でん粉 でん粉分野の各種業務の情報、情報誌「でん粉情報」の記事、統計資料など

ホーム > でん粉 > でん粉の国際需給 > 2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

印刷ページ

最終更新日:2017年6月9日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2017年6月

 本稿中の為替レートは2017年4月末日TTS相場の値であり、1米ドル=112円(112.29円)、1タイバーツ=3.29円、1ユーロ=122円(122.35円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
新年度の需給予測、生産量はかなりの程度減少

 2017年5月、米国農務省(USDA)による2017/18穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測が初めて公表された。これによると、作付面積は9000万エーカー(3642万ヘクタール、前年度比4.3%減)、生産量は140億6500万ブッシェル(3億5727万トン、同7.1%減)とされ、過去最高となった前年度をかなりの程度下回る見込みである。総供給量は164億1000万ブッシェル(4億1683万トン、同3.1%減)と前年度をやや下回るものの史上2番目となっている。一方、国内消費量は124億2500万ブッシェル(3億1561万トン、前年度同)と飼料など向けの減少を相殺する形でエタノール向けの増加を見込み、前年度並みと予想されている。

【価格動向:トウモロコシ】
新年度の販売価格予測、中間値は前年度同

 同じく2017/18穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.00〜3.80米ドル(336〜426円)と予測されており、その中間値は3.40米ドル(381円)と前年度と同価格となっている(表2)。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
3月の輸出量は10カ月連続で前年同月比増

 2017年3月のトウモロコシ輸出量は、678万7709トン(前年同月比55.9%増、前月比34.1%増)と10カ月連続で前年同月を上回った(図3)。同月の国別輸出量は、次の通り。

コロンビア   144万3879トン  
 (前年同月比3.1倍、前月比5.2倍)
日本      139万4657トン  
 (同31.0%増、同0.4%増)
メキシコ    117万6592トン  
 (同6.1%減、同14.3%増)

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり176.54米ドル(1万9772円、前年同月比0.3%安、前月比0.1%安)と前年同月および前月をわずかに下回った。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

【貿易動向:コーンスターチ】
3月の輸出量は5カ月連続で前年同月比増

 2017年3月のコーンスターチ輸出量は、8035トン(前年同月比44.2%増、前月比5.5%増)と5カ月連続で前年同月を上回った(図4)。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ  3513トン  
 (前年同月比5.1倍、前月比29.5%増)
カナダ   2714トン  
 (同4.8%減、同7.0%増)
日本     10トン  
 (同64.3%減、前月同)

 また、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり5.16セント(5.8円、前年同月比5.5%安、前月比0.8%安)と前年同月および前月を下回った。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
キャッサバ供給量は増加

 タイタピオカ取引協会によると、4月末現在、キャッサバの供給量は非常に多くなっている。この要因の一つとして、例年よりも早く雨期に入ったためとしている。

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格、キャッサバ農家価格ともに低水準で推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2017年5月第3週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり11.2バーツ(37円、前年同期比14.5%安、前週同)と前年同期をかなり大きく下回っている(図5)。
 また、4月のキャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.27バーツ(4.2円)と前年同月および前月を下回った(表1)。

図5 タイのタピオカでん粉価格の推移

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月から大幅に減少

 2017年3月のタピオカでん粉輸出量は、25万55トン(前年同月比32.3%減、前月比1.4%増)と前年同月から大幅に減少したものの前月からはわずかに増加した(図6)。同月の国別輸出量は、次の通り。

中国      12万2008トン
 (前年同月比29.5%減、前月比3.3%減)
台湾       2万9967トン  
 (同9.5%増、同28.8%増)
マレーシア   2万6035トン  
 (同3.1%減、同2.1倍)
インドネシア  2万1956トン  
 (同74.7%減、同30.1%減)
日本         6413トン  
 (同8.1%減、同49.5%減)

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり345米ドル(3万8640円、前年同月比11.3%安、前月比1.5%高)と引き続き前年同月を下回って推移している(図6)。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ベトナム

【生産動向】
2月の作付面積は、前年同月比減

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2017年2月の調査では、キャッサバの作付面積は、8万881ヘクタール(前年同月比1.7%減)となった(表3)。キャッサバ価格が低水準で推移していることから、主要生産地域である南東地域のタイニンで多くの生産者が他の作物の栽培を選択していることなどが、作付面積減少の要因とみられている。

 キャッサバの供給動向を見ると、中央高原地域では、2月の前半はタピオカチップの乾燥に適さない不安定な気象条件だったため、多くがでん粉用に仕向けられたが、その後天候が回復したため、タピオカチップ向けが増加し、でん粉向けが減少した。一方、タイニンでは、2月の中旬から収穫が始まったものの、まだ収穫量は少なくでん粉含量もかなり低いことから、同地域のでん粉工場は、主にカンボジアから原料を輸入している。カンボジアは、2月がキャッサバ収穫の最盛期であることから、タイニンへのキャッサバの輸出が急増している。

