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中国の新たなセーフガード措置に対する豪州の反応(豪州)

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 豪州農林水産省(DAFF)によると、2025年1月から11月の牛肉輸出量(139万8227トン)は豪州産牛肉に対する需要の高まりから過去最大となり、これを輸出先別に見ると、中国は24万3059トン(前年同期比43.5%増)と、日本を上回り、米国に次ぐ輸出先となっている(図)。
図

中国が新たなセーフガード措置の実施を発表

 このような中で中国商務部は2025年12月31日、牛肉輸入量の増加が国内産業に損害を与えているとの判断に基づき、セーフガード措置の実施を26年1月1日から適用すると発表した。発展途上国など小規模輸入先国以外のすべての国を対象に、26年において内臓以外の牛肉の総輸入割当量である約270万トンを各国に割当て、それを超えたものには55%の割当超過関税が適用される(表)。これは、24年12月27日に発表された輸入牛肉に対するセーフガード措置実施の調査(注1)の結果に基づいたものであり、適用期間は26年1月1日から28年12月31日までの3年間とされている。

(注1)海外情報「中国商務部、輸入牛肉に対するセーフガード措置実施の調査を開始(中国)」をご参照下さい。
表
 豪州産牛肉については、15年12月に発効した中国・豪州自由貿易協定(ChAFTA)(注2)により定められている豪州産牛肉に対する特別セーフガード(SSG)措置は、新たなセーフガード措置実施期間中は一時停止するとされており、新たなセーフガード措置による豪州産牛肉の割当数量20万5000トン(注3)を超過すると、従来のSSGが発動した場合の関税率(注2)を上回る55%の関税が適用される。なお、同割当数量内の豪州産牛肉に対してはChAFTAに基づき関税率0%が維持される。
 豪州の現地報道によると、25年は7月末の時点でChAFTAにより定められているSSG発動基準数量の20万8307トンを超える輸出を行っていたことから、26年は7〜8月頃に今回のセーフガード措置による割当を超過し、新たな関税が適用されると予想されている。
 豪州フィードロット協会(ALFA)によると、輸送中の製品に関する取り決めはまだ確定していないが、26年1月1日以降に中国で通関されるすべての輸入品が割当数量に算入されると予想している。また、割当数量を超えると大幅に関税が上昇することから、割当数量を超えた輸出は極めて困難となるため、新たな割当が始まる27年1月までは、中国向け牛肉輸出がほぼ不可能になるという見解を示した。
 
(注2)海外情報「豪州牛肉に特別セーフガード発動(中国)」および「中国、豪州産牛肉に対し特別セーフガードを発動(豪州)」をご参照下さい。
(注3)今回のセーフガード措置による豪州に対する割当数量は2026年が20万5000トン、27年が20万9000トン、28年が21万3000トンとなる。

豪州政府の反応

 豪州連邦政府のアルバニージー首相は、今回の中国の決定は豪州を特別に標的としたものではなく、広範な措置であると示唆した。発表の影響に関する具体的な質問には言及しなかったが、「豪州産牛肉は世界市場で十分な競争力を持ち、製品は世界中で高い需要がある。この状況は今後も続くと確信している」と述べた。
 リトルプラウド議員(野党第二党の国民党党首)は、中国の豪州産牛肉輸入制限の決定は畜産業界にとって極めて失望すべきものだと述べている。

豪州食肉業界の反応

 豪州食肉産業協議会(AMIC)最高経営責任者のライアン氏は、豪州に課された新たな制限的な貿易協定は、公平でも適切でもなく、豪州と中国が長年築いてきた相互利益の貿易関係を反映していないと述べた。また、「この決定は、近年中国市場への牛肉輸出量を急増させた他国に報いるもののように思われる」とし、「豪州産牛肉は高品質で安全かつ持続可能な生産であり、2024年の中国の牛肉輸入量のわずか8%とどまり、中国に輸入される牛肉の約80%は南米由来である」と述べた。さらに、今回の新たな制限により、過去12カ月間と比べて中国向け豪州産牛肉輸出量の約3分の1を減少させる可能性があり、その貿易額は10億豪ドル(1068億円:1豪ドル=106.82円(注4))を超えると示唆している。
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)最高経営責任者のクロウリー氏は、「豪州は調査プロセスを通じて一貫して中国と対話を続け、あらゆる機会において、我々の輸出が中国国内の牛肉産業に与えたとされる損害の原因ではないことを明確に伝えてきた」とし、「今後も豪州にとって中国は重要な市場であり続けるが、今回の関税措置は中国国内の顧客に大きな影響を与えることから、現地の顧客や輸入業者と緊密に連携する」とコメントしている。
 
(注4) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年12月末TTS相場。
【田中 美宇 令和8年1月6日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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