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世界のでん粉需給と消費量の見通しについて

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2008年9月]

【国内外の需給動向[海外]】

調査情報部 調査課


 でん粉は、各国での地理的条件や気候などに応じてとうもろこし、ばれいしょ、小麦、キャッサバのほか、かんしょ、サゴやしなど様々な原料作物から生産されている。天然でん粉として粉末で流通するものもあるが、さらに天然でん粉を原料として糖化製品、発酵製品、化工でん粉などにも加工されている。糖化製品などに加工する際には、天然でん粉を乾燥させずスラリー(水との混合物)の状態で原料とし、同工場内で製造することも多い。
  今回は、天然でん粉にさらに加工された糖化製品などを加えたでん粉製品全体と、主要なでん粉(コーンスターチ、ばれいしょでん粉、小麦でん粉、タピオカでん粉)の生産状況および消費動向について、英国の調査会社LMC社に委託して調査を行ったので、その結果を報告する。


1.でん粉製品全体の見通しについて〜生産、消費ともアジアでの増加が著しい〜


(1) 生産状況 〜アジアでの成長が著しい〜
  でん粉製品の生産を地域別に見ると、2002年以降はアジアが最も多く、次いで北アメリカ、ヨーロッパの順となっている。アジア以外の地域での増加率は2%程度であるのに対して、アジアでの生産は年平均8%と急速に伸びている。アジア地域における種類別でん粉製品生産量の内訳を見ると、天然でん粉が最も多いがそれを加工した糖化製品、発酵製品、化工でん粉とどの製品も幅広く生産されている。北アメリカ、ヨーロッパでは他の製品に比べて糖化製品の割合が多くなっているが、特に北アメリカでは異性化糖の、ヨーロッパではぶどう糖の生産が多い。しかし、北アメリカでは、清涼飲料の消費が伸び悩んでいることを受けて、糖化製品の生産の伸びは停滞傾向となっている。


(2) 消費の動向 〜経済成長に伴うアジアでの増加の見込み〜
  消費量では、生産量と同様にアジアでの伸びが大きく、2002年以降、でん粉製品の最大の消費地となっている。国民1人当たりのGDP成長率の予測を基にした2015年までの消費量の見通しによると、アジアでの消費は今後も継続して増加し、2015年には6,495万トンと、2007年に比べて90%程度増加すると見られている。一方で、アジアに次いで消費量の多い北アメリカ、ヨーロッパでは消費量は伸びるものの、両地域ともに2015年には2007年と比較して3割強の増加にとどまるとしている。このため、世界全体の消費量のうちアジアの占める割合は、2007年の42.2%から2015年には50%程度にまで拡大することになる。
  2015年の需要量を満たすためには、2007年に比べて約4,600万トンのでん粉製品を増産する必要がある。特にアジアでの消費量の増加が予想されていることから、中国でのとうもろこしおよびタイをはじめとする東南アジアでのキャッサバの生産を大幅に増加させる必要がある。4,600万トンのでん粉製品を中国でとうもろこしから生産すると仮定すると、計算上では900万ヘクタールの農地が必要となる。


表1 でん粉製品の地域別生産量の推移
(千トン、乾燥重量)
出典:LMC 社

表2 種類別でん粉製品の生産量(2007年)
(千トン、乾燥重量)
出典:LMC 社

表3 でん粉製品の地域別消費量の推移
(千トン、乾燥重量)
出典:LMC 社

表4 でん粉製品の地域別消費量の見通し
(千トン、乾燥重量)
出典:LMC 社


2.天然でん粉の見通しについて

 天然でん粉は、その原料作物により粒の形状、大きさなどが異なっていることから、糊化温度、溶解度糊の透明性,老化性,粘度安定性などの特性が異なる。
  でん粉は,糖化製品・発酵製品・化工でん粉のほかに、水産練製品、ビールなどの食品や繊維、製糸、ダンボールなどの工業製品に幅広く利用されている。でん粉の利用に当たっては、大きく分けて糖質原料として利用する場合と、でん粉のもつ特性を利用する場合があり、後者では特にでん粉の種類が重視される。


表5 でん粉の種類別生産量(2007年)
(千トン)
出典:LMC 社

表6 でん粉の種類別消費量(2007年)
(千トン)
出典:LMC 社


(1) コーンスターチ 〜アジアでの消費量が大きく増加する見通し〜
  コーンスターチの2007年の生産量は、1,221万トンと、天然でん粉の中では最も多く生産されている。地域別には、アジアが805万トンと最も多く世界全体の約6割を占めており、北アメリカの262万トン、ヨーロッパの117万トンが続いている。消費量についても、生産量と同様にアジアが804万トンと最も多く、北アメリカの256万トン、ヨーロッパの117万トンが続く。輸出量は中国からの輸出が35万トンと突出して多く、以下、フランスの16万トン、米国の13万トンとなっている。
  2012年までの消費量の見通しによると、アジアでの消費が2007年の804万トンから2012年には1,319万トンになるとしている。特に中国での消費が伸びると見込まれているが、現在、中国では食品用のとうもろこしを確保するためでん粉への加工が制限されており、今後、消費量の増加分をどのように確保するかが課題となっている。アジアではコーンスターチの代用としてタピオカでん粉が使われることも多いが、タピオカでん粉の需給もひっ迫している。このため、中国からのコーンスターチの輸出量のみならず、他のアジア諸国からのタピオカでん粉の輸出量も減少する可能性もあるとしている。

