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砂糖、でん粉の新制度について

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最終更新日:2008年12月2日

砂糖類情報[2006年7月]

今月の視点
砂糖、でん粉の新制度について

農林水産省生産局 特産振興課 課長 松島 浩道


経緯
新制度の枠組みについて
新制度の運用について
おわりに


砂糖、でん粉について、平成19年産から直接支払い制度が導入されることになりました。
この政策の転換は、農政改革の一環として、担い手育成を目的とした品目横断的経営安定対策の導入に対応するとともに、将来の国際規律の強化に対応し、砂糖、でん粉に対する支援を安定的に実施できるようにするためのものです。
この新制度の具体的内容については、いずれまた、詳しく紹介する機会もあろうかと思いますので、今回は、新制度の背景、趣旨など述べてみたいと思います。

この新制度の枠組みについては、17年3月に提出された「砂糖及びでん粉に関する検討会」の報告書を踏まえて、部内で検討を進め、17年11月、12月には、「大綱」という形で、生産者への支援水準の試算を提示するとともに、支援対象者の要件を決定しました。
18年2月には、新制度の骨格である糖価調整法等の改正を、経営安定新法、主要食糧法の改正とともに、いわゆる農政改革三法として国会に提出しました。4月から衆議院で審議が始まり、中央・地方公聴会を開催して有識者から意見も聞きつつ、衆参両院で合計55時間の審議を経て成立し、6月21日に公布されました。

需要に応じた生産の推進と再生産の確保

新制度の導入に伴い、甘味資源作物、でん粉原料用いもの最低生産者価格等は廃止されることになり、今後は、これらの農産物の価格は生産者と製造事業者の間の契約により決定される仕組みになります。ここ数年のてん菜の生産過剰により現在548億円の調整金赤字が生じており、その早期解消が制度上大きな課題となっておりますが、これからは、生産者が価格の変動を通じて需給のシグナルを感じることができるようになりますので、これまで以上に、需要に応じた生産を心がけていただけるものと期待しています。
なお、生産者に対しては、価格保証に代えて、標準的な生産コストからこれらの農産物の価格を差し引いたものを直接支払う仕組みとしますので、従来どおり、これらの農作物の再生産は確保されるようになっています。

担い手の育成

最低生産者価格制度の下では、全ての農業者が支援の対象となっていましたが、新たな制度の下では、一定の要件に合致した農業者のみが直接支払いの対象となります。てん菜、でん粉原料用ばれいしょの生産者については、品目横断経営安定政策の下で一定の経営規模以上の認定農業者などに限定されますが、経営規模の零細なさとうきび、でん粉原料用甘しょについては、品目別対策として、実態に即した要件設定を行うことにより、できるだけ多くの意欲ある生産者が新制度の対象となるよう配慮しています。
しかしながら、さとうきびについては、近年、高齢化の進展に伴う肥培管理の粗放化等により、単収の低下、収穫量の減少が問題となっており、このままでは糖業の経営が悪化し、島によっては、さとうきび生産自体が立ち行かなくなる事態になることが懸念されています。新たな経営安定対策の導入を契機として、担い手に対して収穫作業を集約化することにより、安定的な生産に努めることが必要だと考えます。

国際規律への対応と安定的な支援の実施

砂糖、でん粉については、諸外国との生産条件が異なるため、現在、大きな内外格差(てん菜3倍、さとうきび8倍、ばれいしょ3倍、かんしょ4倍)があります。これを短期間で克服することは困難であるため、今後とも国内生産を維持していくためには、一定の関税水準を保ちつつ、これらの格差を是正する支援を継続することが不可欠です。
このため、今回の新制度においては、品目横断的経営安定対策の中で、生産者へ対する支援方法にWTO上削減対象とならない「緑の補助金」として過去の生産実績に応じた直接支払いを導入するとともに、従来から、不透明であるとして国際的に批判の多かったでん粉の抱合せ制度を廃止し、調整金制度を導入することにより、今後とも、安定的に支援を継続するための仕組みを整備しました。

製造事業者に対する支援

砂糖、でん粉の生産コストと市場価格の格差を、生産者に対する支援だけで埋めることが困難であるため、生産者と安定的な取引関係にある製造事業者に対しても一定の政策支援を行うことにより、全体としてコスト格差を補填する仕組みとしています。しかし、製造企業に対して直接公的支援を行うことは、他の分野では例の無いものであり、この支援制度に対して国民の理解を得ていくためには、企業が最大限の合理化を行ってもなお埋めがたいコストがある場合、これに対して支援を行う仕組みとすることが必要です。このため、製造事業者が支援を受けるためには、合理化計画を作成し、農林水産大臣の承認を受けることを要件としています。

公平・公正な制度運用

砂糖、でん粉とも、生産者、製造事業者、輸入業者など関係者が多く、しかも、それらの関係者の利害が必ずしも同一ではないため、制度運営に当たっては、特定の業界のみが優遇されることのないよう、また、関係者の利害のバランスがうまく取れるように配慮することが必要であり、今後とも、制度の公平・公正な運用に努めて参りたいと思います。
 このため、政策支援の水準の決定をはじめ、制度運営の基本的事項については、あらかじめ客観的な算定ルールなどを定めることにより、関係者の制度に対する信頼を得ていきたいと考えています。また、このことは関係者の制度運営に対する予見可能性を高めるという観点からも、重要であると思います。

透明性の高い制度運用

最低生産者価格制度から直接支払い制度に移行することに伴い、誰に対してどの程度の公的支援が行われているのかが明確になります。砂糖、でん粉に対する政策支援の財源は、主として、調整金の賦課により国際価格よりも高い砂糖、でん粉を購入していただいている消費者の負担により賄われています。新制度に対する消費者の理解と支持を得るためにも、どのような根拠に基づき、誰に対して、どの程度の支援を行うのかを明らかにするなど、透明性の高い制度運営を心がけたいと考えています。
今後は、まず制度設計の細部について、昨年秋に決定した「大綱」に則し、政省令を公布することになります。
また、具体的な政策支援の水準については、「大綱」の中で示した算定ルールに、最新の生産コストの数値等を入れて、8月末の19年度予算概算要求に反映できるよう、7月にはこれを決定する必要があります。さらに、製造事業者に対する支援については、昨年の「大綱」では言及されていませんので、これから関係者とも緊密に協議しつつ、算定ルール等を策定することとしています。
19年10月から新制度へ移行することになっていますが、それまでの間、関係者の意見を十分お聞きしつつ、制度運用の細部について決定して参りますし、また、19年10月以降は、先に述べましたように、透明性高く、公平・公正な制度運用に努めて参りたいと思いますので、引き続き関係者各位のご理解、ご協力をたまわりますよう、改めてお願いする次第です。



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