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中国、EU産クリームおよびチーズに相殺関税賦課を正式決定(EU、中国) 〜税率は最大11.7%、暫定時からは大幅引き下げ〜

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 中国商務部は2026年2月12日、補助金を受けて生産・輸出されたEU産乳製品により、同国内の乳製品企業に損害が生じているとして、EU産クリームおよびチーズ(注1)に対する反補助金関税(相殺関税)の賦課を正式決定したと公表した。同国は、24年8月から反補助金調査を実施しており、25年12月からは、企業ごとに21.9%〜42.7%の暫定的な相殺関税を課していた(注2)
 今回正式決定された相殺関税率は7.4%〜11.7%で、暫定措置時から大幅に引き下げられた。暫定時との差分は返還される。関税率を企業ごとに見ると、サンプリング対象企業となったステリルガルダ社(イタリア)1社のみが7.4%で、他のサンプリング対象企業14社は11.2%〜11.7%となった。その他の調査に協力した企業50社は9.5%、それ以外の企業は一律11.7%とされた(注3)。関税の賦課期間は26年2月13日から5年間である。
 
(注1)相殺関税の対象となる製品は、「ミルクおよびクリーム(濃縮や乾燥せず、砂糖等を加えていないもので、脂肪分含有率が10%を超えるもの、HSコード040150)」と「チーズおよびカード(HSコード040610〜90)」。
(注2)詳細は、海外情報「EU産乳製品に対し中国が反補助金関税を暫定的に開始(EU、中国)」をご覧ください。
(注3)企業ごとの関税率の詳細は、中国商務部公表文書の別添2をご参照ください。

当該製品の輸出入の状況

 EUの輸出状況を見ると、脂肪分10%以上のミルクおよびクリーム(HSコード040150)は、中国が最大の輸出先であり、2025年の全輸出量23万2000トンのうち、同国向けは7万3000トンと全体の32%を占めた。チーズおよびカード(HSコード0406)については、同年の輸出量142万3000トンのうち、同国向けは3万トンで、全体に占めるシェアは2%であった。(表1)
表1
 中国の輸入状況を見ると、脂肪分10%以上のミルクおよびクリームについては、25年の輸入量26万4000トンのうちEU産は7万6000トンと第2位の輸入先であったが、第1位のニュージーランド(NZ)産は、17万6000トンと全体の約3分の2を占めた。チーズおよびカードについては、同年の輸入量19万7000トンのうち、NZ産と豪州産が約8割を占め、EU産は2万8000トンと第3位の輸入先であった(表2)。NZと豪州は、中国との自由貿易協定(FTA)を締結し、乳製品の関税が撤廃されていることから、中国の乳製品の主要な輸入先国となっている。
表2

EU側の反応、中国向け輸出減を見込む

 現地報道によれば、欧州委員会は今回の中国の相殺関税について、不当かつ根拠がないと指摘し、世界貿易機関(WTO)への提訴などの措置を検討するとしている。
 欧州乳業協会(EDA)は、2月12日公表のプレスリリースで、競合国のNZや豪州がFTAにより関税が撤廃されている一方、EUは今回の相殺関税が既存の関税(クリーム約8%、チーズ約15%)に上乗せされるため、EU産対象製品の中国向け輸出は今後大幅に抑制されると見込んでいる。
【調査情報部 令和8年2月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
Tel:03-3583-9532