米国は2025年4月以降、国家緊急事態の宣言に基づき、輸入品に対して世界各国のさまざまな品目に相互関税および追加関税を導入してきた
(注1)。一方で、このような関税は米国における商品価格の高騰や、製造業などにおけるコスト増にもつながることから、米国では自給・生産できない品目を別途指定し、相互関税が課せられる範囲から除外してきた。これまでは天然鉱物や医薬品原料などが指定されていたが、今般、25年11月13日米国東部時刻午前0時1分以降に消費目的で輸入される特定の農産物などが、世界各国・地域に対して課されている相互関税の対象から除外されることとなった。主な農畜産物をHSコード別に分類すると、下記の通りとなる。下記以外には、肥料や木材なども対象外となった
(注2)。
- 2類:牛肉(冷蔵および冷凍)、牛の舌・内臓(冷蔵および冷凍)
- 7類:生鮮トマト、一部のイモ類(さといもなど)、たけのこ、乾燥しいたけ
- 8類:オレンジ、ライム
- 9類:茶・コーヒー、香辛料
- 16類:牛肉加工品
- 20類:調製たけのこ、一部の味噌・豆製品・ナッツや果実・植物の調整品、オレンジ果汁
- 21類:茶・コーヒー抽出物
- 22類:清涼飲料水のオレンジジュース
(注1)詳細は海外情報「米国の追加関税措置について、日米合意を踏まえた大統領令を発令(米国)(令和7年9月19日発)」をご参照下さい。
(注2)HSコードと対象品目については、米国ホワイトハウスのファクトシートおよび農林水産省公表資料などをご参照ください。また、商品ごとの実際のHSコードは商品の形態などに応じて米国の税関で判断されますので、輸出を行う際には事前に米国の税関当局にご確認ください。
本大統領令は、当初世界各国・地域に対して講じられた相互関税のみを除外する措置であり、例えば豪州は10%、NZは15%、アルゼンチンは10%がそれぞれ除外される。
一方、ブラジルについては相互関税10%に加え、追加関税として40%が課され、合計50%の関税率が適用されていたところ、25年11月20日の米大統領令により、牛肉を含む特定の農産物などに対して追加関税の対象外とする措置がとられた。対象品目はほぼ上述の品目と同様であり、2類の牛肉、牛の舌・内臓および16類の牛肉加工品については、対象となるHSコードは全て一致している。なお、同年8月のブラジルからの米国への牛肉輸入量は、枝肉重量ベースで2万599トンとなっており、前年同月比37.7%減と大幅に減少していた。