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4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2016年12月時点予測)

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最終更新日:2017年1月10日

4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2016年12月時点予測)

2017年1月

ブラジル
2016/17年度の砂糖生産量、輸出量はともにかなり増加の見込み
 2016/17砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、収穫期の天候不順などにより前年度に収穫しなかったものも含まれるため、959万ヘクタール(前年度比6.6%増)とかなりの増加が見込まれるものの、単収の低下が見込まれることから、生産量は6億8195万トン(同2.5%増)と、わずかな増加にとどまると見込まれている。

 一方、国際砂糖価格の上昇により、製糖企業がサトウキビの砂糖への仕向け割合を増やしていることや製糖歩留まりが向上していることなどから、砂糖生産量は、3960万トン(同12.5%増)とかなりの増加が見込まれている。さらに、連邦政府が、エタノール販売に係る社会負担税(エタノール1リットル当たり0.12レアル(4円(11月末日TTS:1レアル=33円)))を2017年1月より再導入する方針であることから、今後、製糖企業がサトウキビの砂糖への仕向け割合をさらに増加させると、砂糖生産量は、上方修正される可能性も考えられる。砂糖の増産に伴い、輸出量も、2765万トン(同10.1%増)とかなりの増加が見込まれている。
表2 ブラジルの砂糖需給の推移
 また、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が発表した2016年4月〜10月の生産実績報告によると、同国中南部地域のサトウキビ圧搾量は、5億3731万トン(前年同期比4.2%増)とやや増加し、砂糖生産量も3207万トン(同16.6%増)と大幅に増加した。これは、サトウキビ圧搾量の増加に加え、サトウキビ1トン当たりの産糖量が59.7キログラム(同11.9%増)とかなり増加していることや、企業が砂糖への仕向け割合を増やしているためとみられる。

 なお、同報告によると、同期間のエタノール生産量は、2257万キロリットル(同4.2%減)とやや減少となった。また、同期間の輸出量も含めたエタノールの販売量は、1617万キロリットル(同9.4%減)となった。このうち、含水エタノール(注)の国内販売量は、924万キロリットル(同16.2%減)と、エタノールのガソリンに対する価格優位性の低下などから、大幅に減少した。

 ブラジル政府が本年4月に、タイの砂糖政策における間接的な補助金は国際協定に違反するとして、世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、ブラジルとタイの2国間協議が11月3日に行われ、タイ政府より砂糖政策の改革案が提出された。しかし、この改革案が施行され、当該補助金が廃止されるまでには時間を要することから、UNICAは、ブラジル政府に対し2016年内のWTOパネルの設置を要望している。

 また、現地報道によると、北東部ペルナンブコ州のスアベ港に新設された砂糖ターミナルで11月中旬、砂糖輸出が開始され、アルゼンチンへ2万トンの精製糖が輸出された。同港では、地元ペルナンブコ州のほか、隣接するアラゴアス州で生産された精製糖年間50万トンの輸出が計画されている。なお、同ターミナルの建設費は5800万レアル(19億1400万円)である。

(注)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール100%としたもので、ガソリンに混合して利用される。
(参考)ブラジルの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移
インド
2016/17年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は大幅減の見込み
  2016/17砂糖年度(10月〜翌9月)は、サトウキビ収穫面積は474万ヘクタール(前年度比6.2%減)、生産量は3億3193万トン(同7.5%減)と、ともに干ばつの影響によりかなりの減少が見込まれている。このため、砂糖生産量も、2450万トン(同10.4%減)とかなりの減少が見込まれている。
表3 インドの砂糖需給の推移
 しかしながら、前年度に比べ、操業を早めた工場が多かったことから、インド砂糖製造協会(ISMA)が発表した2016年10月〜11月の生産実績報告によると、砂糖生産量は、精製糖換算で274万トン(前年同期比17.4%増)と大幅に増加した。サトウキビ栽培面積が拡大し、最大の生産州になると見込まれているウッタルプラデシュ州では85万トン(同5倍)、第3位のカルナタカ州では70万トン(同24.8%増)と、ともに大幅に増加した一方で、マハラシュトラ州では95万トン(同26.3%減)、グジャラート州では14万トン(同39.1%減)と大幅に減少した(図4)。
図4 インドの地域別甘しゃ糖生産実績(10月〜 11月の生産量)
 また、同国では、砂糖の減産により2015年末から国内の砂糖価格が高騰しており、中央政府は、国内市場での砂糖の流通量を増やし、価格の安定化を図ることとしている。このため、同政府は6月中旬以降、粗糖を輸入して6カ月以内に再輸出する精製糖や2500トンのオーガニックシュガーを除いた砂糖の輸出に対し、輸出関税(20%)を導入している。さらに、製糖企業に対する砂糖在庫量の上限設定(注)は10月26日、2017年4月までの延長が閣議で承認された。これらにより、砂糖輸出量は、130万トン(前年度比68.5%減)と大幅な減少が見込まれている。

 現地報道によると、同政府は、砂糖の輸入関税の撤廃もしくは引き下げも検討している。ただし、砂糖の減産による国内供給の不足分を輸入砂糖で充当しつつも、輸入による国内価格への影響を最小限にとどめるよう慎重な検討がなされている。

