欧州委員会のEUDR簡素化に向けた提案、農業団体は不十分と指摘(EU)
欧州委員会は2026年5月4日、森林減少防止に関する規則(EUDR)の簡素化に向けた新たな措置を公表した。欧州委員会は、25年12月にEUDRの1年間の適用延期が決定された際
(注1)、EU理事会と欧州議会からEUDRの簡素化に向けた検討を求められており、今回の措置はこれに対応したものである。
(注1)詳細は、海外情報「EUDR、再度の1年延期と簡素化措置導入でEU理事会と欧州議会が合意(EU)」を参照ください。
今回の措置の内容
欧州委員会は、EUDRの対象品目を追加・削除する委任規則案を提案した。畜産関係では、牛の原皮および革(HSコード:4101、4104、4107)を対象外とする。これは、原皮や革の経済価値が食肉と比べ相対的に低いことなどを考慮したものである。一方、冷凍の牛タン(HSコード0206.21.00)が新たに対象品目として追加される。これは、生鮮牛タンが対象品目となっていることとの整合性を確保するための措置である。また、製品サンプル、特定の包装材、中古品、廃棄物などを対象から除外する。この委任規則の適用には今後、欧州委員会からの正式な提案と、EU理事会と欧州議会の承認が必要となる。
また、欧州委員会は、デューディリジェンス(DD)の実施円滑化に向け、確認すべき生産国の関連法と対象品目に適用される認証制度をまとめたリポジトリ(データベース)を新たに設置するとした。
このほか、ガイダンスと「よくある質問(FAQ)」を更新し、サプライチェーン下流の事業者の義務や零細・小規模一次生産事業者(注2)に対して適用される簡素化措置などについて、明確化を図った。
欧州委員会は、これまでの負担軽減策と今回の簡素化措置を合わせると、EUDR対応に向けた事業者のコンプライアンスコストは、施行当初から約75%削減されるとしている。
(注2)「零細・小規模一次生産事業者(micro small primary operator)」とは、低リスク国に所在する零細事業者または小規模事業者であって、自ら栽培、収穫、取得、または飼育したEUDR関連製品をEUに上市またはEUから輸出する者を指す。
関係団体からは不十分との指摘
農業関係団体の多くは、EUDRの簡素化に向けて規則本文の改正を含めた抜本的な見直しを求めており、今回の措置に対しては、円滑な実施のためには不十分との声が多い。欧州飼料製造業者連盟(FEFAC)は5月11日、穀物関係団体などとの共同声明で、今回の措置は真の簡素化を実現するものではなく、ガイダンスなどの更新にとどまったことで、事業者にとっての法的確実性を向上させていないと指摘した。
また、6月22日、欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体のCopa-Cogeca、欧州家畜食肉貿易業者連合(UECBV)やFEFACなど11団体は共同で声明を発し、今回の措置は限定的なものにとどまっており、現状のEUDRの制度設計では、EUの競争力を損ない、かつ、サプライチェーンが混乱するとした。地政学的情勢や物価高の現状況下では、環境面と経済面・運用面のバランスが必要とし、ITシステムの整備などによる事業者の負担の軽減、既存の持続可能性認証スキームの活用、加盟国当局間での一貫性の確保、法的確実性の向上などの措置を求めている。
【調査情報部 令和8年7月2日発】
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農畜産業振興機構 農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際情報グループ)
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