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中国農業農村部、25年の成果と26年に向けた取り組みを公表(中国)

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1 2025年の農業・農村の取り組み成果

 2025年が第14次5カ年計画期間(2021〜25年)の最後の年と前置きし、25年の中央1号文件(注2)で示している「三農」を取り組みの土台とした5点の成果について、以下の通り報告した。

(1)食糧の豊作と安定供給
 食糧(注3)生産は過去最高を更新し、7億トンを突破した。25年の大豆生産量は2091万トンとなり、4年連続で2000万トンを上回っている。さらに、同年の豚、牛、羊、家きんの合計生産量は1億72万トンと、前年比で4.2%増加した。干ばつや洪水などの気象災害の発生が相次いだにもかかわらず、安定した供給を達成できた。

(2)貧困の脱却と再発防止
 全国約700万戸の農家を対象にモニタリングを行い、貧困の再発リスクを抑制できた。また、脱貧困者のうち、3200万人が産業・雇用支援により就業を達成した。

(3)科学技術による農業近代化の進展
 区画整備された農地の拡大、機械化率の向上、スマート農業や農業用ドローンの活用が進展した。さらに、野菜および家畜・家きん、水産資源の自国産種苗の割合は、それぞれ91%、80%、86%を超えるなど、種苗産業の国産比率が向上した(注4)

(4)住みよい農村づくり
 農村インフラや教育・医療・年金の公共サービスが向上した。農村の観光振興や電子商取引なども成長を続け、農家は地元の雇用を通じて収入を増やすことに成功した。国家統計局のデータによると、農村住民の1人当たり可処分所得は2万4456元(54万8059円、1元=22.41円(注5))に達し、前年比で6.0%の増加となった。

(5)農地・農村改革の深化
 第2期土地請負契約が満了となり、7つの省で農地請負契約を30年に再更新したこと、また、2500万戸以上の農家で、土地の利用権が延長されたことで、農業経営の安定が保たれた。さらには、農村の土地利用や集団資産に関する制度改革を推し進めた。
 
 (注1)中国は5カ年毎に計画を策定しており、2026年から31年までが第15次5カ年計画期間となる。
 (注2)中国政府が毎年公表する文書であり、旧暦の元旦(春節。25年は1月29日)が過ぎてから公表される。その年に最も重視する政治課題が取り上げられるとされ、2004年からは毎年「三農」(農業、農村、農民)が主題とされてきた。詳しくは、海外情報「中国が今年の一号文件を発表、初めて肉牛に言及、養豚は安定化へ」(令和7年3月7日発)をご参照ください。
 (注3)主要穀物であるコメ、小麦、トウモロコシに加え、大豆などの豆類やイモ類を含んだもの。
 (注4)中国語の「種苗」には植物の苗のほか、家畜・家きんの種豚、種牛なども含まれる。詳細は、海外情報「中国農業農村部、優良な新品種の普及に向けて取り組みを振り返り」(令和7年12月9日発)をご参照ください。
 (注5)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2025年1月末日TTS相場を使用した。)

2 2026年の重点課題

 2026年は第15次5カ年計画の初年と前置きし、引き続き「三農」を取り組みの土台としながら、前述の5点を主軸とした目標について、以下の通り報告した。
 
(1)重要農産物の安定生産と供給確保に焦点を当て、農業の総合生産能力と品質・効率の向上とグリーン(注6)で高品質な農作物の安定・安全な供給を行う。

(2)貧困脱却の取り組みを引き続き強化・拡大し、再び貧困に戻るのを防ぐためのメカニズムの確立を調整する。

(3)種苗業、農機、スマート農業における科学技術の自立自強の達成に注力し、イノベーションと成果の応用を加速させることで、各地域で農業新質生産力(注7)を発展させる。

(4)農村部における地域の特産品や農産物加工の強化によって、農民の収入が安定的に増加することを促進し、農村産業を積極的に発展させて人々を豊かにすることに注力する。

(5)農村部の生活環境を近代化し、住みやすく、働きやすい美しい農村の建設を推進し、農村居住環境の整備・改善の深化を図る。

(6)第2期土地請負契約の更新を省レベルで全国的に推進する。土地制度・宅基地管理などの制度を整え、農村人材の育成を強化し、農村発展に活力を醸成する。

 (注6)中国では「グリーン:緑色」という言葉は「環境に配慮する」という意味が含まれる。
 (注7)生物育種技術、ドローン技術、AI技術、デジタル技術などを含む。詳しくは、海外情報「中国が今年の一号文件を発表、初めて肉牛に言及、養豚は安定化へ」(令和7年3月7日発)をご参照ください。

3 2026年の肉用牛・乳用牛産業への支援政策

 農業農村部は関係部門と連携し、肉用牛・乳用牛産業向けの各種救済政策を継続的に実施するとして、具体的に以下の3点を挙げている。

(1)優良な繁殖雌牛の増頭・能力の向上や飼料作物転換に向けたプロジェクトなどを実施。
(2)関連銀行・保険機関と連携したマッチングイベントの開催や、地方政府が融資利子補助・保険などの政策実施を指導。
(3)滅菌乳(常温保存牛乳)の国家基準(注8)を適切に実施するとともに、学生向け飲用乳の普及強化、乳製品の深度加工の促進、乳製品消費拡大の推進。

 このように、基礎生産能力の安定化と金融政策支援の強化に加え、サプライチェーン全体の一体化や品質向上・効率化を推進し、牛肉と乳製品の消費拡大(注9)を誘導するとした。

 (注8)2025年3月には国家基準「全国食品安全基準のうち牛乳(滅菌乳)」が改正され、同年9月からは滅菌乳(常温保存牛乳)の原料として生乳のみが認められ、全粉乳などの使用は認められないこととなった。詳しくは海外情報「主産地の酪農家組合、経営の苦境を国内の同業者に呼びかけ」 (令和7年9月4日発)をご参照ください。
 (注9)消費拡大の取り組みについて、業界関係者が集う乳業大会の概要を示した海外情報「北京で「チーズおよびバター産業の刷新・発展フォーラム」が開催、 業界関係者が講演」(令和8年1月14日発)をご参照ください。

 

4 2025年の食糧生産の増加要因と26年の取り組み

 食糧生産が多方面から注目されている話題であると前置きした後、2025年の食糧生産が増加した要因と26年の取り組みについて、以下の通り報告した。

 (1)同年の食糧生産の増加は、トウモロコシの生産増がけん引しており、トウモロコシの増産量は632万トンと、食糧生産増加量全体の75%を占めた。増加の要因について、中央政府の要求に基づき地方政府が主導となり、地域別栽培技術モデルを構築した効果が表れたためとしている。さらに、25年は全国における水と肥料一体化型施設(注10)の適用面積が8800万ムー(約586万ヘクタール)を超えるなど、作付面積が堅調に推移する中、単収が大きく増加したことが寄与したとしている。

 (2)26年に向けた取り組みについては、ア)作付面積の安定化、イ)単収の向上、ウ)市場ニーズと地域に応じた生産構造の最適化、エ)農民の生産意欲の喚起、オ)農業水利の整備による災害軽減−を挙げている。これにより、食糧生産の向上は手を緩めることなく実施していくとしている。

 (注10)配管システムを通じて水と肥料を作物に供給し、灌漑と施肥の自動化・精密化を実現させている。
【山ア 葵 令和8年2月5日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
Tel:03-3583-9532