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ブラジル、鶏肉生産コストが1年間で3割増加

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生産コストは生産者価格を上回って推移

 農牧研究公社(Embrapa)によれば、2012年1月以降、上昇基調にある鶏肉生産コストは、7月に1キログラム当たり2.1レアル(約81円:1レアル=38.6円)と、1年間で32.7%増となった。一方、ブロイラー生産者価格は生体1キログラム当たり1.85レアル(約71円)と前年同月比12.7%増に留まった。また、2011年12月に同2.16レアルとなって以降、2月と6月を除いて、生産コストが生産者価格を上回って推移している。
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 国内のインフレーションを背景に鶏肉生産コストは上昇基調にあるものの、2012年上半期の生産者価格は、国内鶏肉需要の減少によって鶏肉供給量が過剰となったことから、低調となった。ブラジル養鶏連合(UBABEF)によると、現在、多くの鶏肉生産者は、経営コストを抑えるためヒナの導入数を減らし、鶏肉生産量を減少させているという。

 生産コストの主な上昇要因としては、2012年上半期の大豆かす価格の高騰が挙げられる。2011年は安定していたものの、2012年1月の1キログラム当たり0.62レアル(約24円)から、7月には同1.31レアル(約51円)となっており、7カ月間に2倍以上の価格の伸びを示している。
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シカゴ相場の高騰を受け今後もコストは上昇傾向

 現在も上昇が続く大豆かす価格に加え、6月末に米国の干ばつによるシカゴ相場高騰に伴い、ブラジルでは、2012年上半期は下落基調にあったトウモロコシ価格が急騰している。飼料価格への価格高騰の影響が表れてくる今後、鶏肉生産コストへの影響が顕著になるとみられる。

 参考 シカゴ相場高騰を受け、ブラジルの穀物価格も上昇

 UBABEFは政府に対し、今後も懸念される生産コストの上昇に対応するため生産物流通助成金(PEP)によって、中西部で生産されたトウモロコシを鶏肉生産の盛んな南部やサンパウロに移出することや、鶏肉生産量の減少によって、運転資金が不足するパッカーに対して融資を行うといった支援を求めた。

 注:生産物流通助成金(PEP)とは農務省が実施しているブラジル農業プラン(7月〜翌年8月)に定められる保管・流通が不利な生産地から消費地・積み出し地への流通を促進するため、最低保証価格に流通コストを加えた引き渡し価格で購入した企業などに対し、市場価格との差額を助成する制度である。
【岡 千晴 平成24年8月24日発】
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