25年6月の生乳生産量、前年同月比14.5%増
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2025/26年度(6月〜翌5月)生乳生産の開始となる2025年6月の生乳生産量は26万1000トン(前年同月比14.5%増)とかなり大きく増加した(図1)。6月としては過去最高となり、乾乳期ながら好調なスタートとなった。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、南島の良好な牧草生育が生乳生産に寄与したことに加え、NZ乳業大手フォンテラ社が提示した25/26年度の生産者支払乳価(注1)が高い水準であったため、酪農家の生産意欲が高まり増加につながったとしている。
また、今後の生乳生産の見通しとしてNZXは、乳牛の分娩が例年よりも早い時期に進んでいることで、生乳生産が増加すると予想している。ただし、8月から10月(冬の終わりから春先)の降雨などで牧草地の状態が悪化した場合は、追加で購入飼料の給与が必要になる可能性もあるとしている。
25年6月の脱脂粉乳の輸出量、大幅に減少
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2025年6月の乳製品輸出量は、脱脂粉乳を除く主要3品目でいずれも前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、全粉乳はシンガポール、中国向けが、バターおよびバターオイルはオランダ、中国向けが、チーズは中国、日本向けがいずれも伸びたことで輸出量が増加した。一方、脱脂粉乳は中国向けが大幅に減少したことで、輸出量が減少した。
25年7月15日のGDT平均価格、全粉乳および脱脂粉乳で上昇
2025年7月15日開催のGDT(注2)平均取引価格は、全粉乳および脱脂粉乳が前回開催時(25年7月1日)を上回った(図3)。東南アジアや豪州からの需要増加から、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり4380米ドル(65万8708円、1米ドル=150.39円(注3)、前回比2.5%高)となった。
(注2)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年7月末TTS相場。
(調査情報部 田中 美宇)