 一方、現地報道によると、11月8日の高額紙幣廃止以降、砂糖需要が減退し、ウッタルプラデシュ州では、砂糖卸売価格が1キログラム当たり約36ルピー(64円(11月末日TTS:1ルピー=1.79円))から約34.5ルピー(62円)に低下している。製糖初期にもかかわらず、製糖企業は大口の販売を行えず、製糖工場から生産者へのサトウキビ代金支払いの遅延が懸念されている。

(注)中央政府は、貿易業者に限定していた砂糖在庫量の上限設定を製糖企業にも適用することとし、当初の適用期間は、砂糖の需要が高まるディワリ(ヒンズー教における新年を祝う最大のお祭り)の祭事前の9月から10月までとしていた。各製糖企業が保持できる在庫量は、9月末時点では2015/16年度の砂糖生産量の37%、10月末時点では同24%を上限と設定していた。
(参考)インドの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移
中国
2016/17年度の砂糖生産量はかなり増加、輸入量は大幅減の見込み
 2016/17砂糖年度(10月〜翌9月)は、サトウキビ収穫面積が183万ヘクタール(前年度比10.0%増)、生産量が1億2652万トン(同7.9%増)と、ともにかなりの増加が見込まれている。これは、広西チワン族自治区や海南省における栽培面積の増加に加えて、良好な生育状況が要因である。

 また、てん菜収穫面積は、15万ヘクタール(同10.0%増)とかなり増加し、生産量は771万トン(同5.0%増)とやや増加と予想されている。これは、主要生産地である内モンゴル自治区の生産量の増加などが要因である。これらにより、砂糖生産量は、1087万トン(同14.9%増)とかなりの増加が見込まれている。
表4 中国の砂糖需給の推移
 また、中国砂糖協会(CSA)が発表した2016年10月〜11月の生産実績報告によると、砂糖生産量は、精製糖換算で65万トン(前年同期比19.5%増)と大幅な増加となった(図5)。これは、てん菜糖は56万トン(同11.8%増)とかなり増加し、甘しゃ糖は9万トン(同2倍)と大幅に増加したことによる。

 なお、CSAは先に2016/17年度の砂糖生産見通しを発表している。これによると、精製糖換算で、甘しゃ糖が896万トン(前年度比14.1%増)、てん菜糖が104万トン(同22.4%増)とともに増加し、全体で1000万トン(同15.1%増)とかなりの増加が見込まれている。特に、最大生産地域である広西チワン族自治区の甘しゃ糖生産量は600万トン(同17.4%増)、内モンゴル自治区のてん菜糖生産量が47万トン(同65.5%増)と、ともに大幅な増加が見込まれている。
図5 中国の砂糖生産実績(10月〜 11月の生産量)
 砂糖の増産に加え、中国国家発展改革委員会(NDRC)(注)が9月、政府による備蓄砂糖35万トンの国内市場への年内の放出を発表し、備蓄在庫の国内企業への売り渡しが11月初旬に開始されたことなどから、砂糖輸入量は、368万トン(同40.6%減)と大幅な減少が見込まれている。

 また、現地報道によると、中央政府は2020年までの新たな燃料用エタノール生産計画(5カ年)を発表した。これによると、エタノール生産目標は先の2015年までの計画で達成できなかった400万トンに据え置かれており、中央政府が4月にトウモロコシの備蓄政策を停止したことなどにより、トウモロコシのエタノール仕向け量が増加するとの予測から、達成は容易であるとの見方もある。

(注)財政金融政策の策定や公共事業の認可などを行う政府機関。砂糖産業においては、砂糖の国家備蓄計画の総合調整および備蓄放出の提言、輸出入総量計画の作成を行う。
(参考)中国の砂糖(粗糖・精製糖別)の輸入量および輸入単価の推移
EU
2016/17年度の砂糖生産量は大幅増、輸入量はやや増加の見込み
 2016/17砂糖年度(10月〜翌9月)は、てん菜収穫面積が159万ヘクタール(前年度比10.8%増)、生産量は1億1218万トン(同6.7%増)と、ともにかなりの増加が予想されている。2017年10月以降の生産割当制度の廃止を目前に、生産量上位国であるフランスやドイツでは、在庫増への懸念から栽培面積の拡大に慎重になっているとみられる一方、ポーランドやオランダなどでは栽培面積を前年度から約2割増加させるなど、積極的に増産する動きも見られている。記録的な生産量となった2014/15年度に比べ、春先の低温や降雨のため単収が低下すると見込まれているものの、前年度と比べて産糖量の向上が見込まれていることなどから、砂糖生産量は、1752万トン(同18.8%増)と大幅な増加が予想されている。

 砂糖輸入量は、特恵関税で輸入した砂糖を再輸出する動きが見られることから、339万トン(同5.7%増)とやや増加が予想されている。

  一方、欧州委員会が9月下旬に公表した2016/17年度の生産予測によると、てん菜作付面積は141万ヘクタール(同7.6%増)、砂糖生産量も1666万トン(同11.6%増)と、ともにかなりの増加が予想されている。
表5 EUの砂糖需給の推移
(参考)EUの主要国別砂糖生産見込みおよび生産割合
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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