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世界のでん粉製品需給[2010年3月]

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最終更新日:2010年3月7日

でん粉情報

[2010年3月]

調査情報部


世界のでん粉製品需給

(1) 生産動向 〜アジアでの生産が約半分を占める〜


資料:LMC 社(2009年3月31日現在)
注:数値は乾燥重量ベース
図1 世界のでん粉製品の生産量

 LMC社(農畜産業振興機構委託調査会社)によると、世界のでん粉製品の生産量は年々増加しており、2008年は、乾燥重量で7266万4000トンとなっている。地域別では、2001年以降アジアが最も多く、2008年には全体の49.0%を占めることとなった。次いで北アメリカ(27.7%)、ヨーロッパ(16.5%)の順である。

 しかし、アジアでの生産量の急速な伸びは、2008年に鈍化している。これは、経済不況によるでん粉製品の需要減のほか、タイにおけるタピオカでん粉の原料となるキャッサバ価格の高騰、中国におけるとうもろこしのでん粉への仕向けを制限する政策などによるものと考えられる。

資料:LMC 社(2009年3月31日現在)
図2 種類別の生産量(2008年)

 2008年の世界のでん粉製品の生産量(7266万4000トン)を、供給形態別に見ると、糖化製品が最も多く、ほぼ半分の47%(3822万2000トン)、次いで天然でん粉29%(2122万4000トン)、発酵製品15%(1124万9000トン)、化工でん粉・膠着剤9%(637万トン)となっている。

資料:LMC 社(2009年3月31日現在)
図3 世界の天然でん粉生産量(2008年)(単位:千トン)

 さらに、2008年の天然でん粉の生産量(2122万4000トン)の内訳を見ると、コーンスターチが最も多く1266万4000トン(60%)、次いでタピオカでん粉772万6000トン(36%)、ばれいしょでん粉229万5000トン(11%)、小麦でん粉122万4000トン(6%)である。地域別では、アジアが最も多く、コーンスターチ、タピオカでん粉については最大の生産地域である。次いでヨーロッパとなっており、同地域は、ばれいしょでん粉および小麦でん粉の最大の生産地域となっている。北アメリカは生産量のほとんどがコーンスターチである。

(2) 消費動向 〜アジアでの需要増に伴い、増加の見込み〜
〜消費量は、アジアでの需要増に伴い、増加の見込み〜

 LMC社によると、世界のでん粉製品の消費量についても生産同様年々増加している。2008年は穀物価格の高騰と世界同時不況による需要減によってその伸びは鈍化したが、アジア諸国の経済成長によって2009年にも再伸するとみられる。地域別に見ると、生産量と同様にアジアでの消費が増加しており、世界全体に占める割合は、99年の35.6%から08年には46.7%になっている。

 2008年以降の世界の消費量は、09年は前年比4.7%増の7606万トン、10年は前年比3.8%増となる7897万トンと増加傾向で推移し、このうちアジアの占める割合は、09年47.7%、10年48.8%と予測される。


資料:LMC 社(2009年3月31日現在)
注:2009年以降は予測値
図4 世界のでん粉製品の消費量

各国の動向

(1) タイ
〜09年度のキャッサバの生産量は、虫害により大幅に下方修正〜


資料:タイ農業協同組合省農業経済局
注1:2009年度は予測値
注2:作付面積1ライ=0.16ヘクタール
図1 キャッサバ作付面積および生産量の推移

 タイのキャッサバは、かんがい施設の整備されていない地域で主に生産され、とうもろこし、さとうきびと競合している。地域別には東北部が最も生産量が多い。

 近年はキャッサバの収益性が良好であったことから、作付面積と生産量は増加傾向で推移してきた。08年度(10〜9月)は、作付面積が前年度比1.7%増の775万ライ(約124万ヘクタール)、生産量は天候に恵まれず同6.5%減の2516万トンであった。

 09年度の生産量については、当初(09年8月)2776万トンと見込まれていたが、害虫のコナカイガラムシによる被害から、同11月には当初の見込みから20.4%減の2211万トンまで大幅に下方修正された。

表1 キャッサバ指標価格
資料:タイ農業協同組合省農業経済局

 また、減産見込みを反映し、15日ごとに定められるキャッサバの指標価格(詳細は後述)は上昇しており、2月1日時点で、10月1日時点と比較して、32.9%増のキログラム当たり1.86バーツとなっている(注:1バーツ=2.74円、平成22年2月18日現在)。


〜キャッサバの価格支持制度が09年度から変更〜

 従来の担保融資制度は、政府がキャッサバを担保に、農家に対して「担保融資価格」で融資する、というものであった。政府が預かったキャッサバは、チップ又はタピオカでん粉に化工されるため、農家が買い戻す場合は、当該製品をキャッサバに換算した上で行われる。しかしながら、融資後の農家による買い戻しはごくわずかであり、実質的には政府による買い上げ制度として機能していた。そのため、政府が大量のチップ又はタピオカでん粉の在庫を保有する上、結果的に担保融資価格よりも安価で市場に放出するケースが多いことから、多大な財政負担を強いられていた。

 こうしたことから、09年度からは担保融資制度は廃止され、新たに価格保証制度が導入された。同制度では、農家は毎年度各県の農業事務所に制度参加の登録を行うことが義務付けられる。この制度は、市場の平均的な売買価格に基づいて15日ごとに設定される指標価格が、政府が設定した保証価格(09年度キログラム当たり1.7バーツ)を下回った場合、その差額を、当該期間に販売実績のあった登録農家に対して補てんするものである。

