赤身肉業界、次期政権に向け業界の優先課題を提示−中国市場を重視(NZ)
ニュージーランド(NZ)の赤身肉(注1)関連の業界団体であるビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)と食肉産業協議会(MIA)は2026年4月29日、次期政権に向けた業界の優先課題を整理した文書を共同で発表した。同年11月に総選挙を控え、最新の世論調査では与党・国民党の支持率が伸び悩んでいると報じられる中、改めて業界が政府に求める支援や規制の方向性を明確化した格好である。優先課題は九つの項目で整理されており、それぞれの課題に対する対応策が示されている(表)。
(注1)一般的に牛肉、羊肉など赤色(ミオグロビン)を多く含む家畜の肉を指す。ここでは牛肉、羊肉、ヤギ肉、鹿肉のことを指す。
特に重要視されている貿易面については、世界的な貿易政策の不確実性に伴う急速な市場環境の変化に対応するため、業界は非関税障壁の影響を軽減し、輸出の付加価値を最大化する戦略を求めている。土地利用上の制約から、輸出量の拡大が見込みにくいNZ赤身肉産業の構造的実態も、付加価値の最大化を目標とする要因の一つとなっている。生産量の約7割(製品重量ベース)が輸出される牛肉について見ると、2024/25年度(7月〜翌6月)の輸出額は、47億6400万NZドル(4556億2896万円:1NZドル=95.64円(注2))と過去最高を更新した(図1)。輸出量は減少したものの、世界的な牛肉需給のひっ迫により単価が上昇したことが記録更新に貢献した。
(注2)三菱USJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年4月末TTS相場。
輸出戦略の重点は中国市場に置かれている。近年、中国向け牛肉輸出量は同国の経済情勢悪化などにより減少傾向にあるものの、米国に次ぐ第2位の輸出先となっている
(注3)。25年7月に発表された赤身肉業界の投資戦略「Our Pathway to Growing Value Action Plan」では、今後10年間で輸出額を倍増するための優先事項として、「中国市場に焦点に当てる」ことを明記しており、今回発表された文書は同戦略を土台として作成されている。この背景には、中産階級の拡大と高品質なたんぱく質需要の高まりから、中国市場向けの高付加価値製品には輸出拡大の余地があるとの認識がある。実際に他の輸出先国と比較して、中国向け牛肉の輸出単価は低い水準となっている(図2)。
(注3)詳細は「25/26年度の牛肉生産量と輸出量、前年割れの見込み」をご参照ください。
現在、政府と業界が共同出資する海外市場向けのNZ産牛肉・羊肉のマーケティングプログラム「テイスト・ピュア・ネイチャー」は、中国の上海で3カ年に渡る取り組みを展開している。期間限定で開設されるポップアップ・レストランでの試食イベントに加え、マーケティング活動の指針となる市場調査を実施し、ラベル表示やトレーサビリティ情報の訴求効果検証、ターゲットとなる消費者層に最も認知されやすい販路分析などを行っている。これらの取り組みは、輸出戦略を構築する上で主要な施策の一つであり、中国市場を重視する戦略的姿勢を示している。
【調査情報部 令和8年5月15日発】
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農畜産業振興機構 農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
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