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2021/22年度の当初乳価は7ドル前後で幕開け(豪州)

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豪州酪農・乳業界は、6月1日までに乳業各社が発表していた2021/22年度(7月〜翌6月)の当初乳価(注)(年度当初に乳業各社などが設定する最低生産者支払乳価<生産者への支払乳価の最低価格>)の更なる引き上げにより、高い乳価水準で新年度となる7月1日を迎えている。
(注)海外情報「乳業各社、2021/22年度の当初乳価を発表(豪州)」(2021年6月11日発)を参照されたい。本稿は、当該稿の続報となる。
2021/22年度の当初乳価については、酪農業界における行動規範(注)(Dairy code of conduct)に基づく公表期限とされた6月1日時点で、全体として昨年度(2020/21年度)より高く設定されていた。しかし、乳業各社と酪農家間の契約が開始される7月1日までの間に、現地報道で「入札合戦(bidding war)」と評された度重なる当初乳価の引き上げが行われた。この背景として、豪州国内の生乳生産量が伸び悩む中で、乳業各社はより高い当初乳価を酪農家に示し、一定の生乳供給量を確保しなければならない状況がある。
主要乳業各社における7月1日時点の当初乳価について、6月1日時点と比較してみると、豪州大手のサプート・デイリー・オーストラリア社(以下「豪州サプート社」という)と豪州フォンテラ社は、乳固形分1キログラム当たり6.95豪ドル(591円:1豪ドル=85円)と同価格に引き上げている。他社に比べて高い当初乳価を提示していたベガ社も、主産地であるビクトリア(VIC)州南部と南オーストラリア州東南部の酪農家に対し同6.94豪ドル(590円)、VIC州北部とニューサウスウェールズ州にまたがるリベリナ南部の酪農家に対し同7.09豪ドル(603円)などにそれぞれ引き上げている。また、中国乳業大手の蒙牛乳業傘下のバラ社も、同6.60〜7.00豪ドル(561〜595円)に引き上げている(表)。
最終的には各社の当初乳価は7豪ドル前後で新年度を迎えることとなったが、豪州フォンテラ社が「現在提示している乳価は予測範囲の最高値」と述べるなど、乳業各社にとっては厳しい水準を示す必要があったとされており、2021/22年度中にさらなる上昇を見込む余地は少ないとみられている。
表 主要各社の主な当初乳価
【阿南 小有里 令和3年7月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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