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海外需給【牛肉/NZ】畜産の情報 2025年9月号

24/25年度の牛肉生産量と輸出量、前年割れの見込み

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25年5月の牛と畜頭数、飼養頭数の減少から前年同月比20.5%減
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2025年5月の牛と畜頭数は28万5410頭(前年同月比20.5%減)と前年同月を大幅に下回った(図)。と畜頭数の内訳を見ると、去勢牛が4万6355頭(同29.9%減)、雄牛が2万5487頭(同20.7%減)、未経産牛が4万5502頭(同19.2%減)、経産牛が16万8066頭(同17.7%減)と、いずれも減少した。また、24/25年度(10月〜翌9月)5月までの累計でも、194万174頭(前年同期比6.5%減)と減少した。この要因としてニュージーランド第一次産業省(MPI)は、生産者支払乳価(注1)が高い水準で推移していることで、酪農部門での保留傾向が強まっていることなどが影響しているとみている。また、肉牛部門については、22/23年度の干ばつによる早期出荷や繁殖雌牛の淘汰とうたから肉牛飼養頭数が減少していることが要因とみられる。
 
(注1)海外情報「フォンテラ社、24/25年度乳価の据え置きと、25/26年度当初乳価を発表(NZ)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004130.html)をご参照ください。
 



 
25年6月の牛肉輸出量、前年同月比13.2%減
 Stats NZによると、2025年6月の牛肉輸出量は4万2066トン(前年同月比13.2%減)と前年同月をかなり大きく下回った(表1)。輸出先別に見ると、米国向けは1万6831トン(同16.0%減)と大幅に、中国向けは1万779トン(同12.5%減)とかなり大きく、いずれも減少した。この要因としてMPIは、酪農部門での保留傾向が強まっていることで、と畜頭数が減少し、輸出量の減少につながったとみている。
 特に中国向けは、同国内のと畜頭数増加による輸入需要の減少や、中国商務部による輸入牛肉に対するセーフガード調査(注2)の影響などから減少したとみられる。
 また、日本向けは2486トン(同47.2%減)、24/25年度10月〜翌6月までの累計でも2万330トン(前年同期比31.6%減)と、いずれも大幅に減少している。前年度は加工向けで豪州産牛肉の代替としてNZ産牛肉への引き合いが強かったが、豪州産の生産量が高水準で推移していることなどから、NZ産の減少につながったとみられる。
 
(注2)海外情報「中国商務部、輸入牛肉に対するセーフガード措置実施の調査を開始(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004023.html)をご参照ください。
 



 
24/25年度の輸出向け牛肉生産量はわずかに減少見込み
 ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)が公表した直近の2024/25年度牛肉需給見通しによると、同年度の輸出仕向け牛と畜頭数は258万頭と前年度並みが見込まれている(表2)。BLNZは、酪農部門は生産者支払乳価が高い水準で推移していることにより保留傾向が強まるため経産牛出荷は減少するが、肉牛部門では去勢牛と雄牛のと畜頭数が増加することで、酪農部門の減少が相殺されると見込んでいる。また、同年度の牛肉生産量は66万7000トン(前年度比1.6%減)、牛肉輸出量も47万5000トン(同1.5%減)と、いずれも前年割れが見込まれている。これは、24年の干ばつの影響で、24/25年度における輸出向けの牛枝肉重量が前年度に比べてわずかに減少するとの見込みによるもの。
 



 
(調査情報部 田中 美宇)