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野鳥で初のH5N1亜型のHPAI陽性、脱ケージ化への懸念再燃か(豪州)

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 豪州連邦政府のコリンズ農林水産大臣は2025年6月20日、連邦政府のプレスリリースを通じて、西オーストラリア(WA)州の南海岸で回収された渡り鳥に、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)陽性が確認されたと発表した。病原性が極めて高い同亜型のHPAIは、近年、世界中で鳥類の大量死や乳牛への感染を引き起こしていたが、これまで豪州では確認されていなかった。関係者は以前から、同疾病の侵入は豪州史上最大の生物災害につながると予測しており、連邦政府は24年からHPAI対策として野鳥の監視強化や人間への健康被害への備えに1億豪ドル(116億1200万円:1豪ドル=116.12円(注1))以上を投じてきた(注2)。同大臣は、現時点で野鳥の大量死や家きんへの影響は報告されていないとしつつ、業界へさらなる警戒を呼びかけている。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年5月末TTS相場。
(注2)詳細は、『畜産の情報』2025年10月号「「清浄国」を守る国家戦略:豪州のバイオセキュリティ政策とその進化」をご参照ください。

 
  豪州の鶏肉生産最大手であるインガム社は、野鳥が発見されたWA州の養鶏場・加工場を含むすべての施設に対して、不要不急の立ち入りを禁ずる緊急措置を講じたと発表した。加えて、連邦政府の首席獣医官に対して、家きんの屋内収容命令(注3)を発令するよう求めたとされている。
  同社が発令を求めた背景には、フリーレンジシステム(注4)で生産された鶏肉・鶏卵の表示基準が関係している。豪州競争・消費者委員会(ACCC)は2024年11月、鳥インフルエンザ発生時の鶏卵・鶏肉への「フリーレンジ」表示について、連邦政府の屋内収容命令の対象となった場合でも、最大90日間はフリーレンジ表示を維持できるとするガイダンスを発表している。裏を返せば、屋内収容命令に基づかない自主的な屋内飼育下で生産された鶏肉・鶏卵については、フリーレンジ表示は認められないため、政府に対応を求めた形である。

(注3)商業的に飼育されている家きんを屋内に留め、可能な限り野鳥との接触を遮断するよう義務付ける法的措置。連邦政府との調整のもと、各州・準州政府がバイオセキュリティ関連の州・準州法に基づき発令する権限を持つ。
(注4)豪州では、屋外へのアクセスが可能な平飼いシステムを指す


 豪州のアニマルウェルフェア基準・ガイドラインによると、鶏肉・鶏卵生産における屋外へのアクセスは推奨事項となっている。また、採卵鶏農場では、36年からケージ飼育が禁止されることから、フリーレンジシステムへの転換が進んでおり、24/25年度の鶏卵販売量のうち、約85%がフリーレンジ・平飼い卵となっている(図)。
図
 このような中、ビクトリア(VIC)州の採卵鶏農家は、H5N1亜型のHPAIが豪州に到達したにも関わらず、ケージ禁止の方針を変えようとしない同州政府に対して疑問を投げかけている。同州政府の報告によると、12年以降に豪州で発生した鳥インフルエンザのほぼすべての事例は、フリーレンジシステムの家きんが屋外で野鳥と接触して感染したことが原因とされており、疾病のリスク管理に優れたケージ飼育の再評価を求める声も出てきている。
【調査情報部 令和8年6月30日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532