表7 コーンスターチの主要輸出入国の貿易量(2007年)
(トン)
出典:LMC 社

表8 コーンスターチの消費量の見通し(2012年まで)
(トン)
出典:LMC 社


(2) タピオカでん粉 〜大半をアジアから供給〜
  タピオカでん粉の2007年の生産量は、741万トンでコーンスターチに次いで多い生産量である。地域別には、アジアが658万トンで世界全体の88.9%と大半を占めており、その他の地域では、南アメリカの73万トン、アフリカの10万トンとなっている。消費量は、生産量と同様にアジアが最も多く、638万トンで世界全体の86.1%を占めている。次いで、生産地域である南アメリカ、アフリカが続いているが、生産していない地域でもヨーロッパでは12万トンが消費されている。国別の輸出量を見ると、タイからの輸出が158万トンと突出して多く、ベトナムの44万トンが続く。
  2012年までの消費量の見通しでは、2012年には2007年よりも245万トン多い、986万トンになるとしている。主要生産国であるタイでは、耕作可能地に限度があり、作付面積を拡大することで生産を増加することは難しい。新たに作付を拡大することができるのは、ベトナム、ラオス、カンボジアが考えられるが、ラオスおよびカンボジアでは政府からの支援が少ないため、新たにキャッサバを加工するための工場を建設することが難しいと見られる。
  また、近年ヨーロッパでは他のでん粉価格が高いため、タピオカでん粉は魅力のある製品となっており、輸入量が増加している。また、ばれいしょでん粉は生産割当によって生産量が限られていることから、消費量が増加する中でばれいしょでん粉の代用としてもタピオカでん粉が利用される可能性が高いと見込まれている。


表9 タピオカでん粉の主要輸出入国における貿易量(2007年)
(トン)
出典:LMC 社

表10 タピオカでん粉の消費量の見通し(2012年まで)
(千トン)
出典:LMC 社


(3) ばれいしょでん粉〜EUでの動向が世界市場に大きく影響〜
  ばれいしょでん粉の生産は、ヨーロッパが最も多く、2007年の生産量は199万トンと世界全体の253万トンのうち78.4%を占めている。その他では、アジアが47万トン、北アメリカが7万トンであるが、その他の地域では生産されていない。消費についても、生産地域であるヨーロッパ、アジア、北アメリカでの消費が多いが、その他の地域での消費も見られる。
  これまで、EUでは、ばれいしょでん粉に政策支援があるため、ほぼ全域で生産されておりアジアと北アメリカ向けに輸出されていたが、2007年にはアジア向けの輸出量は大きく減少している。
  2012年までの消費量の見通しは、他のでん粉と同様にアジアでの伸びが大きく2007年から約3割増加の84万トンになるとしている。しかし、世界全体では21.6%増加の308万トンと、コーンスターチ、タピオカでん粉、小麦でん粉と比べると増加幅はやや小さくなると見ている。
  EUのでん粉制度は2008年に見直される予定である。ばれいしょでん粉への支援が削減された場合には、ばれいしょでん粉とばれいしょでん粉から製造される化工でん粉の生産量およびEUからの輸出量に影響を及ぼすものと見込まれる。


表11 ばれいしょでん粉の主要輸出入国の貿易量(2007年)
(トン)
出典:LMC 社

表12 ばれいしょでん粉の消費量の見通し(2012年まで)
(トン)
出典:LMC 社


(4) 小麦でん粉 〜原料の他用途との競合が課題〜
  小麦でん粉の2007年の生産量は119万トンであり、ヨーロッパでの生産が71万トンと最も多く、アジアの29万トン、北アメリカの10万トンと続く。消費量についても、ヨーロッパが最も多い72万トンで、アジアの33万トン、北アメリカの8万トンと続いている。
  ヨーロッパの中でもEU域内での生産量が69万トンとその大半を生産しており、輸出量も同様の傾向となっている。
  2012年までの消費量の見通しは、特にアジアで2007年から約60%増加し54万トンになるとしている。しかし、特に中国において、食用との競合からでん粉生産のための必要量が確保できない恐れがある。
  一方、ヨーロッパでは、2012年の消費量は83万トンになると見ている。ヨーロッパでは、原料の小麦がエタノール生産に向けられる可能性も高いが、現在、コーンスターチ製造工場が小麦でん粉製造工場に改修されたり、小麦でん粉製造工場が拡張されるなど小麦でん粉の生産を拡大する動きにある。このため、ヨーロッパにおける消費量の拡大見込み分は、生産の増加によって賄えるものと見込まれる。


表13 小麦でん粉の主要輸出入国の貿易量(2007年)
(トン)
出典:LMC 社

表14 小麦でん粉の消費量の見通し(2012年まで)
(トン)
出典:LMC 社

 

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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