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炭素価格制度導入に伴う豪州農畜産業への影響について

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最終更新日:2012年1月13日

 豪州では2012年7月より炭素価格制度(炭素税)が導入予定である。これに伴って、炭素税の導入による農畜産業への短期的な影響について、豪州農業資源経済科学局(ABARES)による試算結果が公表された。

2012/13年度における炭素税の影響は、酪農業で最大

 開始初年度の2012/13年度(7月〜翌6月)における炭素価格は、排出量1トンにつき、23豪ドル(約1,900円:1豪ドル=81円)である。農業分野の企業は、この支払いの対象外となっているものの、電力会社などが炭素価格の支払いを求められることから、光熱費などの生産コスト増が懸念されている。
 ABARESによると、2012/13年度の農家段階における生産コストは、こうした光熱費などの値上がりによって、2005/06年度から2009/10年度までの5年間平均よりも、畜産・穀物の複合経営で0.09%、肉牛経営で0.09%、酪農経営で0.24%増加すると見込まれる。酪農経営は搾乳機器の利用などで電力使用量が多いことから、他産業よりもコストの増加幅が大きくなっている。
 また、農家販売価格への影響についてもABARESは言及している。これは、加工業者が、炭素税による電力代や輸送費などのコスト増加分を、原料費すなわち農家販売価格に転嫁する場合が想定されるためである。この転嫁の度合いについては各企業の判断によるため不透明であるが、ABARESはその度合いを0、20、60、100%のそれぞれで、農家販売額の減少分を試算している。これによると、2012/13年度においては、肉用牛1頭当たり0.26〜1.23豪ドル(21〜100円)、生乳1リットル当たり0.09〜0.37豪セント(0.07〜0.30円)、小麦は1トン当たり0.19〜0.90豪ドル(15〜73円)値下げされると見込まれる。ここでも酪農経営への影響が最も大きく、生乳加工企業のコスト増がすべて酪農家に転嫁された場合は、1%程度の収入減となる。
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炭素税をめぐっては、農業関係団体は反対の姿勢を崩しておらず、引き続き今後の動向を注視していきたい。


【前田 昌宏 平成24年1月13日発】
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