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中国、26年の中央一号文件を公表(中国)

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 中国政府は2026年2月3日、中国共産党中央委員会と国務院の連名で「農業農村の現代化に目標を定め、農村の全面的な振興を着実に推進することに関する意見」と題する今年の中央一号文件(注1)(以下「26年一号文件」という)を発表した。2月6日(注2)には中国農業農村部が一号文件の重点事項を着実に実施するとして「農村改革をさらに一歩深化させ、農村の全面的な振興を着実に推進することに関する意見の実施意見」(以下「実施意見」という)を発表した。
 以下に、26年一号文件と実施意見の主な内容を紹介する。

 (注1)中国政府が毎年公表する文書のことであり、その年に最も重視する政治課題が取り上げられるとされ、2004年からは毎年「三農」(農業、農村、農民)が主題とされてきた。旧暦の元旦(春節。26年は2月17日)が過ぎてから公表されることが多いが、今年は春節前の公表となった。
 (注2)一号文件、実施意見ともに、例年、策定期日と公表日との間に2、3週間のずれがある。これは、両文書をまず中央及び地方の人民政府、中国共産党などの関係期間に通知した後、一般国民に公表するためと考えられる。

 

1 26年一号文件の基本的枠組み

 表題の「目標を定め」は従来、農業関係政府文書で用いられることが少なく、着実に成果を出すとの意思が感じられる。2026年は第15次5カ年計画(注3)の初年度であり、一号文件は「これからの5カ年は全面的に発展するための鍵となる時期であり、農業農村領域で突出している弱点の補完を加速し、農業強国の建設を加速する」必要があるとした。その上で、今後の取り組み方針として、1)農業の総合的な生産能力、品質および効率性の向上、2)農村生活支援の常態化(注4)、3)農民の収入向上の積極的な促進、4)その土地に合った国土の利用と美しい農村の建設、5)農地利用などの制度・枠組みの刷新、6)中国共産党による農村振興の牽引−を掲げた。
 これを受け、実施意見は、1)重要農産物の安定供給、2)農村生活支援の常態化と脱貧困の状態の堅持、3)技術を基盤とした農業生産力の刷新、4)インフラ整備による美しい村の建設、5)農地請負制、集団経済などの一層の改革−を推進するとした。

 (注3)中国は5カ年毎に計画を策定しており、2026年から31年までが第15次5カ年計画期間となる。第14次5カ年計画期間である25年一号文件に対する成果については、海外情報「中国農業農村部、25年の成果と26年に向けた取り組みを公表(中国)」(令和8年2月5日発)をご参照ください。
 
 (注4)原文の直訳は「精確な生活支援を常態化する」で、26年一号文件で初めて打ち出された政策スローガン。中国共産党は貧困対策を党是としており、第13次5カ年計画期間の最終年には貧困県が消滅、第14次5カ年計画期間は貧困に再び陥る地域がないよう政府を挙げて、浄化槽や安全な飲用水の確保といった基礎インフラの整備、農業保険の普及や就労支援などによる農村生活水準の向上に力を入れてきた。今期第15次5カ年計画期間ではその成果を着実なものとし、常態化するとした。

2 食糧、肉牛や乳牛の安定供給への取り組み

 26年一号文件と実施意見のうち農作物の種類ごとの主な政策方向は以下のとおり。

食糧の増産と生産性の向上

 26年一号文件は食糧(注5)総生産量7億トンを堅持するとし、そのために実施意見は「食糧、大豆を含む油糧作物」について、生産目標を各省ごとに定め、各省共産党員幹部の業績評価においても食糧安全の確保責任を強化するとした。また、単収向上プロジェクトについて、農業機械の一層の普及や技術の体系化など、「良い農地・良い品種・良い農業機械・良い栽培技術」をスローガンに従来から進めてきた取り組みについて、プロジェクト実施地域の特性に応じた生産構造と産地配置を進めていくことで生産効率を一層高めるとした。
 また、大豆は油糧原料として利用するため農作物の中でも輸入量が突出して多く、以前から特に国産大豆の生産量向上が目指されている。26年一号文件は「大豆の生産能力を強化・向上させ、生産と販売の連携を強化する」とし、初めて販売(消費)を見据えた生産について言及し、「大豆の油糧生産能力向上プロジェクトを深化させるとともに、アブラナ、らっかせいなどの生産面積を拡大し、油糧の多元的な供給を進める」とした。実施意見は大豆について、生産者補助金制度の継続のほか、生産コスト保険と収入保険の確実な実施を掲げた。
 
 (注5)主要穀物であるコメ、小麦、トウモロコシに加え、大豆などの豆類やいも類を含んだもの。

養豚は「需給バランスの適正化」へ

 豚は、肉の生産量が家畜の中で最も多く、主要な食料を安価で安定的に供給するとの政府の基本方針に関わる食料である。それにも関わらず2018年のアフリカ豚熱のまん延によって大きく飼育頭数が減少したことから、19年以降、毎年一号文件で取り上げられてきた。生産能力の急速な拡大に伴う豚肉価格の低下を受け、21年からは「豚生産能力管理調整方策」による生産能力の調整が始まり、25年の一号文件では「豚の生産能力の監視と調整を適切に行い、安定的な発展を促進する」とされた。26年一号文件はさらに「豚の生産能力の調整を強化する」とし、実施意見は、大手養豚企業に対して年間生産計画の作成義務を課すことなどを明確にした。

肉牛および乳牛産業は「困難からの回復を確実に」

 肉牛および乳牛について初めて特出ししたのは25年の一号文件で、「困難を緩和する政策を着実に実施し、生産能力の安定を図る」とされた。これは、豚肉同様、牛肉も生乳も価格低迷が顕著となり、飼養農家の生活が苦しくなったことを受けたものである。26年一号文件は、「困難からの回復の成果を確実にし、需給バランスと健全な発展を促進する」とした。実施意見は、優良な繁殖雌牛の増頭・能力の向上や、学生向け飲用乳の普及強化、乳製品の深度加工の促進、乳製品消費拡大の推進などの政策(注6)を推進することを明記した。
 
 (注6)詳細は、海外情報「中国農業農村部、25年の成果と26年に向けた取り組みを公表(中国)」(令和8年2月5日発)をご参照ください。
【調査情報部 令和8年2月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
Tel:03-3583-9532