25年第1四半期の生乳生産量、1.8%増
中国国家統計局によると、2025年第1四半期(1〜3月)の生乳生産量は、前年同期比1.8%増の892万トンとなった(図1)。
25年の生乳等生産量(注1)について中国農業農村部は、4月に公表した「中国農業展望報告(2024−2034)」(注2)の中で、25年も生乳価格の下落を受けた中小規模農場の廃業加速により乳用牛飼養頭数の減少が継続するとして、4100万トン(前年比1.5%減)とわずかに減少すると予測している。また、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が5月に公表した「Dairy and Products Semi-annual」(以下「レポート」という)の中で、同様の理由から25年の中国の生乳等生産量を4150万トン(うち生乳生産量は4060万トン、同0.5%減)と予測している。
(注1)牛由来の生乳のほか、ヤギやヤク等由来の乳を含む生産量。
25年5月の生乳価格、前年同月比9.2%安
中国農業農村部によると、2025年5月の生乳価格は1キログラム当たり3.07元(62.35円:1元=20.31円(注3)、前年同月比9.2%安)と前年同月をかなりの程度下回った(図2)。直近3カ月は各月当たり0.01元(0.2円)の下落で推移するなど生乳価格の下落幅は縮小しているが、依然として安値で推移しており、酪農部門にとって厳しい状況が続いている。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末TTS相場。
この要因について中国農業農村部は、25年5月に公表した「農産物需給動向分析月報(2025年4月)」の中で、乳用牛飼養頭数の減少は乳量の少ない牛の淘汰によるものであり、牛群の最適化が進んだことで生乳生産量は高水準を維持する一方、乳製品の消費需要が引き続き低迷していること−を挙げている。
25年1〜4月の乳製品輸入量、主要8品目すべてで増加
2025年1〜4月の乳製品主要8品目の輸入量は、全品目で前年同期を上回った(表)。
25年の乳製品輸入量についてUSDA/FASは、5月に公表したレポートの中で、(1)全粉乳は中国国内での生乳生産量の減少と高品質製品の需要増から増加(2)脱脂粉乳は国内需要の低迷と国内生産の増加を受けて減少(3)飲用乳は国内需要の低迷と低温殺菌牛乳(注4)の国内生産量の増加を受けて減少(4)チーズは外食産業での需要増から増加(5)バターは外食産業やベーカリー業界での需要増から大幅増加(注5)(6)ホエイは輸入量の約半数を占める米国産ホエイに対する中国政府の関税措置の影響により減少−とそれぞれ予測している。
(注4)中国の低温殺菌乳は60〜90度殺菌であり、日本の低温殺菌乳(63〜65度殺菌)とは定義が異なる。
(調査情報部 平山 宗幸)