国際情報コーナー 農畜産物全般、畜産、野菜、砂糖、でん粉の海外情報、輸出促進対策などの記事、統計

ホーム > 国際情報コーナー > 海外情報 > 海外情報(野菜) > 野菜生産者の4分の1が作付け計画の縮小または中止を決断(豪州)

野菜生産者の4分の1が作付け計画の縮小または中止を決断(豪州)

印刷ページ

最終更新日:2026年4月10日

 中東情勢の不安定化に伴う燃料や肥料価格の高騰は、豪州国内の生産者の営農継続に深刻な影響を及ぼしている。豪州園芸産業の主要な業界団体であるオースベジ(AUSVEG)は2026年3月30日、200名以上の会員(野菜の生産者)に対して実施した今後の経営意向に関する緊急調査の結果を公表した。その結果によると、経営の不確実性の高まりを受け、回答者の28%が既に作付け計画を縮小または中止しており、さらに回答者の16%がそれらの選択肢を積極的に検討していた。また、半数以上が燃料(軽油)や肥料の在庫が3週間分以下と回答するなど、生産現場の厳しい現状が明らかとなった(図1)。
図1
 同団体のクートCEOは、「豪州の野菜生産者は国内消費の98%を生産しており、彼らの事業継続は食料安全保障に直結している。価格転嫁が十分にできない現在の流通構造では、生産コストの高騰への支援は不可欠だ」と述べている。こうした実態把握が進む中、豪州全土を代表する業界団体である全国農民連盟(NFF)の園芸評議会は4月2日、野菜など生鮮食品の供給業者からの価格引き上げ要請に対し、迅速かつ建設的に対応することを求め、豪州の主要スーパーマーケットチェーン各社に公開書簡を送付している。前述の調査でも、コスト上昇分の売価への転嫁は平均9.7%しか達成されていないと報告されており、小売業界の寡占化による交渉力の格差という長年の課題(注1)が再燃している様相だ。
 
(注1)詳細は海外情報「豪州政府、小売大手に対する食品・食料品の行動規範を義務化へ(豪州)」をご参照ください。

政府の対応

 豪州連邦政府は燃料供給への懸念を重く受け止め、豪州競争消費者委員会(ACCC)(注2)による大手燃料供給企業の反競争的行為の疑惑に関する調査、国内供給体制を統括する「国家燃料供給タスクフォース」の設置、3カ月間限定の燃料税の減税など、一連の危機対応策を矢継ぎ早に講じている。また、豪州は肥料原料のほとんどを輸入に依存しており、特に即効性の高い窒素成分である尿素は、その多くを中東から輸入していることから、肥料供給への対応として「肥料供給ワーキンググループ」を連邦政府内に設置し、将来的な肥料の安定確保に向けた議論を進めている(図2)。

(注2)消費者の権利と事業を保護し、違法な反競争的行動を防止することを目的とした組織。日本の公正取引委員会に相当する機能を有する。 
図2
 日本は豪州からにんじんやたまねぎなどを多く輸入しており、同国は年間を通じた安定供給に寄与している(注3)。中東情勢の先行きが不透明な中、今後、生産者が意欲を持って生産に取り組めるかどうかは、政府の対策に依る部分が大きいと考えられる。肥料については、豪州企業が尿素の国内生産に向けてプラント建設を進めており、食料安全保障の議論と併せ、政府による追加支援を求める声が高まっている状況にある。
 
(注3)詳細は海外情報「園芸生産額・輸出額は過去最高を更新、にんじんは堅調もたまねぎは減少(豪州)」をご参照ください。

【調査情報部 令和8年4月10日発】