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EU農業関係団体、Farm to Fork戦略の発表から1年を迎え、不満の共同声明を発表(EU)

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 EU最大の農業生産者団体である欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa-Cogeca(注1))など農業・食品等関係の29団体は5月20日、欧州委員会が「Farm to Fork(農場から食卓まで)戦略」(注2)を公表してから1年を迎えた同日、連名で共同声明を発表した。

 共同声明の中で29団体は、EUの農業・食品業界はFarm to Fork戦略に対して多くの疑問を提起しており、また、この1年間の議論を通じて懸念がさらに強まったとしている。さらに、同戦略がEUの生産者、食料システム、そして消費者まで、農業のバリューチェーン全体に相当な影響を与えることには疑念の余地がないとしつつも、当初期待されていたようなものではないとした。

 一方で、同戦略や2050年までにEU域内の温室効果ガス排出量をゼロにする「欧州グリーンディール」で提案されている取組について、EUの食料システムが高い品質基準と手頃な価格を維持しつつ早急に持続可能性に向けたさらなる取組を行うためには基本的に賛成との立場を示した。しかし、同戦略はEUの農業の環境基準のみならず、生産力、競争力、輸入、最終的には小売価格にも影響を及ぼすなど、同戦略が掲げる目標には多くの矛盾点があり、手遅れとなる前にこれら矛盾点についての議論を避けてはならないと提案している。

  Farm to Fork戦略については、欧州委員会のフランズ・ティーマーマンス副委員長が包括的な影響評価を行うことを約束していた。今回の共同声明では、「われわれの食料安全保障が課題に直面している中で、欧州委員会が影響評価をおろそかにしていることは理解し難く受け入れられない」としている。欧州委員会では、原則として、経済、環境、社会的に大きな影響を与える可能性のある取組には、その後の影響評価が求められ、この影響評価のためには、将来、立法化の判断においてEUの活動が正当であったかどうか、また、政策目標を達成するためにどのような活動を設定するのが最善であるのかを評価するための証拠が収集される。しかしながら、こうした評価が行われないため、懸念の声が上がっている。

 また、同団体は、貿易政策の分野においても、同じ欧州委員会でありながら、EUが締結した60以上の貿易協定については複雑に積み重なった影響に関する包括的な調査の実施を提案しているのに対し、このFarm to Fork戦略については同様に取り扱っていない、との不満を述べている。

 そして最後に、同団体は、(1)イデオロギーや政治的立場を排除し、具体的なデータや科学的証拠に基づき政策を実施すること、(2)同戦略に対して農業・食品業界が熱意を持って取組むことができる明確な手段や技術についての議論を開始すること、(3)EU域内市場における野心のレベルは、EU域外の貿易相手国と同等のものとすること、という3つの常識的な原則の適用も求めている。

(注1):Copa-Cogecaとは、欧州諸国の農業生産者によって構成されるCopa(欧州農業組織委員会)と、EU加盟国の農業共同組合により構成されるCogeca(欧州農業協同組合委員会)により組織された農業生産者団体である。CopaとCogecaは、独立した組織であるものの、両者は共同で事務局を設置し、主にロビー活動を行っている。

<注2:欧州グリーンディールおよびF2F戦略について>
・EUの「Farm to Fork(農場から食卓まで)」戦略について〜2030年に向けて、持続可能性(サステナビリティ)を最優先課題とするEU農業・食品部門〜(「alicセミナー」2020年12月14日)

・持続可能性(サステナビリティ)を最優先課題とするEU農畜産業の展望〜2019年EU農業アウトルック会議から〜(「畜産の情報」2020年3月号)
【小林 智也 令和3年5月31日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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