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砂糖・でん粉事業の収支について

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2009年8月]

【機構から】

特産調整部


1.19年にスタートした新しい砂糖・でん粉事業

 平成18年6月に改正法が成立した「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、平成19年10月から、砂糖とでん粉に関する新しい価格調整制度がスタートし、2年を経過しようとしています。

 新制度は、①農政改革の一環として、担い手育成を目指した品目横断的な経営所得安定対策が導入されたことに対応し、砂糖・でん粉分野における新たな施策体系の構築が求められたこと、併せて②砂糖の調整金収支における構造的な赤字を解消し、市場シグナルを反映した価格形成の仕組みに移行すること③長期的な課題として、国際規律の強化に対応するために、より透明性の高い制度にするとともに、さらなるコスト削減に取り組む必要があること―を背景として導入された経緯は、記憶に新しいところです。

 農畜産業振興機構としては、新制度の下で、従来からの輸入指定糖、異性化糖等からの調整金徴収業務、国内産糖製造事業者への交付金交付業務に加え、砂糖に関しては、新たに、さとうきび生産者に対する交付金交付業務を開始しました。また、でん粉に関して、でん粉原料用輸入とうもろこし等からの調整金徴収業務、国内産でん粉製造事業者とでん粉原料用かんしょ生産者に対する交付金交付業務を開始し、現在に至るまで、制度の効率的な実施に努めてきたところです。

 なお、以下に説明する20年度の財務会計に関する計数は、独立行政法人通則法に従って、農林水産大臣に提出した段階のものであり、今後、農林水産省独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で大臣承認を得る計数であることを申し添えます。


2.事業収支を巡る事情

(1)大幅な赤字基調の砂糖勘定
(制度の概要)

 砂糖の生産者交付金と事業者交付金は、国からの交付金と輸入指定糖等からの調整金を財源としており、20年度には、国費103億円、調整金631億円、計734億円が支出されました(てん菜の生産者交付金は、調整金による負担部分を機構から国に納めて、国費財源を含めて水田・畑作経営所得安定対策の中で支払われていますので、その部分は含まれません)。甘味資源作物の特に効率的な生産費と国内産糖の特に効率的な製造経費が砂糖の市価を上回る部分を調整金で賄うとともに、標準的な生産費と標準的な製造経費が効率的な生産費と効率的な製造経費を上回る部分を国費で賄うこととされています。

 機構としては、国からの交付金を合わせて、交付金交付業務を実施していますが、国の財源部分は、そのまま、生産者と事業者に渡りますので、機構の砂糖事業に関する収支は、調整金の収入額と支出額のバランスによることとなります。


19〜20事業年度砂糖勘定調整金収支
単位:億円
注…ラウンドのため、計があわない場合がある。 上記金額は、調整金負担部分のみである。


(最近の状況)

 調整金は、砂糖年度ごとに定められる砂糖調整基準価格と四半期ごとに定められる平均輸入価格の差額を基礎として算定されますので、粗糖の国際相場と為替の影響を受けます。砂糖相場の動きは、穀物相場と必ずしも連動していない面がありますが、史上最高値をつけた後いったん下がった原油相場や穀物相場が上昇している中で、砂糖相場も上昇基調にあり、調整金が増える状況にはないものと考えられます。19年度には522億円の調整金収入がありましたが、20年度は496億円となっており、21年度は4月から6月までの実績において対前年同期に比べ8億円の減収となっています。

 他方、調整金を財源として支出される主な項目は、甘味資源作物交付金、国内産糖交付金と国庫納付金です。甘味資源作物交付金は、機構から鹿児島県及び沖縄県のさとうきび生産者に交付されるもので、20年度は総額219億円となりました。北海道のてん菜生産者に対する支払い分は、機構から国庫に納付された後、水田・畑作経営所得安定対策の中で、国からの助成部分と併せて支払われます。この国庫納付分は20年度には195億円となりました。国内産糖交付金は国内産糖メーカーに支払われる交付金で、てん菜糖112億円、甘しゃ糖103億円となりました。てん菜糖への交付金については、64万トンの交付対象数量の上限を設けたものの、甘しゃ糖においては、さとうきび増産プロジェクトの効果に加え、天候要因にも恵まれたため、近年にない増産となり、交付金交付額は増大しました。

