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2020/21年度輸出額、牛肉などで減少も乳製品は増加(豪州)

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 豪州のRURAL BANK(注)は9月7日、2020/21年度(7月から翌6月)の豪州の農産物輸出額や次年度の見通しについての報告書「Australian Agricultural Trade 2020/21」を公表した。
(注)2000年に設立され、豪州の農村部を中心に400以上の拠点を持つ銀行。

1.2020/21年度の輸出額

 同報告書によると、20/21年度の豪州の農産物輸出額は、穀物が前年度比73.3%増と大きな伸びを記録したものの、多くの農産物で前年度より減少した結果、496億豪ドル(4兆672億円:1豪ドル=82円(注)、前年度比0.8%減)とわずかに減少した(図)。この要因についてRURAL BANKは、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)による需要の減少および一部の主要輸出農産物に対する中国の貿易アクセス制限の影響を挙げている。また、同年度の中国向け農産物輸出額は、引き続き輸出先国別では第1位にあるものの、108億豪ドル(8856億円、同26.2%減)と大幅に減少し、日本や米国といった主要国向けも対前年度割れの状況となった(表1)。この動きに対しRURAL BANKは、同年度の農産物輸出の特徴として、中国の貿易制限の影響緩和などを背景に、サウジアラビアをはじめとした輸出先国の多様化が図られたことを挙げている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の8月末TTS相場。
図 豪州の主な農産物の輸出額
表1 農産物輸出額上位5カ国

牛関連産業

 牛関連産業(牛肉、内臓、皮および生体牛)の輸出額は、輸出量・輸出単価ともに減少したため、2016/17年度以来の減少となる110億豪ドル(9020億円、前年度比23.4%減)となった。牛肉輸出量は、過去10年の平均を13.8%下回る98万6697トンであったが、この要因としてRURAL BANKは、天候に恵まれ牛群再構築が図られたことで、豪州産牛肉の生産量が減少したことを挙げている。

 輸出先別に見ると、日本向けが中国向けを抜いて第1位となったが、輸出額は22億100万豪ドル(1805億円、同19.5%減)と大きく減少しており、これは、日本におけるCOVID−19による外食産業の需要減と米国からの輸入増加によるとされている(表2)。また、中国向けは、輸出額が20億7400万豪ドル、(1701億円、同40.3%減)と上位輸出先の中で減少幅が最大となった。その要因としてRURAL BANKは、中国政府が豪州の一部食肉処理施設からの輸入を停止した(注1)ことや、米中貿易協定第1段階合意を受けて米国からの輸入が増加した(注2)ことを挙げている。

(注1)詳細は海外情報「中国が豪州の4つの牛肉処理場からの牛肉輸入停止を通告」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002706.html)を参照されたい。なお、2020年5月に輸入停止となった4カ所に加え、8月および12月にクイーンズランド州の食肉処理場からの輸入が停止されたことから、現在では6カ所としている。
(注2)詳細は海外情報「米中経済貿易協定の第1段階の合意と農業団体の声明(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002600.html)を参照されたい。
表2 牛関連産業輸出先上位5カ国

乳製品

 ほとんどの農産物が前年度から輸出額を減少させる中、乳製品の輸出額は27億豪ドル(2214億円、前年度比7.3%)と4年連続して増加した。この要因についてRURAL BANKは、豪州の乳製品供給量の増加と、中国の脱脂粉乳をはじめとする需要の増加によるものとしている。
 輸出先国別に見ると、第1位は中国向け(9億3800万豪ドル、769億円、同43.9%増)となり、乳製品輸出額に占める中国向けの割合は、昨年度の25.8%から34.6%とかなりの程度上昇している(表3)。
 第2位となった日本向けは、3億4400万豪ドル(282億円、同29.2%減)と大幅に減少した。この要因としてRURAL BANKは、チーズ輸出額の大幅な減少を挙げており、チーズ消費をけん引してきた日本の外食産業がCOVID−19の影響を受けたためと分析している。一方で、日本ではチーズ需要を国産品のみでは賄いきれないことから、COVID−19からの回復に合わせて日本向けのチーズ輸出需要は回復すると予測している。
表3 乳製品輸出先上位5カ国

2.21/22年度の見通し

 21/22年度についてRURAL BANKは、天候に恵まれることが見込まれ、多くの農産物の生産見通しが良好であることや、主要な輸出市場がCOVID−19からの回復に合わせて需要が改善すると見込まれることから、農産物輸出額が過去最高額を更新する可能性があると予測している。
 中国への輸出については、アクセス制限の継続が懸念されるものの、アルゼンチン政府の牛肉輸出制限(注)などに伴い、豪州産牛肉の輸出量が増加する可能性も示唆している。また、乳製品など中国にとって代替市場が限られる品目についても、引き続き中国からの引き合いは強いとみている。
その上で、中国への貿易アクセス制限の継続可能性を踏まえると、輸出市場の多様化や、英国やEU、インドとのFTAの進展が、豪州の農産物輸出を躍進させる重要なテーマであるとしている。

(注)海外情報「アルゼンチン、条件付きで牛肉輸出再開を決定」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002990.html)を参照されたい。
【阿南 小有里 令和3年9月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530



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