服とする旨の書簡をDOCへ提出している。

 現在は、この政府間合意に基づき輸出入が行われているが、このような両国の混乱は、少なくともDOCの調査終了予定である9月まで続くものとみられ、両国のみならず世界の砂糖需給への影響が懸念される。

おわりに

 メキシコの砂糖生産は、NAFTAに基づく貿易自由化を背景に拡大し、今や約200万トンを輸出するに至っている。これまでは、米国への輸出により余剰対応を行ってきたが、米国産の異性化糖との競合、貿易摩擦に伴う対米輸出制限、国際的な砂糖在庫増加による価格下落などにより、今後は、余剰生産分の活路を見いだすことが大きな課題となっている。

 メキシコと米国間での貿易協議は今なお継続しているが、メキシコの砂糖業界は、今後も米国市場へのアクセスを確保することを最優先課題としている。メキシコ政府は、国内ではバイオエタノールとしての利用拡大、国外には輸出先の開拓を進めているが、これまで、米国市場頼みであった生産や施策からの転換は容易ではないだろう。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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