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海外の需給動向【鶏肉/中国】 畜産の情報  2020年4月号

2019年の鶏肉生産量はかなり大きく、輸入量は大幅に増加

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2019年の鶏肉生産量が大幅に増加
 2019年後半にかけて、ASF(アフリカ豚熱)の影響により豚肉生産量が減少し、鶏肉の代替消費が増加したと言われている。このような中、中国政府が豚肉及び鶏肉の増産を図るために環境規制を緩和した(注1)ため、鶏肉生産量は増加している。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2019年の鶏肉生産量は前年比12.0%増の1310万トンとかなり大きく増加した(表10)。
 

 

(注1)  養豚における環境規制の緩和については、『畜産の情報』2019年12月号「豚肉生産量が減少し、輸入量が大幅に増加」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000871.html)を参照されたい。
 
ひな価格は年末にかけて下降
 鶏肉増産に向け、GP(原種鶏)の輸入を増加させたことに加え、自国でもGPが増産されてきたため、2019年11月以降はひなの供給体制が整ってきた。このため、ひな価格は下降し、2018年前半の水準に近づいている(図16)。
 

 
鶏肉小売価格も下降
 国慶節休み(2019年10月1日〜7日)や新年の需要期に向けて鶏肉価格は上昇傾向で推移していたため、2019年11月には前年同月比37.7%高の1キログラム当たり26.5元(422円、1元=15.9円)であった。しかしながら、年末以降は供給体制が整ってきたため、需要期である春節休み(2020年1月24日〜2月2日)も下降を続け、2020年2月は同13.7%高の同23.3元(371円)となった(図17)。
 

 
2019年の鶏肉輸入量は大幅に増加
 鶏肉生産量は増加したものの、豚肉の1000万トンを超える減産を補うまでにはなく、鶏肉輸入は大幅に増加し、2019年の冷凍鶏肉輸入量は前年比54.6%増の77万4300トンであった(表11)。2018年3月に輸入を解禁したタイからの伸びが大きく、2019年6月に解禁したロシアからの輸入も増加している。また、米国からの輸入停止を解除し、フランスからの輸入を解禁するなど、輸入先の多様化が進んでいる(注2)。今後の鶏肉輸入量は、このまま高水準を維持するのではないかと考えられるが、豚肉の需給や米中経済貿易協定などの国際情勢に左右されるので正確な見通しは困難である。
 

(注2)  詳細は海外情報「家きん肉輸入先を拡大( 中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-cu/joho01b_000037.html)を参照されたい。
 

(調査情報部 寺西 梨衣)