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豪州、インドネシアとの農業分野における協力関係を強化(豪州)

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 豪州連邦政府のコリンズ農林水産大臣は2025年8月2日、政府のプレスリリースを通じて、インドネシア・ジャカルタを訪問し、両国の農業分野における協力関係強化に向けた複数の協定締結を行ったことを発表した。インドネシア向けの小麦輸出に関する新たなプロトコルの策定や、バイオセキュリティ分野における協調的対応の強化に関する覚書の締結など、いずれも輸出機会の拡大およびバイオセキュリティの強化を目的としている(表)。
表
 豪州とインドネシアは地理的に近く、安全保障や防衛を含め、伝統的に緊密な関係を維持してきた。25年5月、豪州総選挙で再選(注1)を果たしたアルバニージー首相は、最初の外遊先としてインドネシアを訪問し、今回の協定締結に向けた会談などを行っている。同氏は取材に対して、豪州にとってインドネシアとの関係ほど重要なものはないと語るなど、近年、両国の関係性は一層強固なものとなっている。
 また、19年に締結された包括的経済連携協定(IA−CEPA)により、20年から99%以上の品目で関税撤廃もしくは優遇措置が適用されており、資源・エネルギーや食料の輸出先としてその地位が高まっている。22/23年度(7月〜翌6月)には、小麦や牛肉などインドネシア向けとしては過去最大となる農林水産物輸出額49億4544万豪ドル(4857億4102万円:1豪ドル=98.22円(注2))を記録した(図)。

(注1)海外情報「豪州総選挙は与党・労働党が大勝、気候変動対策の推進に追い風(豪州)」をご参照ください。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年7月末TTS相場。
図

高まるインドネシアの戦略的価値

 2024年10月に就任したインドネシアのスビアント大統領は、地方の乳幼児や妊産婦の栄養不良が社会課題の一つであるとして、25年1月から学校給食の無償提供プログラムを実施している。29年までに8290万人に無料で栄養価の高い食事を提供するという野心的な目標を掲げる同プログラムは、豪州の農業界から注目を集めている。
 豪州の農業政策に関する非営利の研究機関である豪州農業研究所(AFI)は、インドネシアが同プログラムの目標を達成するためには、国内生産の拡大と生産が拡大するまでのギャップを埋めるための戦略的な輸入が不可欠であると結論付けている。その上で、豪州はインドネシアの信頼できる貿易パートナーとして、その役割を果たすことができると強調しており、業界の輸出拡大に対する期待も大きい。今後、両国間の協力関係がどのように進展していくのか引き続き注目される。
【調査情報部 令和7年8月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3585-4389