 
(収支悪化と繰越欠損金増大)

 砂糖年度は10月から9月までですが、機構の法人としての事業年度(4月から3月)でみた調整金収支は、以上のような収入と支出の状況により、20年度には135億円の単年度赤字となり、21年度にも、それを上回る単年度赤字が予想されます。


砂糖の調整金収支の推移(事業年度)
(単位:億円)
注1)18年度の収入には、18年10月末に砂糖生産振興資金より充当した471億円を含む。
注2)20年度は見込みである。


 6年度からの数年を除くと、19年度の制度改正前も、調整金収支は赤字で推移しており、恒常的に累積赤字を背負ってきました。砂糖生産振興資金から約470億円を投入し、累積赤字を500億円台に縮小(砂糖年度では、18年度に349億円の累積赤字に縮小)するとともに、構造的な赤字を解消し、市場シグナルを反映した価格形成の仕組みに移行することを目的として新制度がスタートしました。しかしながら、20事業年度には累積赤字は560億円を超え、単年度の収入額を上回る額となっています。

 累積赤字の増加は、制度の安定的な持続可能性に大きな問題を生じさせることとなることから、今後ともさとうきびの増産等を図る上では、財源の確保を念頭に置いた関係者の理解が必要となっています。


(2)注意が必要なでん粉勘定

 国内産いもでん粉の引き取りを条件に無税の原料とうもろこしの関税割当を行う、いわゆる抱き合わせ制度の下にあったでん粉とでん粉原料用いもに関しては、平成19年10月から、でん粉原料用輸入とうもろこし等から調整金を徴収して、でん粉原料用いも生産者と国内産でん粉製造事業者に対して交付金を交付する制度に移行しました。砂糖とは異なり、でん粉に関しては、機構が交付する生産者交付金と製造事業者交付金には、国費は投入されていません。

 機構の事業年度でみると、19年度は10月以降の半年分だけの計上でしたので、1年分が計上される形での決算は20年度が最初の年になりました。

 20年度については、調整金収入は120億円、そのうち、輸入とうもろこしからは114億円、輸入でん粉からは6億円となっています。支出に関しては、かんしょ生産者に対する支出が39億円、事業者交付金のうち、ばれいしょでん粉が21億円、かんしょでん粉が10億円で、合わせて30億円となりました。水田・畑作経営所得安定対策の中で、ばれいしょ生産者に交付される費用として国庫に納付した額は69億円で、これらを合わせて、事業費総計は138億円となっています。

 20年度のでん粉勘定の決算は、18億円の当期損失となっています。調整金収入の大部分を占めている輸入とうもろこしについては、国際的な穀物相場に連動して、過去最高値をつけた昨年夏以降、いったんは下落したものの、近時、また、国際相場が上昇しており、調整金収入の減少が懸念されることから、今後、調整金収入の動向だけでなく、支出との関係で、でん粉の生産動向、需要動向等にも注意を払う必要があります。


19〜20事業年度でん粉勘定調整金収支
単位:億円
注…ラウンドのため、計が合わない場合がある。

3.今後の展望等

 砂糖・でん粉の価格調整制度は、19年10月の制度発足以降、本年10月で3年目を迎えることとなりますが、3年間固定された生産者交付金単価の22年度以降のあり方の議論が政府において行われています。また、例年どおり、21砂糖・でん粉年度の開始に向けて、一連の価格指標等が定められます。

 現在のところ、砂糖については、収入と支出のバランスが大きく崩れており、また、でん粉勘定についても、調整金収入を上回る支出となっており、制度が安定的に持続するためには、機構の砂糖勘定、でん粉勘定それぞれの収支均衡が非常に重要です。

 政府の企画立案した制度を適切に運用することが、独立行政法人である農畜産業振興機構の役割であり、農畜産業と関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定に寄与するという組織としての目的をしっかり意識しながら、今後とも、効率的な制度運営に努めていきます。




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