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海外の需給動向【牛乳・乳製品/EU】 畜産の情報  2020年10月号

第2四半期の生乳出荷量は前年同期比増

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6月の生乳出荷量は前年同月比1.0%増

 欧州委員会によると、2020年6月の生乳出荷量(EU27カ国)は、前年同月をわずかに上回る1246万2420トン(前年同月比1.0%増)となった(表12)。また、6月の出荷量を加盟国別に見ると、オランダ(同0.9%増)、ポーランド(同4.6%増)、アイルランド(同2.9%増)、ベルギー(同3.9%増)などが前年同月を上回った一方で、フランス(同0.5%減)、イタリア(同2.8%減)、スペイン(同0.4%減)は前年同月を下回った。


 
 出荷量を四半期ごとに見ると、第1四半期、第2四半期ともに前年を上回って推移している(図30)。しかし、欧州委員会が7月に公表した農畜産物の短期的需給見通し(注1)の中で、南欧や西欧以外の地域において、高温や干ばつなどによって牧草の生育環境の悪化が予想されている。そのため、第3四半期および第4四半期はともに前年比0.2%減と見込まれている。

(注1) 海外情報「欧州委員会、コロナ禍の生乳・乳製品の短期的需給見通しを公表(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002751.html)を参照されたい。


 

 生乳取引価格は前年同月を11カ月連続で下回る

 欧州委員会によると、7月の平均生乳取引価格(EU27カ国)は、前年同月比3.9%安の100キログラム当たり32.5ユーロ(1キログラム当たり41.3円:1ユーロ=127円)となった(図31)。乳価は、生乳出荷量の増加に伴って、下落傾向となっており、2019年9月以降、11カ月連続で前年同月を下回って推移している。

 

2020年のオランダの乳用牛飼養頭数は、前年を1.5%上回る

 2020年4月のオランダの乳用牛飼養頭数は、前年比1.5%増の248万6000頭となった(図32)。内訳を見ると、経産牛は同1.4%増の160万頭、未経産牛は同1.6%増の88万6000頭といずれも前年を上回った。

 
 オランダの酪農部門では、2016年から2017年にかけて、環境対策として飼養頭数削減、営農中止、飼料中のリン酸塩削減の三つの柱からなるリン酸塩排出削減計画が実施された(注2)。そのため、2016年以降、乳用牛飼養頭数は減少傾向で推移していたものの、2020年に入り、わずかながら増加に転じた。

(注2) 詳細は、『畜産の情報』2020年1月号「オランダ酪農乳業の現状と持続可能性(サステナビリティ)への取り組み〜EU最大の乳製品輸出国の動向〜」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000906.html)を参照されたい。
 
(調査情報部 小林 智也)