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FAO:世界の食料価格指数は、前月を2.9ポイント上回る高水準で推移(9月)

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最終更新日:2012年10月11日

 国連食糧農業機関(FAO)が10月4日に発表した9月の食料価格指数(注)は、前月(修正後)を2.9ポイント、1.4%上回る215.8ポイントとなった(図1)。同指数はこの2カ月安定して推移していたものの、牛乳・乳製品や食肉の価格上昇により前月水準を上回った。

牛乳・乳製品、食肉および穀物は上昇、砂糖および油脂は低下

 FAOの発表によると、上り幅が最も大きいのは牛乳・乳製品で、前月から12.1ポイント上昇の187.7ポイントとなった。指数のベースとなる乳製品(バター、脱脂粉乳、全粉乳、チーズ、カゼイン)すべてで価格上昇が見られ、特に上昇率が高かった脱脂粉乳とカゼインは共に12%の上昇となった。乳製品の国際需要が堅調であることに加え、干ばつによる飼料穀物価格の高騰が酪農経営に影響を及ぼしていることが、乳製品価格を押し上げる要因となっている(図3)。

 次いで、食肉は、飼料価格上昇の影響を受け、前月(修正後)から3.7ポイント上昇の175.0ポイントとなった。特に価格の上昇が大きかったのは、穀物依存度が高い養豚および養鶏で、それぞれの価格が豚肉で6%、鶏肉で2%上昇した(図2)。

 穀物は、トウモロコシの低下を小麦および米の上昇が相殺し、前月(修正後)から2.6ポイント上昇の262.6ポイントとなり、2008年の世界的な食料危機の状況に近づきつつある。ここ数か月間、トウモロコシ輸出量の減少懸念とトウモロコシ価格の高騰が穀物市場へ大きな影響を及ぼしてきたが、小麦の需給ひっ迫も懸念事項となってきている。また、主要生産国において天候不順による穀物生産量の減少が見込まれることから価格高騰による需要の低下があったとしても、2013年の穀物の期末在庫は大幅に減少し、4億9900万トンまで低下すると見込まれている。

 一方、砂糖は、前月(修正後)から12.6ポイント低下の283.6ポイントとなった。これは、世界最大の輸出国であるブラジルにおけるサトウキビの収穫ペースが回復し、また、インドなどの主要生産国における生産状況が改善されたことによる。

 油脂は、パーム油の生産量増加などにより、前月から1.3ポイント低下の224.7ポイントとなった。

注1:FAOの食料価格指数(Food Price Index)は、穀物、油脂、牛乳・乳製品、砂糖および食肉の国際価格について、2002〜2004年を100とし、食品全体の平均価格を指数化したものである。
注2:FAOの公表では食料価格指数の変動要因が明らかにされていない場合もあることから、当機構の分析を適宜追加している。
図1
図2
図3
【平成24年10月11日発 前田絵梨】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4398