牛の遺伝資源の中国向け輸出が再開、豪州Wagyuなど肉用種に需要(豪州)
豪州で5年ぶりに中国向けの牛の精液・受精卵の輸出が再開された。家畜遺伝資源販売大手のABS Australiaが、中国との大規模な輸出契約を締結したことが明らかとなり、2026年4月より輸出が再開されている。牛の遺伝資源輸出は、新型コロナウイルス感染症の影響で21年から停止されていたが、中国海関総署(GACC)が25年に豪州の輸出施設の現地監査を行い、同年10月に施設の輸出停止を解除していた。輸出停止以前は中国が最大の輸出先であり、今回の輸出再開に伴う需要拡大への期待が高まっている(図1)。
報道によると、ABS Australiaが交わした契約では、今後追加される可能性があるものの、現時点ではホルスタイン種、ジャージー種、豪州Wagyu種
(注1)が輸出対象となっている。輸出される全ての遺伝資源は、ビクトリア州南西部にある専用の輸出施設で飼養している種雄牛から採取されており、豪州農林水産省(DAFF)は以前から中国の農業政策の動向を分析し、乳用牛および肉用牛の優れた遺伝資源の需要が高まると予想し、体制を整えてきた。生体牛の輸出に関しても、繁殖用は中国が最大の輸出先となっている(図2)。
(注1)詳細は「豪州におけるWagyuの位置付けと改良の実態」をご参照ください。
ABS Australiaによると、中国では豪州Wagyuへの関心が高まりつつある。伝統料理や火鍋の市場において高級牛肉の需要が高まっており、その中で豪州Wagyuは消費者から高い評価を得ているという。こうした背景のもと、中国の生産者は乳用牛の交配に豪州Wagyu種の精液・受精卵を用いることで、肉質に優れた肉用交雑種(F1)を生産し、国産牛肉の品質を向上させること目指すとしている。
中国向けの解禁により、乳用牛、肉用牛ともに遺伝資源の輸出量は解禁前の2倍以上になると見込まれており、積極的に遺伝資源の採取・販売に取り組む生産者にとっては朗報と言える。従来、豪州から中国への遺伝資源輸出は乳用牛が中心だったが、肉用需要の高まりは新たな展開であり、今後の更なる動向が注目されている。
【調査情報部 令和8年6月11日発】
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