(詳細については、でん粉情報2009年12月号「タイのキャッサバをめぐる事情〜担保融資制度から価格保証制度へ〜」を参照されたい。)


〜キャッサバおよびタピオカ製品の流通の概要〜

資料:タイタピオカ貿易協会
図2 タピオカ製品の国内消費と輸出利用率
(2008年度)

 キャッサバを原料とした加工品には大別して、①皮付きのままでキャッサバをチョッパーで破砕し、天日乾燥させたチップ②チップをさらに粉砕して圧縮加工したペレット③キャッサバを洗浄・剥皮した後磨砕し、遠心ふるいでかすを除去後、推薦、精製、脱水、乾燥して得られる天然でん粉(native starch)④でん粉を酸などの薬品や熱などで変性させた化工でん粉(modified starch)−がある。

 タイタピオカ貿易協会によると、キャッサバ生産量に対し、国内需要は生イモベースで3割弱に過ぎず、タピオカ製品の約7割は輸出向けである。製品別でみてもチップ・ペレットの約8割、でん粉(化工でん粉を含む)の約65%が輸出されている。日本へはほとんどが天然でん粉、化工でん粉の形で輸出されている。


〜09年のタピオカでん粉の輸出量は大幅増〜

注:HScode110814の数値である。
資料:GTI 社「Global Trade Atlas」
図3 タイのタピオカでん粉の輸出の推移

 タイのタピオカでん粉の輸出量(2009年)については、前年比43.2%増の174万3000トンと過去最高の水準となった。08年には、世界同時不況による需要の減退やキャッサバ価格高騰の影響から、前年比14.4%減の121万7000トンとなったものの、一転して大幅に増加した。これは、キャッサバの生産が順調であったことに加えて、キャッサバ価格が下落したため、担保融資制度に基づいてタイ政府が保管していたタピオカでん粉を放出したことなどによるものである。輸出先別では、中国が最も多く(48万7000トン)、次いで、台湾(31万1000トン)、インドネシア(24万2000トン)、マレーシア(18万6000トン)などのアジア諸国になっている。我が国は11万5000トンと第5位である。

 輸出価格(FOB)については、05年から上昇傾向にあり、穀物価格の高騰した08年には05年の2倍を超えるキログラム当たり0.37米ドルに達した。しかしながら、09年にはキャッサバ価格が下落したため、前年比27.0%安の同0.27米ドルと反落している(注:1米ドル=90.90円、平成22年2月18日現在)。

 なお、同じくキャッサバを原料とするタピオカチップは、ほぼ全量が中国向けである。08年は、中国産穀物の供給増やベトナム産タピオカチップとの競合激化により減少したが、09年は回復傾向をみせている。タピオカペレットについては、主にEU向けであり、08年にはEUの穀物生産が好調であったため減少傾向となった。この傾向は09年も継続している。


(2) 米国
〜米国農務省、2009年産のとうもろこしの期末在庫見通しを下方修正〜
 とうもろこしの推定需要量はエタノール需要により増大

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が公表した2月の世界農産物需給推計の月次報告によると、2009/10穀物年度の米国のとうもろこし需要予測量は前月から4500万ブッシェル引き上げられ、131億1500万ブッシェル(前年度比8.8%増)になるとされている。用途別に前月予測量と比べると、食品加工向けは甘味料の需要低迷などにより500万ブッシェル減、輸出向けは競合する輸出国アルゼンチンの増産により5000万ブッシェル減、エタノール向けが1億ブッシェル増えており、これにより需要予測量が引き上げられている。


表1 米国におけるとうもろこしの需給見通し(2010年2月9日米国農務省公表)
資料:USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」
注:年度は、各年8〜9月

表2 世界のとうもろこしの需給見通し(2010年2月9日米国農務省公表)
資料:USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」
注:年度は、世界各国の穀物年度の単純合計

 また、需要予測量が引き上げられたが、生産予測量は据え置かれているので、その分2009/10年度末の在庫予測量が4500万ブッシェル引き下げられ、17億1900万ブッシェルに下方修正された。USDAは2009/10年度の平均農家販売価格は、前月の予測価格の下値をブッシェル当たり0.05ドル上げ、上値を同0.05ドル下げて同3.45〜3.95ドルになると予測している。


(3) EU
〜09年のばれいしょでん粉の輸出量は増加〜

注1:2009年は、1〜11月までの数値である。
注2:HSCode:110813の数値である。
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
図1 EUのばれいしょでん粉の輸出の推移

 EUのばれいしょでん粉の輸出は、ばれいしょが06年秋に不作であったことおよび07年からの穀物価格高騰による作付転換が影響して、07年および08年は、それぞれ26万9000トン、25万9000トンと低い水準であった。しかしながら、09年(1〜11月)は、原料ばれいしょの豊作を受けて、前年同期比53.1%増の36万6000トンとなっている。相手国別に見ると、中国が最も多く4万8200トン、米国(4万7700トン)、次いで台湾(2万4200トン)、タイ(1万9500トン)となっている。

 価格(FOB価格)については、06年下期から上昇傾向となり、07年の平均価格は、前年比47.1%高のキログラム当たり0.50ユーロ、08年は、同8.0%高の同0.54ユーロとなった。しかしながら、その後下落し、09年の平均価格は、前年比33.3%安の0.36ユーロとなった(注:1ユーロ=123.33円、平成22年2月18日現在)。




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