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ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2020年 > 野生イノシシのアフリカ豚熱、2州に拡大。豚価は下落後、低迷続く(ドイツ)

野生イノシシのアフリカ豚熱、2州に拡大。豚価は下落後、低迷続く(ドイツ)

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 国際獣疫事務局(OIE)は11月1日、ドイツザクセン州ゲルリッツ郡クラウシュビッツ(Krauschwitz)の野生イノシシ1頭でアフリカ豚熱感染が確認されたと発表した。ドイツでは国内初発となった9月以降、ブランデンブルク州での感染確認(すべて野生イノシシ)が続いていたが、感染地域は2州に拡大した(図1)。なお、感染源については判明していない。 
図1 今回のドイツのアフリカ豚熱発生場所
 ドイツの豚枝肉卸売価格は、9月のアフリカ豚熱初発直後から大きく下落している(図2)。発生以前まで欧州連合(EU)の平均価格を上回って推移していたものの、直近の10月26日の週平均価格は100キログラム当たり131.5ユーロ(1万6306円:1ユーロ=124円)と、EU平均を7.8ユーロ(967円)下回った。EU平均価格もドイツの価格動向の影響を受けて低迷している。最大の要因は、アフリカ豚熱発生に伴う中国などの主要輸出先国による輸入停止措置である。現在、ドイツ産豚肉については、アフリカ豚熱が発生する一部地域で生産されたものを除き、地域主義(注)を認めるEU域内各国などへの輸出は継続しているものの、それ以外の国への輸出は認められていないため、EU最大の豚肉生産かつ輸出国であるドイツ国内養豚農家への影響は大きい。また、一部の国内食肉処理施設では従業員の新型コロナ感染症(COVID-19)感染による操業停止や操業制限が起きていることもあり、現地報道によれば、国内全体でと畜適期に達した肥育豚約57万頭が養豚場に滞留しているほか、欧州各都市で2度目の都市封鎖(ロックダウン)が実施されるなどコロナショックとアフリカ豚熱ショックが相まっている状況にある。現地業界紙は、今回の感染拡大がドイツ養豚産業の混乱をさらに大きくする可能性を指摘している。
 
注:地域主義とは、疾病発生国であっても、清浄性(当該疾病の感染の可能性がないこと)が確認できる地域からの輸入であれば認めるもの。
 
図2 豚枝肉卸売価格の推移(ドイツおよびEU平均)
 11月6日、EUの業界団体である欧州家畜食肉貿易業者連合(UECBV:European Livestock and Meat Trades Union)のカーステン・マイヤー(Karsten Maier)事務局長(ドイツ出身)に直接、現地での状況を聴き取ったところ、現状は極めて厳しいものであるとした上で、まず出来ることとして、養豚場においてバイオセキュリティの重要性についての認識を高める必要があると訴えている。そのうえで、今回の感染拡大により状況は悪化したものの、欧州委員会およびドイツ政府と連携して、養豚農家の経済的な影響を低減するため、輸出制限のかかっている第3国に対して継続的に地域主義の採用促進を働き掛けたいとしている。
 
 なお、11月1日にドイツ連邦食糧・農業省が発表した国内のアフリカ豚熱発生状況によれば、国内確認件数は同日までに123件で、すべてが野生イノシシである。ドイツ政府は、アフリカ豚熱初発生以降、特定地域内の車両通行制限、野生イノシシの狩猟強化(今回の発生確認はこの成果による)などを実施してきたほか、ポーランドとの国境沿いへのフェンス増設や養豚農家への特別措置などの検討を進め、これ以上、感染が拡大しないよう、業界全体でより一層の対応強化を行うとしている。
 
<EUのアフリカ豚熱をめぐるこれまでの状況>
 アフリカ豚熱は、2014年にバルト諸国とポーランドで発生して以降、徐々に感染が拡大し、現時点(11/6時点)ではEU加盟国のうち11カ国が家畜の輸送制限などを伴う制限区域指定されている(ベルギー、ブルガリア、エストニア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア。イタリアのサルジニア島を含まず)(下記図3参照)。
 現地業界紙によると、2020年上半期のEU域内の野生イノシシのアフリカ豚熱発生確認数が、昨年の同時期に比べて約2倍に増加しているほか、大規模養豚農家の感染例もあるなどEU域内の緊張感は高い。欧州委員会は、それらに対応すべく、2014年から2020年までの間、予算を総額約1億7400万ユーロ(215億7600万円)計上するなどして対策を進めているところである。
図3 EUにおけるアフリカ豚熱の発生状況および制限区域(11月6日時点)
 参考:野生イノシシで初のASF発生(ドイツ)【海外情報 令和2年9月11日発】
    https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002771.html
【調査情報部 令和2年11月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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