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新たなでん粉制度の一年を振り返って

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2008年10月]

【話題】

農林水産省 生産局 生産流通振興課
課長 水田 正和


 平素は、農林水産行政にご理解、ご協力を賜り、御礼申し上げます。

 でん粉制度については、従来の関税割当制度による抱合せ措置から、価格調整制度へと移行し、1年が経過いたしました。 本制度は、施策の対象となる担い手を明確化した上でその経営の安定を図る「水田・畑作経営所得安定対策」と相まって、原料用いも生産者および国内産でん粉事業者の健全な経営の確保を図るものであります。

 具体的には、「水田・畑作経営所得安定対策」がでん粉原料ばれいしょを、価格調整制度に基づく「品目別経営安定対策」がでん粉原料用かんしょおよび国内産いもでん粉を対象とし、両者が一体となって、国内産いもでん粉の安定的な供給の確保を図るものであります。

 さて、初年度のでん粉制度の運用に当たっては、関係者のご協力を得て、でん粉原料用ばれいしょおよびでん粉原料用かんしょについて、ほぼすべての生産者を交付金対象生産者とすることができました。

 また、でん粉原料用かんしょ生産者交付金の支払手続きの改善については、昨年9月に産地の生産者団体、農畜産業振興機構および国からなる「さとうきび及びでん粉原料用かんしょに係る交付金の支払手続きに関する協議会」を設置し、支払い状況の検証などを行った結果、20年度から申請手続の事務の簡素化や支払期間の短縮化を図ることができました。 さらに、かんしょでん粉工場については、製造コストの低減および品質の向上を図り、原料処理量に見合った生産体制とするため、いもでん粉工場再編合理化事業を活用して、地域一体的な合理化、効率的な設備の導入などの取組みが進められております。

 なお、国内産いもでん粉の需要については、でん粉に関する協議会での合意内容に沿った需要が確保されているところであります。

 一方、でん粉原料用かんしょ生産者については、受託組織等が存在しない地域において、3年間(19年度から21年度まで)に限って、受託組織等の生産体制の核となる担い手の育成を行うことを目的とする組織に参加する者を対象とすることができる特例措置を講じていますが、その対象者の割合は19年度では40%と高くなっております。このため、県や農畜産業振興機構などの関係機関の皆様におかれては、特例期間内に対象者が特例要件から本則要件へ移行できるよう、一丸となって、受委託組織づくりにご尽力いただきたいと考えております。

 また、でん粉原料用かんしょ生産者の対象要件審査の手続きについてさらなる改善を図り、負担の軽減を進めて参りたいと考えております。  いもでん粉工場については、操業率に直接影響するでん粉原料用かんしょを確保しつつ、工場再編を早急に進め、生産性の高い工場に集約することが必要であると考えております。

 WTO農業交渉については、多様な農業の共存を基本理念に、輸出国と輸入国のバランスの取れた貿易ルールの確立を目指して交渉に臨んで参りました。本年7月のジュネーブでの閣僚会合では合意には至りませんでしたが、今後とも、でん粉を重要品目に位置付けるなど、国内生産への影響が極力小さくなるよう、粘り強く交渉に当たって参る所存です。

 また同時に、わが国のような輸入に大きく依存している国も、食料生産の体質強化に一層取り組むことが食料安全保障上も求められており、資源を有効に活用して農業生産の供給力を高めることで、自給率の向上を図って参りたいと考えております。

 最後になりましたが、今後とも、より効率的な制度運営に努めて参りますので、引き続き関係者の皆様のご協力をよろしくお願いいたします。