表3 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月および前月から 大幅に増加

 AgroMonitorによると、2017年2月のタピオカでん粉輸出量は、24万8330トン(前年同月比88.0%増、前月比2.0倍)と前年同月および前月から大幅に増加した(図7)。これは、輸出量が少なかった前月から反発し、最大の輸出先である中国向けが22万トンを上回ったことに加え、台湾向けおよびフィリピン向けが直近1年間で最も多くなったことなどが要因である。

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
3月の輸出量は6カ月連続で前年同月比増

 2017年3月のばれいしょでん粉輸出量は、3万1603トン(前年同月比29.5%増、前月比1.6%減)と6カ月連続で前年同月を上回った(図8)。同月の国別輸出量は、次の通り。

米国   5573トン  
 (前年同月比22.0%減、前月比12.2%増)
韓国   5461トン  
 (同11.1%減、同4.9%減)
中国   1814トン  
 (同22.7%増、同12.4%増)
日本   977トン  
 (同54.3倍、同5.5%増)

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり610ユーロ(7万4420円、前年同月比3.8%安、前月比0.4%高)と3カ月連続で前年同月を下回った。

図8  EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

コラム デンマークのばれいしょでん粉の生産動向

 九州ほどの国土面積であるデンマークでは、近年ばれいしょでん粉生産量が増加してきている。本稿では、デンマークのでん粉原料用ばれいしょとばれいしょでん粉の生産動向について報告する。

 


 


1. でん粉原料用ばれいしょ生産
 近年のでん粉原料用ばれいしょの生産状況をみると、生産量は収穫面積の拡大に伴い増加傾向で推移しており、2015年は114万5600トン(2012年比17.3%増)となった()。一方、同年の生産者数は567戸(同33.1%減)と減少傾向で推移していることから、規模拡大を図っていると考えられる。



 

2. ばれいしょでん粉生産
 ばれいしょでん粉の生産は1900年ごろから行われてきたが、5万トンを下回る水準で推移していた。転機となったのは、1973年の欧州経済共同体(EEC)への加盟である。市場アクセスの改善により生産施設への投資が増加するなどし、ばれいしょでん粉の生産量が急激に増加した。1995年にEU内におけるばれいしょでん粉の割当制度が導入されると成長が鈍化したが、2012年の割当制度の廃止とともに再度急激に増加し、2013年には、約21万トンを生産している。

3. 今後の展望
 生産したばれいしょでん粉の90%前後は輸出されている。輸出先の一つである中国は、EU各国から多くのばれいしょでん粉を輸入しており、ここ数年の輸入量は増加傾向で推移している。デンマークからの中国向け輸出は2000トン前後で推移しているのに対し、拡大する需要に対応するため、新たに工場を建設したり、既存工場の拡張を行ったりするなど、輸出拡大に取り組んでいる。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タイ

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2017年3月の化工でん粉の輸出量は、9万7451トン(前年同月比2.1%増、前月比35.7%増)と前年同月からわずかに増加した(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本    3万6962トン  
 (前年同月比2.4%減、前月比87.8%増)
中国    1万8315トン  
 (同12.7%増、同15.2%増)
インドネシア 7946トン  
 (同11.5%減、同43.8%増)
韓国      6284トン  
 (同12.2%減、同14.1%増)

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

米国

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2017年3月の化工でん粉の輸出量は、2万7286トン(前年同月比7.7%増、前月比17.2%増)と前年同月からかなりの程度増加した(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    8133トン  
 (前年同月比20.3%増、前月比27.8%増)
中国     3066トン  
 (同11.9%減、同35.5%増)
メキシコ  2824トン  
 (同13.7%減、同5.2%増)
コロンビア 1335トン  
 (同12.1%増、同25.7%増)
日本    788トン  
 (同80.3%増、同25.3%増)

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

中国

【貿易動向】  
3月の輸出量は前年同月および前月から 大幅に増加

 2017年3月の化工でん粉の輸出量は、9148トン(前年同月比89.5%増、前月比2.5倍)と前年同月および前月から大幅に増加した(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本      2723トン  
 (前年同月比35.9%増、前月比4.1倍)
マレーシア  2154トン  
 (同5.3倍、同3.4倍)
インドネシア 589トン  
 (同44.0%増、同2.8倍)
台湾      403トン  
 (同3.6倍、同48.7%増)

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

EU

【貿易動向】
3月の輸出量は8カ月連続で前年同月比増

 2017年3月の化工でん粉の輸出量は、4万7783トン(前年同月比11.4%増、前月比13.5%増)と前年同月を8カ月連続で上回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。

トルコ  8822トン  
 (前年同月比40.8%増、前月比14.8%増)
中国  6577トン  
 (同6.8%増、同14.9%増)
ロシア 5955トン  
 (同31.4%増、同17.9%増)
日本  3170トン  
 (同9.7%増、同15.9%増)

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

豪州

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 2017年3月の化工でん粉の輸出量は、2140トン(前年同月比33.8%増、前月比17.1%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本         1420トン  
 (前年同月比29.3%増、前月比23.1%増)
ニュージーランド  247トン  
 (同42.8%増、同2.0倍)

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713