中央一号文件が「農業気候資源に関する悉皆調査と区画化」について記載するのは2回目で、1回目は2023年の一号文件である。23年に悉皆調査などの実施に向けて検討する、とされた後、まず気象局が23年に予備調査に着手し、24年には同局と農業農村部が協力して7つの省で試行を始め、25年には試行拠点が18の省に拡大した。試行拠点では、従来の農業気候区画に基づく農作物栽培ではなく、現在の気候状況に適した作物や品種の選定、栽培が試みられ、上記の陝西省では48拠点でりんご栽培の最適化を図ることにより、生産効率の向上や気象影響の低減などに成功し、間接的な経済利益が合計で9886万元(約23億1431万円。取り組み期間全体の総額)に上る成果となった。
これらの検討、試行結果に基づき、気象局と農業農村部は2026年、新たな農業気候区画の策定を本格的に開始する。新区画は25種の作物について5大農業気候区画に分けた編成となり、4年後の29年に完成する。25種の作物とは、コメ、春小麦、冬小麦、春トウモロコシ、夏トウモロコシ、春大豆、夏大豆など生産量が多い主要作物13種と、かんきつ、りんご、アブラナなどの主要な経済作物12種であり、5大農業気候区画とは、総合農業気候区画、植栽気候区画、畜牧業気候区画、漁業気候区画および施設農業気候区画をいう。
策定に当たっては、気候変動に絶えず対応できるよう、ビッグデータやAI技術などの先端技術を駆使し、各区画が迅速かつ正確に、さらに精緻に変動状況を反映できるシステム・枠組みを整備する。
新たな農業気候区画について、全国政協委員
(注3)の朱氏は、「将来的には、農家がシステムを使えば何を植えたらいいかすぐにわかる、同じ山のこちら側と向こう側、また5キロ離れた地域でもその地域ごとに異なる気候を反映し、何が最適な農作物かがすぐにわかるようになるだろう。農業気候区画は、農畜産業の自然災害の被害を減らすための『説明書』であるとともに、農家が科学的に農畜産業を営み、生産量と収入を増加するための『宝典』である」とした。
(注3)全国政協委員とは、中国人民政治協商会議全国委員会の委員のことをいう。同会議は全国人民代表大会(日本の国会に相当)と合わせて「両会」と呼ばれる中国の最高会議体の一つで、その全国委員会の委員は文学芸術や科学技術、社会科学、経済など34の分野の代表からなり、それぞれの分野での協議を経て選出される。
【調査情報部 令和8年4月22日発】