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海外情報 畜産の情報 2021年6月号

新型コロナウイルス感染症関連の情報

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調査情報部
 調査情報部では世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、各国政府の対応など需給に影響を与えるタイムリーな情報を、海外情報としてホームページで随時掲載しております。
(掲載URL:https://www.alic.go.jp/topics/index_abr_2021.html
 ここでは、前月号までにご紹介したもの以降、4月末までに掲載したものをまとめて紹介いたします。

【欧 州】

1(令和3年3月25日付)BREXITと向き合う英国食肉業界の状況〜AHDBのウェビナーより〜

 英国農業園芸開発公社(AHDB)は3月8日、「EU離脱:短期的な影響と長期的な機会」と題し、英国の欧州連合(EU)離脱(BREXIT)の影響などについてウェビナーを開催した。
 なお、BREXITの移行期間は2020年12月末に終了し、英国およびEU間では、自由貿易協定(FTA)として、原産地規則の充足を要件に、全品目で関税撤廃、関税割当無しの合意がされた一方、北アイルランドを除き、衛生植物検疫(SPS)措置として、段階的なシステム変更、衛生証明書の導入が計画されている。
 ウェビナーは、AHDB市場分析部門のディレクターであるフィル・ビックネル(Phil Bicknell)氏が司会進行を務め、英国農業・食品業界の専門家らがそれぞれの部門、立場でBREXITの影響などについて講演を行った。
 冒頭、ビックネル氏は英国が置かれている現状について、数十年にわたり良好な貿易相手であったEUとの関係が、BREXITによって食品サプライチェーン全体に多くの課題を抱えることになったと報告した。そのため、今回のような機会を設けて、実際にそれら諸課題に直面している業界の専門家に、どのような対応状況にあるのか聞く機会は有用であるとした。また、長期的に見れば、それらを踏まえて、BREXITが英国の農業・食品業界にはどのような機会をもたらすのか、そのことについて考えることも必要ではないだろうかと述べた。
 ウェビナーの中、食肉業界から唯一の講演者として出席した、ファーマーズ・ファーストめん羊生産者組合(組合員2700戸)ディレクターであるマイク・グッディング(Mike Gooding)氏は、BREXIT移行期間終了直後の状況は大変厳しいものであったと振り返った。
 同氏は、移行期間終了後のルール整備が十分でなく、あってもその解釈に一貫性がないなど、業界の混乱は大きかったと説明した。その他、移行期間終了後に発生した膨大な書類作業などの障壁が存在していることを訴え、競合するニュージーランド産羊肉がその間に競争力を高めている現状にも言及した。
 一方、直近では、ルール整備はいまだ十分ではないものの、輸出事業者らが書類作成作業などには慣れつつあるとした。そして、課題は残しながらも、数カ月をかけてようやく一定の落ち着きは取り戻しつつあるとの現状を報告した。課題については、変更されたルールなどの対応に自社内で多くの人員が必要となっていることや、作業ごとに求められる書類作成、署名などの書類関連の追加作業を挙げた。こういった作業の追加や、場合によっては国境検査官によって異なる諸規則の解釈が消費期限のある商品に大きな影響を与えるのみならず、競合国などの参入を許すことになると訴えた。
 同氏は講演の最後に、BREXIT以前の貿易環境にまで戻すことを要望するも、現状でも5億人の消費者を抱えるEUとのビジネス機会が残っていることについては感謝すべき状況であると報告した。
 さらに同氏は、他の講演者とのパネルディスカッションの中で、政府への要望という議題に対し、20年先を見据えた長期的なビジネス機会の拡大を訴えた。今後さらに強まるであろう業界の持続可能性などの社会的ニーズに応える必要性や、貿易交渉の推進によって世界中に英国産羊肉が届くようにするとともに、業界への投資の進展も必要だという見解を示した。

【国際調査グループ】

2(令和3年3月25日付)BREXITと向き合う英国食肉業界の状況〜AHDB職員インタビューより〜

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もいまだ続く中、羊肉のみならず、英国産食肉全般のCOVID-19およびBREXITの影響について、英国農業園芸開発公社(AHDB)のアジア太平洋地域の食肉輸出部門責任者のジョナサン・エックリー(Jonathan Eckley)氏にリモートで話を伺った。
 同氏はまず、短期的にはBREXITの混乱は乗り越えられるという見解を示すとともに、改めてEUは引き続き重要な市場であり続けるであろうとした。一方、長期的にみると、経済成長などによるアジア市場の成長および重要性は高まるとみており、これに対する戦略がより重要になるであろうとした。
 また、COVID-19については、前例のない困難な状況下にあっても、英国食肉業界は、国内需要の増加に対応しつつ、2020年通年で66万トンの牛肉、豚肉、羊肉を世界中に輸出し、これらの輸出額は15億ポンド(2340億円:1ポンド=156円)以上に及ぶなど堅調に推移しており、依然として食肉部門における輸出の重要性は高いとした。英国政府は、ここ数年でEU域外市場への参入に成功しており、各部門の輸出環境の整備が進み、実際にアジア、北米など多くの市場に輸出量を増加させるなど力強い成長を遂げているという。
 一方、AHDBは3月12日にホームページ上で、BREXIT移行期間終了後最初の月となった2021年1月の貿易について、COVID-19およびBREXITによる影響が大きかったと報じた。農産品では特に食肉部門が大きな影響を受けており、EU向け輸出額は前年同月の1億3000万ポンド(202億8000万円)から5300万ポンド(83億6800万円)と大幅に減少し、前年同月比で59%の減少となった。移行期間の終了を見越して、2020年中に在庫を増やした事業者も多かったと予測されており、これら統計には引き続き注視する必要があるだろう。
 一方、エックリー氏は、日本との関係について、2020年は英国の牛肉輸出業者にとって輸出解禁後初の通年での対日取引となったが(英国産牛肉は2019年1月9日に23年ぶりに日本向け輸出が解禁となった)、輸出量は1600トンと順調に推移したと述べた。
 英国の生産者や食肉事業者は、高品質な牛肉、羊肉、豚肉を生産するため、農場からサプライチェーン全体を通じた高い生産基準を誇りに思っており、エックリー氏自身およびAHDB輸出チームは、これらの食肉をエキサイティングかつ魅力的な日本市場に引き続き届けるための支援を行っていきたいとした。また、農業者を支えるAHDBとして、日英間の強化されたパートナーシップが今後も継続していくことに大きな期待を寄せるとした。
 なお、日英包括的経済連携協定(EPA)は2021年1月1日に発効した。同EPAは、日EU経済連携協定(EPA)における英国市場へのアクセスを維持するものである。英国産食肉の日本向け輸出については、段階的に関税が削減されることとなっている。
 エックリー氏は最後に、インタビュー時に千葉の幕張メッセで開催されていた国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN 2021)に参加できなかったことを残念に思うとコメントした。例年であれば、英国からAHDBや多くの食肉輸出企業等が同イベントに出展していたが、今年は、駐日英国大使館のみが英国ブースを設けることとなった。同氏は、「COVID-19の状況が少しでも早く改善され、再び日本で皆さんに会える日が来ることを心待ちにしている」とコメントした。


【国際調査グループ】



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