畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2022年 > 豚価格の低迷で、3月に続き国家買入を実施(中国)

豚価格の低迷で、3月に続き国家買入を実施(中国)

印刷ページ
 中国国家発展改革委員会(以下「発改委」という)など関係機関は2022年4月、3月に引き続き「政府の豚肉備蓄調整メカニズムを改善し、豚肉市場の供給と価格の安定を図る準備計画(以下「準備計画」という)」(注1)に基づく国家備蓄による豚肉の買入れを実施した。
 
 発改委によると、養豚生産者の経営状況の指標の一つである豚/穀物比(注2)は22年の2月下旬以降、第1級警報水準となる4:1台で推移していたため、本年3月には、国家備蓄による豚肉の買入れ(計3回:7万8000トン)を実施した(注3)。しかし、3月30日時点の豚/穀物比は4.59:1と前週比1.3%回復したものの、依然として第1級警報水準であることから(図)、以前からの予告どおり、以下のとおり再度の豚肉の買入れ(計3回:8万トン)を実施した。
  • 4月2日(1万1800トン)、3日(2万8200トン)、14日(4万トン)
 発改委では、今後も生体豚価格の低迷が続けば、さらなる買入れを実施し、適正な価格帯に戻るように取り組むとしている。
 現地報道によると、3月下旬の肥育農家の損失額は1頭当たり287.03元(5614円:1元=19.56円(注4))、繁殖肥育一貫農家は同549.21元(1万743円)となり、損失の幅は拡大しているとされている。
このような中、発改委は養豚農家に対し、飼育サイクルを適正に維持し、合理的な判断に基づいた飼養管理、養豚経営を行い、過度な生産能力の削減を行わないようコメントしている。
図 豚?穀物比の推移
(注1)「完善政府猪肉儲備調節机制 做好猪肉市場保供穏价工作預案」2021年第770号公告)を指す。なお、詳細は海外情報「豚肉価格下落を受けて国家備蓄のための豚肉の買入・保管を開始(中国)」を参照されたい。
(注2)政府による養豚生産者の収益性の指標値。算出方法は、1キログラム当たり生体豚出荷価格/1キログラム当たりトウモロコシ卸売価格。損益分岐点は7:1とされている。
  • 第1級警報基準比  : 5:1未満
  • 第2級警報基準比  : 第3級の状態が三週間以上継続
  • 第3級警報基準比  : 5:1以上6:1未満
  • 基準比(損益分岐点): 7:1
(注3)海外情報「豚肉価格の低迷で、備蓄に向けた国家買入を再度実施(中国)」を参照されたい。
(注4)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年3月末TTS相場。
【海老沼 一出 令和4年4月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4389