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FAO:世界の食料価格指数は、3カ月連続で前月水準を下回る(12月)

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最終更新日:2013年1月21日

 国連食糧農業機関(FAO)が1月10日に発表した12月の食料価格指数(注)は、前月(修正後)を2.4ポイント、0.7%下回る209.3ポイントとなった(図1)。2012年通年で見ると、指数の平均は211.6ポイントとなり、前年を16.0ポイント、7.0%下回っている。

穀物および油脂は低下、牛乳・乳製品は上昇

 FAOの発表によると、前月同様、牛乳・乳製品を除くすべての品目が前月から低下した。このうち穀物および油脂の低下が大きく、食料価格指数は3カ月連続で前年水準を下回ることとなった。

 最も下がり幅が大きかったのは穀物で、前月から6.0ポイント低下の249.6ポイントとなった。生産見通しが不確かであり需給がひっ迫していたことから7〜9月は穀物価格が急騰したが、その後、飼料向けおよび工業向け需要の減退により下落した。12月は、トウモロコシは南米産トウモロコシ輸出量拡大により米国産の需給ひっ迫が緩和され、また、コメは豊作が見込まれることから、両価格ともに下落した(図2)。
 次いで油脂は、東南アジアで十分なパーム油生産がある一方、国際需要が弱含んでいることから在庫の積み増しが進み、前月から3.9ポイント低下の196.5ポイントとなった。なお指数は4カ月間連続の低下となっている。
 また、食肉は、ほとんどの畜種が前月と同水準であったものの、豚肉が3ポイント低下したことから、前月(修正後)から1.4ポイント低下の175.6ポイントとなった。飼料穀物価格高騰を受け生産コストが増加しているにもかかわらず食肉価格が上昇していなことから、生産者はより生産性向上に努めなければならない状況がうかがえる。また通年で見ると、2012年は174.7ポイントとなり、史上最高値となった2011年の176.6ポイントに次ぐ高水準となっている。(図3)。
 砂糖は、3期連続で前年度を上回る生産量があったこと、世界最大の生産・輸出国であるブラジルを中心に2012/13年度も前年度に続き十分な輸出余力が見込まれることから、前月(修正後)から0.7ポイント低下し273.8ポイントとなった。
 一方、牛乳・乳製品は、前月から1.8ポイント上昇の196.8ポイントとなり、9月の急激な上昇以降高止まりしている。生乳の供給は、牧草の状態、飼料穀物の需給および価格動向に影響を受け易いことから、今後の生産環境が注目される。

 なお、2012年通年で各指数を見ると、指数の平均は、穀物240.9ポイント(前年比2.4%低下)、油脂225.3ポイント(同10.7%低下)、砂糖305.7ポイント(同17.2%低下)、食肉174.7ポイント(同1.1%低下)、牛乳・乳製品188.6ポイント(同14.5%低下)となり、いずれも前年水準を下回った。

注1:FAOの食料価格指数(Food Price Index)は、穀物、油脂、牛乳・乳製品、砂糖および食肉の国際価格について、2002〜2004年を100とし、食品全体の平均価格を指数化したものである。
注2:FAOの公表では食料価格指数の変動要因が明らかにされていない場合もあることから、当機構の分析を適宜追加している。
図1
図2
図3
【平成25年1月21日発 前田絵梨】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際情報グループ)
Tel:03-3583-4398