日本産牛肉輸出に向けた取り組みとしてシェフなどへの教育活動が重要(米国)
日本産牛肉の消費需要拡大のため、輸出は重要な要素の1つである。日本の財務省の貿易統計によれば、2025年中の日本からの牛肉輸出先国として米国は、輸出量で2位、輸出金額では1位となっている。日本産牛肉のような単価が高い食品の販路拡大においては、一般的な営業活動に加え、レストランのシェフや精肉店のブッチャーなどへの教育活動も重要な取組となっている。
1.米国向けの日本産牛肉の輸出状況
米国をはじめ世界各国・地域向けの日本産農林水産物・食品の輸出促進については、農林水産省や日本畜産物輸出促進協会(J−LEC)などの関係機関が一体となってプロモーション活動などに取り組んでいるところである。米国向け輸出の重点品目の1つに位置づけられている日本産牛肉に関して、2025年の米国による輸入数量は前年比35.0%増の2026.2トンと大幅に増加し、過去最多となっている(図1)。なお、輸入金額についても前年比32.4%増の9953万米ドル(156億730万円:1米ドル=156.81円(注1))と大幅に増加している。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年2月末TTS相場。
牛肉をはじめとする日本産農林水産物・食品の多くは主にロサンゼルスやサンフランシスコ、ニューヨークなどの大都市圏での流通・販売が中心であったが、更なる販路拡大を図るためには、地方都市を含めた全米での活用を促すための商品の取り扱い方や新たなメニュー開発を実需者に学んでもらうための教育的な取組が引き続き重要である。
このような取組は他の国・地域においても同様であり、米国産の牛肉や豚肉のプロモーションは米国食肉輸出連合会(USMEF)が、牛肉や豚肉のチェックオフ資金などを活用し世界各国・地域を対象に実施している。そのような活動は、米国産の食肉輸出が盛んではないアフリカや南米地域のような新興市場でも実施され、新たに開発されたメニューの紹介や現地の実需者との交流を交えることなどにより商流拡大につながっている
(注2)。
(注2)詳細は海外情報「米国食肉輸出連合会、アフリカおよび南米地域でのプロモーションを強化(米国)」をご参照ください。
2.米国のCulinary Institute of America(CIA)における日本産牛肉特別講座
日本においても農林水産物・食品の輸出拡大について政府一体で取り組むこととなっており、2026年1月30日、米国のCulinary Institute of America(CIA)の本校(注3)において、日本産牛肉に関する特別講義が実施された。CIAには日本料理専門コースが存在し、将来シェフやレストランオーナーとなるような人たちが受講している(写真1)。
(注3)CIAは、米国においてニューヨーク州に本校を持つ1946年に設立された世界的にも高い評価を受けている料理の専門教育機関である。米国の伝統的な食習慣のみならず、アジア、ヨーロッパ、中近東などの分野の料理コースを受講できる。本講義については、畜産物の輸出促進を担う日本畜産物輸出促進協会(J−LEC)の事業として実施されたもの。
講義では日本産和牛全般に係る情報として、日本と米国での肉用牛の肥育期間や枝肉の格付けシステムの差、脂肪分に含まれるオレイン酸や加熱の際に生じるラクトンなどの成分に関する情報などが説明された。また、米国における牛肉輸入時の関税の仕組みや、レストラン等に実際に納品される際の箱の形態や一般的な商品パッケージなどが説明された。さらに、サーロインおよびリブロース、そして、ロイン系以外の部位としてかたロースの手触りなど質感に関する情報も含めて紹介された(写真2)。
米国国内における、主な日本産牛肉の流通エリアはニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコのような大都市におけるアジア系飲食店等が中心であったが、徐々にその他の地方都市やアジア系以外のレストランや精肉店等へも広がってきている。今後、このような教育的な活動についても米国内の各地のみならず、日本食という枠を超えて広がっていくことが期待される。
【調査情報部 令和8年3月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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